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「食の安全情報」と「食の安心情報」が区別できますか?~加工食品の原料原産地表示義務化が惹起する消費者の不信感~

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 p5-p6に「原料原産地表示制度の具体的な改正点②(新たな表示方法、表示例)」としてまとめられている追加された新ルールと表示の具体例について、さらにそれぞれの詳細な説明がp7以降に記述されているのだが、この内容を一度読んで理解できた人は、かなり頭のきれる方と言ってよいだろう。それくらいこの新たな例外表示のルール:<可能性表示>、<大括り表示>、<大括り表示+可能性表示>、「中間加工原材料の製造地表示>は一般消費者には理解し難い複雑なものだ。

 とくに、<大括り表示+可能性表示>の「豚肉(輸入又は国産)」という原産地表示に対して一般消費者はどう感じるのだろうか?「国産が入っている可能性があるのなら買ってみようかな」と思ってくれればよいが、「輸入又は国産って原産国が世界中のどこかわからないってこと?消費者をなめてるんじゃないの?」と思われても仕方ないナンセンス表示だ。国際的にもこのような表示ルールを採用した国はほかにあるのだろうか?原材料名で中間加工原料が重量第一位となった場合には、一次原料の原産国を表示する義務はなく(任意表示はしてもよい)、製造地表示でよいというルールも、やはり消費者が欲している原料原産地表示からかなりのギャップがあるように思う。

 ただ、このような複雑なルールになったのには加工食品メーカー側の実行可能性の問題があり、消費者庁の担当者や検討会委員先生方が相当苦労された部分であるということを知っていただく必要がある。筆者は昨年末の時点で、本件をブログにまとめているので、そちらをご参照いただきたい。

◎加工食品の原料原産地表示は「不誠実」?[2016年11月14日月曜日]
  http://www.nposfss.com/blog/processed_food.html

 端的にいうと、加工食品メーカーでも原料原産国が特定できていない場合が多々あり、一昨日はアメリカ産、昨日は中国産、今日は国産などと、いろいろな国の原料をタイムリーに使用する可能性があると考えると、<大括り表示>や<可能性表示>を認めざるをえない実態が食品事業者側にあることがわかるのではないか。原料原産国表示だけのために毎日ラベルを印刷しなおすことはできないし、昨日と同じラベルを貼ってしまうと、原産地偽装表示になってしまうようなルールを強制することもできないのだ。だからこそ今回の表示基準が、どうしても原産地が不明確なままの表示ルールになってしまうわけだが、だとするとなぜ義務化するのかという疑問がわく。国産と表示したい事業者だけが、そう表示する現行どおりの任意表示でよいではないか・・

 一般消費者に欲しい情報がうまく伝わらない表示は、社会心理学的な「未知性因子」を刺激して不安を助長するだけでなく、リスク管理責任者である食品事業者や食品行政がリスク情報を隠蔽しているかのように消費者の目に映るため「不信感」となって跳ね返る可能性が高い。やはり、このような「食の安心情報」の表示を義務化することは社会的に不適切と言わざるを得ない。今回の食品表示基準改正に対して、業界団体・消費者団体・学識者も含めて8千件以上のパブリックコメントが寄せられたとのことで、この数は異例の多さとのことだ。日本生協連さんも「まだギブアップしていない」として、本改正に反対の姿勢を堅持しておられるようだが、マスメディア側でこの問題を採り上げるところが少ないのは意外であり、残念ですらある。もっと消費者の声を行政に反映してもらえるよう、メディア側にも頑張ってほしいものだ。

 以上、今回のブログでは「食の安心情報」として典型的な「すべての加工食品の原料原産地表示義務化」の問題について解説しました。SFSSでは、食品のリスク管理やリスコミ手法について学術啓発イベントを実施しておりますので、いつでも事務局にお問い合わせください:

◎SFSS食の安全と安心フォーラム第13回
 食物アレルギーのリスク管理と低減化策に関するフォーラムⅢ(7/30) @東大農学部

 http://www.nposfss.com/forum13/index.html

◎食のリスクコミュニケーション・フォーラム2017
 第3回『放射線被ばくのリスクを議論する』(8/27) @東大農学部

 http://www.nposfss.com/riscom2017/index.html

また、弊会の「食の安全・安心」に関する事業活動に参加したい方は、SFSS入会をご検討ください(正会員に入会いただくと、有料フォーラムの参加費が1年間、無料となります)。 よろしくお願いいたします。

◎SFSS正会員、賛助会員の募集について
 http://www.nposfss.com/sfss.html

(文責:ドクターK こと 山崎 毅)

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