
左から(池田信夫氏、菅原聡氏、田端信太郎氏) 写真一覧
今回のBLOGOS生放送は、欧米よりもネット広告の単価が低いと言われる日本で、課金モデルのソーシャルゲームだけが大きな収益を挙げる現在、ネットメディアやそこで働く人々が、どうすれば"メシを食っていけるのか?" をテーマに、ネットメディア自身の変化や問題点と、コンテンツビジネスとしてのネットメディアを取り巻く環境について、数々のネットメディアの立ち上げ・運営に関わってきた3人が鼎談しました。
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菅原「ネットが儲かりにくいのは顧客にとってのムダが省かれたから」
池田信夫氏(以下、池田):こんばんは、アゴラ編集長の池田信夫です。毎月お送りしてますBLOGOS対談。今年最初の回は、「ネットメディアで飯を食えるのか」というテーマです。どのようにビジネスをやっていくのか。ビジネスの現場にいらっしゃる方に、今日はお話を伺いたいと思います。ではまず、本日のゲストをご紹介いたします。向かって右側が、VOGUE.COMなどのネットビジネス、およびiPad向けのVOGUE/GQなどのデジタルマガジンの事業開発を統括してらっしゃる田端信太郎さん。
田端信太郎氏(以下、田端):よろしくお願いします!田端です。
池田:向かって左側が株式会社日本ビジネスプレス代表取締役社長で、世界を知り日本を知る本格派経済ニュース「JBpress」を運営されています菅原聡さんです。
菅原聡氏(以下、菅原):菅原です。どうぞよろしくお願いします。
池田:お二人とも新しいメディアをスタートされたばっかりですが、まずは菅原さんから、現状は率直に言って、どのような感じですか?
菅原:正直、カツカツ。元気にサバイブしているというのが正しい表現かなぁと。
池田:田端さんはどうですか?
田端:売り上げのことを言うと、非常に伸びてはいます。ただ、VOGUE.COMは今まで紙が中心で来たんですが、それをガンガン置き換えていけるのかというと、収益性では、はるかに及ばないというのが現実ですね。
池田:僕も去年の3月に、アゴラブックスという小さな電子出版の会社を立ち上げたんですけど、これはまだまだ単体で儲かるという状態ではなくて、他のいろんなビジネスと合わせて何とかトントンくらい。まあ、この種のビジネス始まったばっかりですからね。それはもう、3人とも、ある意味同じだと思うんです。
去年の11月に田原総一朗さんともお話をしたんですけども、「新聞・テレビという既存のメディアが急速にダメになってきている。ダメになることは避けられない」というお話でした。ただし、潰れるだけでいいのかというと、読者の目線で言えば、今は新聞やテレビが担っているような「一定の質の情報を供給する」って仕事があるわけです。それがみんなブログやツイッターになっちゃうことはない。
今、菅原さんがやってらっしゃるJBpressでは、エコノミストやフィナンシャルタイムズのような海外のメディアのように、オーソドックスな意味でのジャーナリズムを、ウェブの世界でやろうということですね。
菅原:そうですね。具体的には、会社全体のモデルはもう少し複雑になりますが、基本的にはそういうことになります。いつも我々の仕事柄、他のメディアさんのコンサルタントをする業務も多いんですけども、その際にもいつも申し上げていることがあって、例えば雑誌業界の方とお話していると、「ウェブは特に儲からない」とおっしゃるケースが多いわけですよ。
(一同笑)