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堀江貴文氏独占インタビュー「結局、世の中を変えるのは技術革新しかない」

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本当はみんな都会で豊かに暮らしたいんじゃない?


堀江:人間はこれまで技術革新という選択肢をとり続けてきた。豊かになりたいから。

例えば、昔は農作業が凄く大変だった。朝から晩まで働いてやっと米が取れるような生活から、耕耘機や田植機が出てきて農作業が相当ラクになった。ラクだから、みんな買ったけれど、逆に買わない選択肢もあるはずですよね。田植機みたいなものは、額に汗して働くことからしたら、忌むべきものじゃないですか。

池田:江戸時代を説明する面白い言葉があって、速水融さんの”勤勉革命(Industrious Revolution)”というもの。産業革命(Industrial Revolution)では資本が増えて結果、作業の合理化によって生産性を上げました。ところが、江戸時代では逆の事が起こっています。狭い土地に人間を集約化して、その狭い用地で生産量を上げて行った。それが明治以降の時代も続いている。なぜなのか?

ひとつは日本は土地が狭いことが挙げられます。土地は重要な資源で、しかも日本は平坦な土地が少ない。土地が非常に貴重な資源なので、そこに貴重な人材を集中して良い物を作るのが、日本独特のカルチャーを生み出したという説があります。日本の製造業も含めて、産業の在り方を”勤勉革命”という言葉が、かなり説明している気がする。

堀江:それがどうして、現代では便利な物へと流れてきたんでしょう?

池田:豊かな生活を一度経験すると、元に戻れないからでしょうね。それこそ18世紀のイギリスの産業革命以降の歴史もそれを説明しています。工業地が豊かだと、貧しい農地から農民が出て行く。その結果、人口は豊かな都市に移動する。

堀江:田舎から東京に出てきて、また帰る人もいますよね?

池田:戦後以降、地方から東京への移動は一般的でしたけれど、東京から地方への動きは1990年代以降にしか起こっていない。

堀江:身近な例なんですけれど、最近、小学校時代の同級生に会ったんですよ。彼はニュージーランドに移住していて、僕とふたりで、小学校時代の変わり者トップ2なんですけど。ある同級生について、『今どうしてるの?』って聞いたら、『何年か前に実家に帰った時に偶然会ったけれど、暗くてさ……。声をかけられなかったよ……』って。

その彼は明るくて、元気な小学生だったけれど、家族が保守的で地元から出ることを許さなかったらしい。地元で見合い結婚して、実家を継いで、農業をやっている。それに対して不満があったけれど、そこから出て行けない。勇気がない。本当はみんなやっぱり都会で豊かに暮らしたいんじゃないですかね。

池田:高度成長期はそうだったと思いますよ。高度成長とは、明らかに田舎から都市に人口が移動することだと、要因としてはっきりしている。90年代を境に移動が止まると、成長率も下がってきた。つまり、やっぱり都会の豊かな生活に憧れることが、日本の成長を支えていたと思う。

堀江:そうすると、人間の基本原理としては、豊かで贅沢したいと思っているという事ですよね。


ガラパゴス携帯みたいな国になるんじゃないか

池田:最近NHKや朝日新聞が、”田舎のコミュニティは素晴らしくて、それが壊れて行くのはけしからん”と報道しています。

僕から言わせると、田舎を捨てて、欝陶しい田舎から出て、自由な都会に出たいというエネルギーが、高度経済成長を支えていた。村に残った人から見ると、コミュニティが崩壊したと思うかもしれないけれど、都会に行かずに残っていたら、みんな食い詰めていたはずだしね。

堀江:ならば、なぜ誰もが定住するんでしょうね。昔は定住していなかった訳じゃないですか。定住は農耕が始まってからですよね。今、ほとんどの人は農業に従事していないし、本当は定住する必要はないって事では?

