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「負の遺産は残さない」原発暴発阻止に立ち上がった60歳以上の元技術者達

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参加希望者からのメールをチェックするプロジェクト代表の山田恭暉氏
参加希望者からのメールをチェックするプロジェクト代表の山田恭暉氏 写真一覧

決死隊結成なのか?

塩谷:(今回集めている行動隊は)決して、「決死隊」でも「特攻隊」でもない。純粋に利害を離れて、この事故を収集させるために集まった集団である。中には、福島原発を実際に作った鳶さんや、自衛官・東大の名誉教授もいる。

いろいろな技能を持った人が集まった。危険を伴う現場なので、単純なボランティアのようには行かない。宿舎や休憩所なども使えるようにしなければいけない。政府の指示もあり、現場の状況は整いつつある。皆何か、特殊な技能を持っている。重機のスペシャリストや建築のプロ、壁の色や状態で危険度を判断できる人材。机の上で育ってきた人とは、違う力を持っている。

危険な現場でも行くという原動力はどこから?

塩谷:危険な現場と言うが、被曝に関しては、今現場で働いている方々と同じ危機管理でもちろんやる。参加者から聞くのは"今のままでは耐えられない"という思い。

私自身が思っているのは、(今回の原発事故は)技術が生んだ事故。神様が与えたわけじゃない。天罰でもない。技術が生んだのだから、技術が直せ。それが、研究者の責任だと思う。原子力の先生方が「我々の判断が甘かった」と認めるのは偉いことだが、それより現場で一緒に行動しましょう。その後もいろんな先生がいろんなコメントを出しているが、実際に現場で作業するわけではない。そこが我々とは違うのかなと。技術で作った物は技術で押さえるという原点に立ち戻る。

組織に属していれば行動規範がある。身軽に動けない。働き盛りの40代や50代は(プロジェクトに参加することは)まず不可能。原子力学会にもシニア会員は沢山いる。もう少しアクティブに参加するべきだと思う。(学会の人は)今まで、原発推進で旗を振ってきた方が大部分。いまさら、自分達の失敗の火消しをやるという発想は厳しいのかなとも。

政府・東電の対応で、問題だったと思う点、不安に思っている点は?

塩谷:東電も東芝も、多分、事故後の状態ではベストは尽くしているんだと思う。津波対策をしていなかったことは別として。被害のデータは取れなかったのかもしれない。でも米軍は無人偵察機でしっかりデータを取り、対策を始めた。官邸にも(放射能漏れの)データは来たはず。しかし、どこがどう汚染されたのか、公表しなかった。それが分かれば自主的に避難もできた。

原発というのは、国家機密、企業機密の塊。政府にしろ東電・東芝にしろ、できるだけ、データは出したくない。安全保障の問題がある。原発はテロの標的になる可能性がある。原発自体は多少のミサイルには耐える。しかし、使用済み核燃料プールが無防備であることが分かった。あそこは弱い。これはとんでもない情報が出たことになる。それ以上に、沢山の人が原発に行き、作業をするという事は、被害状況が分かる。どこを狙えばいいのか分かってしまう。現に、非常電源がどこに配置されたかは報道されない。一台はダミーで見せるが、電源車の配置場所も秘密。それだけ気を使いながら現場は仕事をしている。
それは承知しているが、冷温停止に向けての情報・工程は具体的に出して行かないと、不安に思うのではないか。


―事務局の佐々木和子さんにも、プロジェクトに参加した動機を伺った。

佐々木:私は小学校1年生の時に終戦を迎えた、直接の戦争責任はないが、未だに東南アジアの国々には申し訳ないと思う。日本は原爆被爆国から原発加害国になりつつある。私たちと同じ思いを、今の人たちにさせたくない。日本人は責任を明らかにしない民族。責任は今まで原発を使ってきた私たちにある。原発に賛成だったわけじゃないけど、その恩恵にあずかってきた。その責任がある。負の遺産を残してはいけない。何より、不安で仕方ないので、何か動くことによって、それを解決したいというのもある。逃避かもしれないけどね・・・


取材後、「私達は、反原発でも、原発推進でもない。とにかく、事故を収拾するために集まったのだ。」と言っていた。確かに、エネルギー政策の議論をする前に、原発を止めなければ話にならない。
5月23日現在、行動隊の志願者161名、賛同・応援者786名。「万が一があったとき、誰が責任取るんだ!?」などと揉めずに、政府・東電は彼らの思い、技術力、経験値を生かす方法を考えて欲しい。

公益社団法人福島原発行動隊

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