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【MIAUの眼光紙背】改めて混乱が拡がる電波法の矛盾

iPadの米国外での発売が延期が発表された4月14日、筆者は丁度米国ラスベガスにいた。ラスベガスにはApple Storeが3件あるが、その発表後、ラスベガス中のiPadが蒸発してしまった。その時ラスベガスではNABという放送機材展が行なわれており、世界中の人たちが集まっていたので、おそらく米国外の人が大挙して買って行ってしまったのだろう。

もちろん日本でもいち早く米国から買って来た人も沢山いるようで、ネット上でも様々な情報がアップされている。ただここで注意して欲しいのは、電波法による規定である。以前に興味があって、この手のネットワーク製品の並行輸入に関して調べたことがあるので、今回は並行輸入のiPadに関する法的な問題をおさらいしてみよう。

多くの人は、海外製のトランシーバーを日本で使用することに問題があることは、なんとなくご存じだろう。使用する周波数帯域や出力が違うので、日本で使うと他の電波を妨害したり、逆に既存の電波によって妨害を受けたりする。これと同じように、WiFiやBluetoothのような出力の小さい電波を発する機器であっても、電波法の制限を受ける。

電波を発する機器を扱う場合は基本的に免許が必要なのだが、小出力ゆえに免許がいらないものが3段階存在する。

1. 発射する電波が著しく微弱な無線局:ラジコンに使うもの、ワイヤレスマイクなど
2. 市民ラジオの無線局:特定周波数の範囲で、空中線電力が0.5W以下。ただし現在はほとんど使われていない
3. 小電力の特定の用途に使用する無線局:コードレス電話や特定小電力無線局に該当するもの

「無線局」という表現に違和感があるかもしれないが、電波法上は電波を発する機器はすべて無線局と表現する。iPad内蔵のWiFiが該当するのは、おそらく3である。この3に該当する機器は、次の4つの条件を満たす必要がある。

(1)空中線電力が0.01W以下であること。
(2)総務省令で定める電波の型式、周波数を使用すること。
(3)呼出符号または呼出信号を自動的に送信しまたは受信する機能や混信防止機能を持ち、 他の無線局の運用に妨害を与えないものであること。
(4)技術基準適合証明を受けた無線設備だけを使用するものであること。

WiFiは日本と米国は同じ周波数帯域を使用するため、iPadは(1)~(3)までの条件はクリアしていると思われる。問題になるのは、(4)である。この技術基準適合証明が、いわゆる「技適マーク」と呼ばれるものだ。もしワイヤレスマウスやキーボードなどをお使いの方は、裏側をひっくり返したり電池ボックスの中を見て欲しい。郵便局のマークの上に電波の波がデザインされたマークがあるはずである。これが技適マークだ。

技適マークは、日本の電波法上、使用に問題がないという検査を第三者機関が行ない、そこだけがマークを発行することができる。設計書レベルで検査ができれば、製品にマークを印刷することができる。一方製品直接の検査では、製品ごとにシールを貼り付けることになる。iPadのように大量に販売される製品は、設計書レベルで検査したほうがコストが安いので、マーク印刷になるだろう。

もし技適マークがない製品を使用した場合は、電波法第百十条一号の違反となり、「一年以下の懲役又は百万円以下の罰金」となる。電波法の取り締まりは総務省の該当部署が行なうが、調査員の人数などは公開されていない。悪質な違反者の逮捕は、警察と連携して行なうのだという。

ここで一つ勘違いしないでいただきたいのは、電波法は技適マークの付いていない製品の売買や所持は規制していない。つまり買ったよ、持って帰ったよ、売ったよ、という事に関しては、違法ではない。日本国内で使用する、つまり電源を入れて電波を発信した状態が違法になる、ということである。

技適マークも今度の法改正で、物理的なマークではなく、画面上に表示できればいい、ということになるそうである。それでiPad並行輸入問題も万事解決だと思っている方もいるようだが、実はこれはまったく解決にはならない。つまりマークを発行(表示)するためには、相変わらず第三者認定機関の検査を受けなければならないことには変わりがないし、認可前の製品を日本に持ち込んで使用することは、相変わらず電波法違反のまま、なのである。

今後似たようなワイヤレス製品は、日米間だけでなく、中国との間でもどんどん物流が拡大していくものと考えられる。iPadが象徴的ではあるが、テクノロジーの流通を萎縮させることがないよう、「モノは届くが使うと違法」という問題をどのように解決していくべきか、その方法論を早急に模索する必要が出てきたわけである。(小寺信良/MIAU代表理事、ジャーナリスト)

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