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- 2011年05月16日 09:30
堀江貴文氏独占インタビュー「結局、世の中を変えるのは技術革新しかない」
4/42年後の選挙で変わらないのであれば、駄目ってこと
池田:僕は最近Twitter中毒になっていて、何とかしなければいけないんですが(笑)、堀江さんは今フォロワーが何人くらいいますか?
堀江:70万人ですね。
池田:フォロワーが多い人を上から見ていると、『辛抱しましょう』って人はいないんです(笑)。一番上が孫(正義)さんでしょ。言わば、変った人です。今と違うことをしようとしている人が上にいる。
今の若者の中には、この状況がキツいと思っている人が少なくない。そのような人たちの力が政治の世界には届いていないんですね。好意的に捉えれば、年取った人がいなくなって、Twitterやっている人たちが社会を動かすようになれば……。
堀江:年寄りはいなくならないですよ。長生きするから。渡邉恒雄氏だってあと10年は居座ると思いますよ。日枝久氏なんて20年くらいはね。これって笑えないジョークです。悪い冗談だと思うけれど、本当にそうなると思う。だって、中曽根(康弘)大勲位だって、まだ頑張ってるじゃないですか。石原(慎太郎)さんだって、東京都知事になっちゃうし。
池田:いや、真面目な話(笑)、そんな人もいるけれど、20〜30年経ったら……。
堀江:30年経ったら、僕は何歳ですか? 68歳ですよ(笑)。僕が老害になってますよ(笑)。
池田:20年で変るでしょう。
堀江:20年でも、60歳近いですからね(笑)。
今すぐ変えられないんだったら、変える必要はないんじゃないかな。2年後の選挙で出来ないのであれば、駄目ってことだし。
世の中を変えるのは技術革新しかない
堀江:僕はもう少し違うアプローチを考えています。結局、世の中を変えるのは技術革新しかないと思っています。インターネットの登場が世の中を少しでも変えた訳じゃないですか。そして、それが大きなウェーブになりつつある。何か新しい技術を作れれば、もっと変るかもしれない。社会システムそのものだって変っていくかもしれない。
例えば宇宙ロケットを飛ばすだけでも、みんなの目が宇宙に向かうでしょう。地上の人間社会のゴタゴタを忘れて、空を見上げて未来に希望を持てる。そんな流れが出てくると思っています。
池田:僕も冗談抜きに、日本がいつまでもジリ貧だとは思わないんですよ。やっぱりなんだかんだ言っても教育程度が高いし、「こんな状況では駄目だ」って言う人も僕の周りではけっこう多い。
堀江:僕は技術開発研究をシステム化してみようと思っています。
今、Googleみたいな会社って日本にないんですよ。ソニーがプレイステーション・ネットワークで大規模流出事故を起したじゃないですか。でも、Googleはそんな事故を起さないでしょう。なぜ起こらないのか、そこに問題の本質があります。ソニーはシステムを外注しているはずです。ITゼネコンに丸投げしているんじゃないかな。
すくなくとも内製ではないはずです。ITゼネコンに発注すると、実際にプログラミングを担当するのって、末端のひ孫系の3人ぐらいでやっている会社だったりするんです。彼らはスキルが相当低い可能性もある。だからみずほ銀行のシステムも壊れてしまった。
手前味噌ですけれど、ライブドアではそんな事は起こらないんですよ。つまり、外注していないから。本当に特殊な分野では、天才的な奴も含めて優秀なエンジニアで回していた。
Googleもそうです。彼らは世界レベルで凄い奴らが集まってきている。彼らは会社を”キャンパス”と呼んでいます。研究機関として、大学のキャンパスのような環境を作り出している。Googleの敷地に行くとワクワクしませんか? “わ〜、いい会社だな。ここで働きたいな〜”って思ったほどです。
いきなりエントランスに、”Googleマーズ”と言って、火星の撮影された画像をデーターベース化して、現時点での火星の状況をマッピング化していました。でっかい火星が、でっかい液晶モニターの中でグルグルまわっていたんです。そんな会社って日本にないよね、つまんないよね、って感じなんですよ。
だから僕は技術者・科学者の楽園のような組織ができたらいいなと思っています。ライブドアもそのようにしたかった。
最初はIT技術だけだったけれど、色々な分野に広げたいと考えていた。Googleがなぜ出来たかと言えば、潤沢な広告利益があるから。僕自身もそれをやらないと出来ないと思っていたんです。
でも、最近違うのかなと考えが変ってきている。被災地への寄付をする『Just Giving Japan』というサイトがあって、僕も100万円のシードマネーを入れたんですが、結果的に7,000万円も集まった。それがNPOに送られました。今Twitterやソーシャルメディアを使えばそのようなことが出来るんです。。それくらいのパワーが出来ている。
最近、ファンドレイジング(Fundraising)サイトも流行ってきている。『Kickstarter』であるとか、それを真似たサイトもたくさん始まっています。
研究開発に特化した、戦前の理化学研究所みたいな組織を作りたいんです。シードでかなりのお金を集められれば、財団は研究開発の成果を企業化して、そのキャピタルゲインを財団の資金に繰り入れる。
就職活動の話もそうでしたけれど、ライブドアってずっと新卒採用をやっていなかったんですよ。最近始めているみたいですけれど……。そのアホらしさを感じていて。結局、大学は就職予備校化している訳でしょう?