池田:人間の本能としては、狩猟行動に適していると言われています。ひとつの地域に密集して生きていくのは、生理的に合わない部分もあるでしょう。堀江さんみたいなタイプは、それに合わない(笑)。

堀江:今はその考え方の人が多いはずですよ。これまでの人間って、前よりも豊かになろうと技術革新をしてきた訳じゃないですか。だから、その考え方が勝つ気がするんですよ。

そういう生き物である以上、移動する思考様式になるようにできている。少なくとも僕はそうです。生活を豊かにする方法があるならば、『やればいいじゃない』って思う訳ですよ。

池田:もうひとつ、僕は別の見方を持っていて。
日本は残念ながらピークは過ぎてしまった。停滞する生活にどうやって順応するかも、ひとつの考え方です。イタリアってそうでしょう?

あの国はローマ帝国期がピークで、次がルネサンス時代。その頃から数えても500年くらい経っています。でもイタリア人ってそんなに不幸そうな生活してないじゃないですか。レストランに行けば楽しそうに喋ってるし、食べ物も美味い。電話もつながりにくいけれど問題にもせずに、みんな気楽に生きている。

それこそベルルスコーニ首相みたいな人物がトップになれる国です。お気楽な社会も、ひとつの解決策だと思うけれど、日本は”勤勉革命”の国だから、それが出来ないのかなぁ……。

堀江:そっちには行かないでしょうね。やっぱり勤勉になってしまう。ガラパゴス的に変な進化を遂げるんじゃないですか、携帯電話みたいに。「なんだかよく分からないけれど、凄いエコだよね。でも、その工夫って意味があるの……」って。そんな事をやっちゃう気がする。

池田:明治維新とか、終戦後のような強烈なインパクトがない限り、ゆっくり衰退していくしかない。

堀江:それでも受け入れるんじゃないかな。僕は受け入れたくないんで。そんなのイヤですけれど。あとはプライドの問題だけですからね。僕は経済人だから、日本にこだわる必要もない。変に頑張って、また検察に目を付けられてもイヤだし。

出所後はノマドになります


池田:出所後は、海外に移住するんですか。

堀江:移住と言うか、定住する意味を感じない。ノマドになります。

海外に定住するんじゃなくて、日本が良い季節には日本に住んで、海外が良い季節には海外にいて。たぶん寒い所にいると、脳血管障害で亡くなる確率が高まると思うんですよね。だから、冬場は暖かいところに行くんじゃないかな。

よく考えたら、自分はなぜこれまで定住してたんだろうって、最近よく思っています。これだけインターネットが発達した世の中で、なぜ日本にいるんだろうって。

池田:最近、就職戦線が酷い状況にあります。就職率も80%を切っている。
就職セミナーの講師の人が「日本にはロクな職がないし、海外行った方がいい。優秀な人はアメリカに行けばいいし、それほどでもない人はアジアに行けば」と言っていました。でも、日本から海外に行く人は、実際にはすごく少ない。

理由を聞くと、すごくつまらないんですよ。英語がものすごく下手だからなんです。これが障壁になっていて、本当に優秀な人ならば出て行けるけれど、少し優秀な人はおそらく出て行けない。出ても行けずに、みんなで沈没していくって事もあるのかな。

堀江:そうじゃない選択肢もあるんですよ。

検察庁に行く人は、”みんなで我慢”の人達なんですよ。そうでなければ、検察なんて行かないでしょう。何が楽しいのかと思いますもん。僕は彼らを見ながら、「本当にみんな楽しいのかな……?」って思って。

池田:日本人は”役所で局長”や”企業の部長”など、ポストに対する執着が強い。
検察の大鶴さんだって給料はたいしたことないと思うけれど、やっぱり”東京地検の特捜部長”という社会的なポストが、彼にとっては最も大切なんですよ。

