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堀江貴文氏独占インタビュー「結局、世の中を変えるのは技術革新しかない」

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日本が疲弊しようが、知った事っちゃない


池田:堀江さんの世代は、多少はバブルの残り香を知っていた訳でしょ?

今の若い人たちって、良かった時代を知らなかったと思うんですよ。だから、みんなこの状況に慣れていて、こんなものだと思っている。慎ましくジャンクフードを食べて、生きて行ける可能性が高い。節約だってできてしまう。

その代わり、日本経済の収縮も加速させるでしょう。残念ながらそれは避けられない気がします。

堀江:ただ、下がってきたら、次は上がると思う。株価と一緒ですから、どこかのタイミングで。

これは僕の中国で働いている友人から聞いた話なんですが、あと5年で北京市のホワイトカラーの平均年収が、青森県民の平均年収を抜くそうです。日本の地方と北京の年収が逆転する現象がやってくる。東京を逆転するのは時間がかかるでしょうが。
グローバル化というのは平準化ですから、当然勢いのある所は平均年収が上がっていく。

でも、これは昔に戻るということです。中国は歴史的に東アジアの覇者であって、日本は中国に富みに比べたら、ゴミみたいなものだった訳です。

20年前、中国の沿岸部、そして内陸部へ生産拠点が移って行った。コスト高くなったから、東南アジアへ。ベトナム、タイがどんどん開発されて、その後はカンボジアやミャンマーに移って、それが今度はバングラデシュへ。

当然、日本国内は産業がどんどん空洞化していって、その上に派遣社員も解雇できなくなってしまった。”工場を日本に作るのはバカバカしい”ってみんな思ってる。その上、東日本大震災が起こった。リスクは高いし給料も高い、社員をクビにもできない。企業も海外移転を進めるしかないですよ。

これまではサプライチェーンの問題もあって、複数の部品を統合して、ひとつの製品ができていました。全てを一緒に移転しないと同じクオリティの製品が作れませんでした。でも、これをきっかけに全てを移転するという動きは、おそらく出て来ると思います。

すると、ますます地方は疲弊して、年収も下がる。現在は最低賃金が設定されていますが、それをいつまで維持できるのか……。どんなシナリオで財政破綻するのか、誰も予測できない。でも破綻すれば、デフォルトした会社みたいなもので、コストが安くなるだろうし、また”日本って安いわりに、教育水準の高い労働力が使えるね。バングラデシュよりいいんじゃない”って話になるかもしれない。それが20年か、30年後か分からないけれど、また戻ってくるんじゃないかな。

その間、ポートフォリオをどこに組んで行くのか、経済人としての僕はそれを考えればいい訳で、正直日本が疲弊しようが、知った事っちゃないんですよ。

提言をした所で、考え方は変らない


池田:堀江さんがこのような境遇なったのも面白いタイミングです。おそらく今後2〜3年は日本経済は沈む一方でしょうし、中にいても外にいても、あまり変らない。

堀江:ははは(笑)。そりゃ、そうかもしれませんね。

池田:今後10年くらいは、このままゆっくり落ちつづけるんじゃないかな。

堀江:我慢するんですよ。我慢してしまうんですよ、みんな。

池田:日本人は、みんなでゆっくり辛抱するのは得意だからなぁ。誰かが抜け駆けすることもしないし。

堀江:日本では革命が起きないからなんですよ。革命は亡命知識人が起すものです。その国の状況に心底嫌気がさした知識人達が海外で知識や力をつけて、支援を受けて革命を起すわけじゃないですか。孫文だって日本にいた訳ですよね。日本には亡命知識人ってほとんどいない。やっぱり出て行きにくいんでしょうね。

日本は大化の改新以来、1,400年近く律令制というシステムを毎年アップデートし続けてきた。これまで革命のようなものもあったけれど、実際は市民革命ではなくて、官僚組織内での革命だった。

明治維新だって革命と言えないかもしれない。司法にしても、西洋から法体系や裁判所のシステムを導入したけれど、江戸時代の”お白州”の上に制度が乗っているだけ。体裁は変ったけれど実際は何も変わっていない。

司法の世界は明治維新も、戦後のGHQの占領政策すら乗り越えて今に至っている。それだけ長い歴史があると、歴史を守る事が凄く大事に思われて来るんです。天皇制が続く事を誇りに思ってみたり、とにかく長続きする会社が一番良い会社だと思い込んでいる。それって、なんか変だよねって。

そんな状況がこれからも続いていくんじゃないでしょうか。自由度が高い人たちは、そんな日本人の気質を理解しながら適度に海外で過ごすと。海外で事業を展開するとか、日本に本社を置かずにね。法人税が高いから。

提言をした所で、宗教みたいなもので、考え方は変らないと思うんですよ。「なぜこいつは分からないんだろう……」って向こうも思ってる。ヤメ検の人たちって、やっぱりそんな考え方なんです。

とにかく慎ましく生きようと、エアコン切ってみんなで頑張ろうと。なんとか頑張って技術革新していこうって、考え方にはならないんですよ。

みんなマゾなんじゃないかな

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池田:堀江さんの事件を担当した、当時東京地検特捜部長の大鶴(基成)さんの有名な言葉があります。「額に汗して働く人、 リストラされ働けない人、違反すれば儲かると分かっていても法律を遵守している企業の人たちが憤慨するような事案を、万難を排しても摘発したい」と。

この言葉は多くの司法人の頭の中にあるのではないか。そのような価値観をずっと続けられるならばいいけれど、僕らは豊かになる事を前提としたシステムを作ってしまった。その中で役所の人だけが、みんなに辛抱しろと言ってもね……。

例えば70年代、いわゆる省エネブームがあって、日本の電力消費は歴史上初めて下がったんです。でもその後、電力消費量は上がってしまった。実際は日本人でさえ不可能なんです。今年の夏場は原発がさらに止まった場合、東京でも冷房が止まるとか、停電する可能性がありますね。

堀江:でも、我慢するでしょうね。

池田:70年代は石油危機の時も我慢しました。そんな生活を我々は選択するのか。みんなが馴染むならば、それもありのような気もするけれど。現代の若い世代は貧しい生活しか知らないから、馴染めるのかもしれないなぁ。

堀江:馴染めるんじゃないですか。窮屈な生活をしたいんじゃないですか? マゾなんじゃないかな。マゾである以外に説明がつかない。僕はこれまでずっと”満員電車になぜ乗るの?”って言い続けているけれど、全く解決しない。なぜだと思います?

池田:日本人は横並びで見ているから、周りが辛抱していたら仕方がないって思ってしまう。なんとなく縮小均衡していく気がしますね。

デフレ傾向も20年近く続いているけれど、デフレに慣れてしまう。そんな世界では、200円のユッケで満足できるんですよ。

隣に自分よりも豊かな人がいると不幸だけれど、みんな同水準で貧しいとそんなに不幸だとは思わない。民主党政権が目指しているのは、そんな生活なんでしょう。

堀江:そこに“未来”はないでしょう。

池田:大きなライフスタイルの選択を迫られていると思いますよ。

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