日本の国立大学は、教授が一般教養の授業をしなければならない。大学一年生に対して、熱力学の基礎講義なんかをしている訳ですよ。そんなのアホらしい話で、助手や専門の講師にやらせればいい。
たとえば京都大学の山中(伸弥)教授みたいな人までもがそういう授業をやっている。それどころか試験監督や採点までもね。バカですよね、はっきり言って。そもそも、大学の教養課程なんて、誰も行っていなくて、ろくに勉強もしていない。
アメリカのスタンフォード大学は財団を作って、卒業生の成果に対して投資する。そこから莫大なキャピタルゲインが出て、それを再投資している訳です。
だから、アメリカの大学って、潤沢な研究予算がありますよね。日本では東大と慶応以外は悲惨じゃないですか。予算なんてないに等しい。なのに言葉の壁があるから、そこに我慢して留まっている訳です。
スタンフォードやMIT(マサチューセッツ工科大学)に行けば、いくらでも予算はあるんですよ。出来る奴や、英語を苦にしない奴は、サッサと行ってしまって、ノーベル賞の研究をする日本人って、最近はみんな海外にいますよね。
科学技術の研究機関を作りたい
堀江:以前、東大の総長に呼ばれて提言をしたんですが、まったく動きがない。東大の業績を企業化して投資すべきなんです。国立大学法人なった訳ですから、最終的には民営化するんですよね。民主党政権はやらないと思いますけれど……。独立採算でやってけるのか。
日本で一番マシにやったのは、慶応大学です。その慶応でも、基金の規模はスタンフォードの1/100くらいです。金がないから、優秀な人材がどんどん腐っていっている。
だから研究機関を作って、そこがブランドになれば、人は来ると思うんです。『高校なんて卒業しなくてもいいよ』と、16歳になったら誰でも受け入れる。成果を上げた人にドンドン投資して、予算をつける。その中で好きなだけ研究してくれと。Googleのように広告を集めなくても、みんなからの寄付で賄えるんじゃないか。そんな希望を持っている人ってけっこういると思うんですよ。
池田:今の大学に問題あるということは確かでしょうね。大学ってピンからキリまであって。ピンはつまらないことをやっていないで、堀江さんが言ったように世界で戦えるようにもっと自由にやらせればいい。キリの方は大学の体をなしていないし、変な教養科目なんてやめて、専門学校になるしかない。
新興国と戦う人たちに対して手に職を付ける授業を大学がやればいい。どっちにしても今の大学は中途半端で、非生産的なルーティンな授業をやっている。5〜6年前に一時期、大学院の重点化やロースクールを導入したけれど、あれなんか大間違いだった。大学院なんて作ったって、まったく機能していない。そんな事をシンポジウムで言ったら、文部科学省の人間が”おっしゃる通りで……”って(笑)。
堀江:学歴に関係ない人が集まれるようにすると、大きく変わる気がする。資金も僕はネットを経由で趣旨に賛同してもらって、集めたいんです。ビジネススクールには興味ないです。科学技術だけいいです。
池田:日本の社会で何が弱点かというと、役所や金融、労働市場もあるけれど、一番大きいのは教育だと思うんです。
教育は全世界的に見直しが叫ばれているけれど、日本の教育システムは、特にアカデミズムと現実とのギャップが大きい。
底辺レベルは、それをビジネスの実体に即して再編する必要があるし、一方でエリートは堀江さんが言う通り、世界に打って出るような既存の大学とは違う枠組みを作ればいい。大学で詰め込むことに意味はないと思う。ちゃんとした知識を育てるような、別の仕組みをつくる必要があると思います。口で言うのは簡単だけれど、なかなか出来ることではありません。
でも、日本が酷い状況から立ち直るひとつのきっかけがあるとすれば、教育を立て直すことだと考えています。今日はありがとうございました。
堀江:ありがとうございました。
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日本の社会システムにや日本人そのものについて、諦めにも似た表情を浮かべながら池田氏の質問に答えていた堀江氏。
2年半後、出所した堀江氏に、再び"そのときの日本"についてインタビューしたいと思う。
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