堀江:そうでしょうね。

池田:それを目的にする人にとっては、ゆっくり衰退する社会も、そんなに違いはない。

堀江:なるほど。

池田:そこに国民全員が順応できるかが、けっこう大きな課題です。堀江さんが順応できないのは、確かだけれど(笑)。そして、僕は年齢的に逃げ切れるからいい(笑)。

100年前に戻るだけ。それでいいのでは


池田:でも若い人たちはに相当大変な人生が待っているよね。今の30代以下の人たちが、将来持ちこたえられるかが問題です。10〜20年後は収入のうち半分位を税金と社会保障費持ってかれる時代になりますよ。

堀江:なぜ懲罰的に高い税金を課すんでしょうかねぇ……。

池田:みんな知らないからですよ。知った時には遅い、よくできているシステムです(笑)。

どう計算しても、20年後には年金も財政も破綻して、生涯収入で5,000万円くらい税金を支払うことになる。もの凄い負担が現在の若い世代にかかってくる。それが実感として分からないから、「お金をばらまきましょ」となってしまう。結果、政府債務が900兆円になった。これがドカンと行くのが次の危機ですよね。

ただ、僕はね、そうなってもまだ日本人は気づかないような気がするな。震災が起こった時も、”これだけ酷い事が起こったんだから、仕組みを変えなければいけないな”って意見が出て来ると思ったら、全然逆ですよね。まったく今まで通りに東電を延命している。

堀江:僕はプライド的に耐えられなくなると思う。そうじゃないかな? だって、今凄いですよ、中国人が。

例えば新宿の風俗店に中国人がバスで繰り込んで、売春ツアーをやっている。それって昔、日本人が東南アジアでやっていたこと。例えば日本のAV女優に中国人や香港人からオファーがあって、実際に行っている人もいるらしい。それって、”からゆきさん”だよねって。当時の日本は豊かな国ではなかった。歴史の中で豊になったのはここ100年くらいのこと。それが元に戻るだけ。でも、それでいいのかなって。

日本人である誇りは持てなくなるかもしれない

池田:悲観的な話ばかりでもしかたないので(笑)、これ以上ない所まで追いつめられたら、人間はなんとかなるというのも、あるかもしれない。

80年代のアメリカが今の日本の状況によく似ていました。ニューヨークは犯罪だらけで、失業者が溢れかえっていた。ところが、アメリカはそこから立ち直ったでしょう。なぜ立ち直ったのかといえば、ひとつはシリコンバレーなどで新しいテクノロジーが出てきたから。

僕の見方は、新しい会社が次々と出てきた事が大きかったと思う。その点が日本は決定的に欠けていた。堀江さんの件を見ても、新しい存在を排除するシステムを作ってしまたんですね。

堀江:なぜ、そうなってしまったんでしょう?

池田:”なってしまった”と言うよりも、昔からそうだったと思いますよ。
日本企業の寿命を見て見ると、経団連の上位企業で一番若いのがソニーとホンダなんです。彼らが誕生したのは50年前後。一番若い会社が創立60年も経ってるんですよ。

なぜ、ソニーやホンダが生まれたのかといえば、戦後のドサクサで当時の社会には業界秩序ができていなかった。でも、村の秩序を作るのが上手いから、50年以降は大きな会社が出て来なくなった。日本人はしっかりしているから、自分達の既得権をしっかり守っている。業界団体作って、まさに今回の東電みたいに「自分達だけ守って下さい」と。

政治には政権交代がありましたが、結局”線香花火”でおわってしまった。それだけ日本の秩序を守るDNAが変化を拒んでいる。

これは良くも悪くも日本人の優れている所なんですよ。今度の震災でも、被災地では誰もが秩序正しく行動していました。みんなが協力して、自分達の大事な物を守っていた。でも、これが変化を拒否する方向に働いてしまう。これを乗り越えるのは、容易なことじゃありません。堀江さんは諦めてる?

