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【特別寄稿】自粛ムードはナンセンス。倒れた人のぶんまで、周りが走らなければいけない - セルジオ越後

BLOGOSをご覧の皆様、こんにちは。セルジオ越後です。普段はサッカーについて書くことの多い私ですが、寄稿のお声がけをいただいたので、スポーツ、とりわけサッカー界に身を置く一人としての考えを述べさせていただきます。

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震災発生から、1ヶ月が経った。もう1ヶ月も経ったのか、というのが率直な感想だ。被災地は復興に向けて徐々に歩き出してはいるけれど、街はがれきに埋め尽くされたままで、福島第一原発の事故も一向に収束する気配がない。大きな余震はもはや当たり前となり、放射能汚染の不安と電力不足は常に存在する。我々はいまだ、現在進行形の大災害の中にいる。

今回の震災は、先の戦争以来、日本人が経験したことのない未曾有の大惨事であり、戦後の焦土か、それ以上といっても過言ではないほどの有様となっている。復興には本当に長い時間がかかるだろう。

サッカーに置き換えて言えば、一発勝負のトーナメントではなくて、継続的なリーグ戦ということになる。日本が一つのチームで、国民がその選手だとすれば、まさにチーム全員での総力戦だよ。

それぞれのポジションでできることは限られている。一つひとつはとても小さなことかもしれないが、それを足し算していった先に、すばらしいゴールがあることを信じて走り続けなければならない。倒れて動けないチームメイト、つまり被災地の人たちの分まで走る。それがサッカーだ。

避けなければならないのは、チームワークが乱れることだ。現在、ニュースやインターネットで様々な情報が飛び交い、直接的な被害を受けていない人たちも、戸惑い、疑心暗鬼になり、混乱している。物の買い占めや関東からの非難に始まり、あろうことか福島県からの避難者に対する差別まで生まれているという。言語道断。そんなことは絶対にあってはならない。情報に踊らされ、自分のことばかり考えるのは、チームワークとして最悪だね。

「自粛ムード」という問題もある。節電しなければならないという状況がそれに拍車をかけ、元気な人たちまで、イベントや消費活動をやめる、という事態に陥っている。行政レベルで自粛を促す例もあった。一人が自粛すると、そこでボールが止まってしまう。それではいつまで経ってもゴールネットは揺らせないよ。

自粛というのは一見、被災地に寄り添っているように見えて、実は復興のために何の役にも立っていない。それどころか、経済活動、消費活動が停滞することで、日本のマーケットは落ち込み、国全体のエネルギーが失われてしまう。すでに、人員削減に踏み切っている企業も出てきていると聞く。しかたなく、削減しているわけだ。これは間違いなく二次災害だよ。

元気な人が休む必要などない。むしろお金を使えない人の分まで使い、稼げない人の分まで稼いで、どんどん経済をまわすことが、間接的に被災地を助けることになるのだと思う。義援活動は、募金やボランティアだけじゃないよ。元気な人まで倒れてしまったら、誰が被災者を助けるというのだ。それぞれがそれぞれのホームタウンを活性化させれば、やがて日本全体が元気になる。

リーグ戦は長い。シーズン中は、大小様々な壁が立ちはだかる。心が折れそうになるときもあるかもしれない。しかし、余震にひるまず、情報を見極め、いかにブレないプレーをキープするか。そしてそれをチーム全員で共有できるか。

復興のリーグ戦を戦い抜けるかどうかは、僕ら選手一人ひとりに委ねられている。何があってもあきらめずに走り続け、みんなでリーグ優勝を果たそうじゃないか。日本人なら必ず成し遂げられると、僕は信じている。

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