- 2017年07月12日 09:15
もう末期"世論調査"でみる安倍内閣の体力 求心力が「遠心力」に変わる瀬戸際
2/2■「政党支持>内閣支持」で政権に遠心力
今回の調査では、内閣支持率が暴落したが、自民党の支持率は30%程度を維持している。NNNの調査では、党の支持率が内閣の支持率を上回っている。党の支持率が高いのは、政権にとって好ましいデータのように思われがちだが、そう簡単な話ではない。むしろ安倍首相にとっては「不都合な真実」だ。
画像を見る7月10日、安倍内閣の支持率について報じる新聞各紙。
内閣支持率が党の支持率よりも高ければ、党所属議員は「首相の人気のおかげで自分たちは当選できる」という空気が広がり、政権の求心力が高まる。これまで安倍政権では内閣支持率が党の支持を上回ってきた。ところが、逆に内閣の支持が党の支持を下回ることになったらどうなるか。「首相の不人気は自分たちの選挙にはお荷物だ」となり、求心力は遠心力に変わる。今の数値は、その瀬戸際にある。
留意しなければならないのは、今回のデータが都議選から約1週間後に行われていることだ。自民党が惨敗した余韻が残る中で、国民は、あらためて安倍政権に「ノー」を突きつけた。
つまり国民は、都議選の結果を「自民党が負けすぎた」とは思っていない。都民の決断に賛同し、自分たちも同じ1票を投じるつもりで世論調査に応じたのだろう。都民の怒りが全国に伝播したのだ。
■昭和と比べ、「内閣支持」は高くて当たり前
ここまで書くと「支持率30%台はそんなに低いのか。もっと低いこともあったではないか。少し大げさだ」と思う人もいることだろう。確かに昭和から平成初期のころは内閣支持率は4割あれば上等。3割台は普通。もっと低いこともざらにあった。1989年(平成元年)、消費税が導入され、大疑獄事件・リクルート疑惑が吹き荒れた時、ある新聞社の調査では竹下登内閣(当時)の支持率は3%まで落ちたことがある。消費税率は当時3%だったため「消費税と同じ支持率」と、皮肉られたものだ。その時と比べれば、安倍内閣の支持は10倍ある。
しかし、当時と今とは政治状況が違う。竹下内閣のころ、衆院では1つの選挙区で3~5人が当選する中選挙区制で、各選挙区に2、3人の自民党議員がいた。しかも自民党は派閥全盛で、党内抗争が激しかった。だから、竹下内閣の時は、自民党支持でも、宮沢喜一氏や渡辺美智雄氏を次の首相にしたいと思う人は内閣を「支持しない」と答えることが多かった。宮沢派、渡辺派議員の後援者たちも「支持しない」と答えるのが当たり前だった。だから内閣の支持は低く抑えられる傾向があった。
ところが今、選挙制度は小選挙区制になり、派閥も弱体化した。自民党を支持する人は基本的には内閣を支持する。つまり、昭和時代は内閣支持率は低くて当然。今は高くて当然なのだ。だからこそ今の「30%台前半」は深刻だ。
■安心材料は野党支持の低迷
安倍政権にとって厳しいデータばかり指摘してきたが、最後に「安心材料」も書いておきたい。内閣の支持が落ちているにもかかわらず、野党第1党・民進党の支持が高まらない。冒頭紹介した4種類の調査ではいずれも、民進党は前回よりも支持を落としており、10%未満にとどまっている。
都議選では、小池百合子都知事が率いる「都民ファースト」が自民党批判層の受け皿になった。国政では民進党が中心になり野党共闘を目指しているが、遅々として進まない。
安倍首相にとっては、自分たちの支持が下がっても、野党の支持が上がり始めなければ、モラトリアム期間を与えられることになる。
衆院選は、来年末の任期満了近くになる可能性が高まってきている。それまでに安倍内閣が求心力を回復するか。民進党もしくは他の勢力が国政で「受け皿」をつくりあげるか。もちろん、その前に安倍首相が退陣する可能性もないわけではない。「安倍1強」は遠くになりにけり、である。
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