堀江:諦めてると言うよりも、さっきも言ったように、僕は日本にこだわる必要もないので。

池田:政治もそれに甘えてしまう。ヨーロッパのように隣の国に気軽に行けてしまうと、優秀な人材がドンドン流出してしまう。日本ではそれがない。だから、政治がいい加減でも続いてしまう。

堀江:このまま続くでしょうね。

池田:会社もそうですよね。一度入ったら、定年までいるしかない。上司からつまらないことを言われても、我慢する。イヤなことを言われても、くだらないことをやらされても、じっと我慢する。それを顔に出さないのが優秀なサラリーマン。そういった意味で日本人は衰退に強いと思う。

堀江:それはそれで良いと思う。日本人である誇りは持てなくなる未来が来るかもしれないけれど、致しかたないのかな。

最近海外に行くと、だいたい”コリアン?”って聞かれるんですよ。その次は”チャイニーズ?”。”自分はジャパニーズなんだ”って言うと、”へぇ〜”って。”そういえばいたね”って。バブルの頃は全く違っていたと思うけれど、10年前だって”ジャパニーズ?”って聞かれていたのに。

革新政党は全選挙区に立候補者を


池田:ちょっと真面目に、そんな状況をどう打破すればいいか考えてみましょう。

基本的に資本主義って、債務超過になったら、どんな大きくて社会的に名声のある会社でも、潰れるしかないんですよ。借金が払えなくなったら、会社は倒産して、経営者は去って、労働者は首になると。ある意味、機械的なルールで動く。それが資本主義のダイナミズムだった。

ところがルールを棚上げにして、東電を助けてしまった。あるいは堀江さんみたいに、けしからん奴を排除していく。するとルールがルールとして成り立たなくなる。ルールが成り立たない世界では、投資はリスクが大き過ぎる。

結果、リスクマネーが出て来なくなる。新しい投資も、新しい企業活動も起こらない。当然成長率も下がっていく。

堀江:単純な話ですね。

池田:日本の過去20年間がなぜ駄目になったのか、統計を見れば明らかです。日本の会社は投資をせずに、ひたすら貯蓄していました。会社が貯蓄している国は、成長する訳がない。

確かに資本主義って好まれないシステムですが、世界の歴史を見ると資本主義のルールに忠実に従っているアメリカは、しっかり立ち直っています。でも、資本主義じゃないことをやってる国は確実に駄目になっている。東京地検の人たちはイヤかもしれないけれど、日本が経済的に本当に立ち直りたいならば、もう一度しっかり資本主義のルールに則ってやるしかないと思う。

堀江:そのような政権になればいいんじゃないんですか。でも政治はなぁ……。可能性として、難しいですよね。

自民党から民主党に政権交代したと言われているけれど、僕はずっと民主党は自民党の二軍だと話してきました。

もちろん民主党にも革新的な勢力はいるけれど、今は左翼系の保守勢力にガッチリ押さえられている。そのような人たちが支配していて、ばらまき方が企業団体から、個人に変っただけ。何も変わっていません。

自民党にも革新的な勢力があって連携すればいいのに、なぜか別々の所にいる。だから国民も選べない。”どこに投票するんだ?”ってことになってしまう。

先日の参議院選挙でも、みんなの党が多少マシだと思ったけれど、自分の選挙区にはでていなかったって人が多いんじゃないかな。全ての選挙区に候補者を立てればいいのに、なぜ立てないんでしょうかね。

先日、大阪の橋下(徹)知事に会った時、「自分は友達が少ないから、紹介してくれ」って言われたんです。それでも大阪維新の会は人が集まって、選挙でも一定の成果を得られた。お金もほとんどなくて、手弁当らしいんですよ。資金がある人たちに出てもらっている状態でした。それを国政レベルに広げる流れがあるのかもしれない。

だから「是非、2年後は全選挙区に候補者を立てて下さい、僕も協力できることはやっていきますから」って言いました。と。

「民主党が自民党のこれまでの政治を打破する」と、50%くらいの人が思っていた訳でしょう? なぜみんな簡単に騙されてしまうんだろうって思うんですけれどね。騙されやすい国民ならば、逆にそれを利用して……。民主党も駄目だったし、”まったく新しいしがらみのない政治をやる”と宣言して戦ったら、第三の勢力が次の選挙で勝つと思うんですよ。

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