- 2017年07月11日 15:15
実録「男に嫌われた男、女に嫌われた女」
2/3CASE3:なぜ? 配属早々、仕事の改善案を提案したのに
●Yさん(38歳・女性)
女性ばかりの職場でグループごとにリーダーが8人いたが、Yさんはそのうち5人から無視されるように。きっかけは配属早々、彼女たちの仕事のやり方を批判したことだった。
Yさんは女性の集団から無視されるようになってしまった。Yさんの職場は80人中75人が女性で、管理者は不在。その代わりグループごとにリーダーが8人いた。Yさんもリーダー候補としてその職場に配属されたが、その8人のリーダーたちのうち、5人から無視されるようになってしまったのだ。
きっかけは、Yさんが配属されてまだ2~3日目に、注文実績の数え方に間違いがあることに気づき、それを指摘したこと。また彼女たちの仕事の組み立て方について、「もっと先を見越して、こうしたほうがいい」というように、何度か意見を言ったことだった。通りすがりに「仕事もろくにできないくせに」とボソッとつぶやかれ、「あ、私のことだ」とピンときた。
やがてYさんは彼女たちが自分に素っ気ない態度をとっていることに気がついた。話しかけても返事がない。「聞こえないのかな?」と思って重ねて話しかけると、「はい」「うん」「そう」など一言だけで終わる。「嫌われているんだ」と気づき、仕事中に泣きそうになってしまった。そんな状態が2~3カ月続いたが、「あんなくだらない人たちと同じレベルになってたまるか」と思い、こちらから普通に話しかけるようにした。
たとえばロッカールームで顔を合わせれば、「今夜はスーパームーンなんだって」などと他愛ない世間話を振る。もちろん返事は「ふーん」だけ。でも「表面上だけでも、トゲトゲしなければもうそれでいい」と開き直り、1年くらい同じ態度を貫いた。結局その部署は会社の都合で仕事が減り、他部門に集約されて解散。
Yさんと関係の悪かった人たちは解雇され、いまでは一人も残っていない。
▼解説
このように無視されるのは決して愉快なことではないが、男性が男性(特に上司)に嫌われると、昇進や昇給などの待遇に露骨に響いてしまうのが怖いところだ。また同期で目立って出世すると、周囲の妬みを買うおそれも出てくる。もっともこれは厳密にいえば「嫌われる」ということとは違う。
「人間は常に自分と他人を比較しながら生きています。自分とあまりにもかけ離れた人とは比較しても不快になりませんが、同性、同世代、同期入社など共通点があると、つい比較してしまう。そしてその相手に自分よりも優れたところがあると、場合によっては妬み、抑うつ、憤慨などの感情が生まれる。その感情を処理するために、相手と心理的な距離をとろうとするのです」(心理カウンセラー・塚越友子さん)
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▼塚越さんのアドバイス
職場とは絶対的な正しさではなく、それぞれの職場ならではの「ローカルルール」で動いています。Yさんはそれを無視して、新しい職場の仲間として受け入れられる前から、自分のやり方が正しいという主張を繰り広げてしまった。これでは嫌われるに決まっています。実はこの手の相談はとても多く受けます。組織のルールをまず見ましょう。自分のルールとは違っても、それを否定、批判するのはNG。「自分の考えもひとつの仮説にすぎない」と一歩引いて職場を眺めれば、状況が理解できるのではないでしょうか。
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CASE4:資格をとったら、同期から嫌がらせが始まった
●Sさん(36歳・男性)
ある資格をとったSさん。すると同期の男性から、「資格をとったからといって仕事に直結しない」「資格の勉強をする暇があったら仕事をするべきだ」などの嫌みが始まった。
Sさんは、資格取得をきっかけに、同期の男性社員からさまざまな嫌がらせを受けるようになった。Sさんが勤めていたのは急成長中の若い企業で、やる気さえあれば誰でも重要な仕事に抜擢してもらえたためSさんは発奮。働きながら、ある資格を取得した。
ほとんどの人は「えらいね」「がんばってるね」「体壊さないでね」という反応だったが、その同期社員は、「資格をとったからといって仕事に直結するわけじゃない」「資格の勉強をする暇があったら仕事をするべきだ」などと嫌みを言うようになったのだ。
その男性社員は2歳年上だったがSさんと同じ転職組で、同時期に入社したという意味での「同期」。最初のうちは「お互いがんばりましょう」と飲みにいったり、仲良くしていた。でもSさんが頭角を現し、現場の人たちや社長から可愛がられるようになると、彼の態度が変わってきた。
はじめは稚拙な嫌みを言うだけだったのが、手の込んだ嫌がらせをするようになってきたのだ。Sさんがタバコ部屋で5分休憩していたら「1時間もサボっている。残業代泥棒だ」。直接Sさんを知らない人に、「あいつはこんなやつだよ」とあることないことを言う。女性社員に「Sはいつも◯◯ちゃんの胸ばっかり見てるよ」などと吹き込む。
またSさんあての電話をその男性社員がとると、伝言を伝えてくれない。ふつうは伝言メモを机の上に置いたり、付箋を貼ったりするが、彼はそれをせずに、メモをSさんの机の下のゴミ箱に入れるようになったのだ。つまり「俺はちゃんと置いたよ。おまえが自分で間違えてゴミ箱に捨てたんだろ?」と言えるようにしておくというわけだ。
もちろん飲み会にも声をかけないし彼が幹事をする会は、必ずSさんの都合の悪い日に設定する。
「出る杭は打たれるが、出すぎた杭は打たれない」という。Sさんは「出すぎた杭」になることを決意した。その後、さらに7つの資格を取得。寝る間を惜しんで仕事に打ち込んだ結果、同期は異動で北海道に飛ばされ、Sさんは現在、コンサルとして独立している。
▼解説
なるべくなら人の妬みは買わないほうがいいが、完全に封じ込めるのは不可能だ。心理カウンセラー・塚越友子さんは、「成功したいなら、ある程度妬まれることは覚悟したほうがいい」とアドバイスする。妬みは相手が一方的に抱くもの。自分は悪くないのだから、放っておけばいい。
結局、万人に好かれることなどありえない。仮に誰かに嫌われたとしても、よくあることとして受け流し、嵐が去るのを待つのが得策のようだ。
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▼塚越さんのアドバイス
Sさんが「出すぎる杭は打たれない」と一念発起し、仕事の結果を出し、嫌がらせを打ち消せたのは心理学的に理にかなっています。周囲の人と比較して、自分のポジションをいつも確認していて、あまりにも近しい人が成果を出していると、自分が傷ついてしまうので、相手との心理的距離を取ろうとすることから、嫌がらせは始まります。手の届かない人間だと諦めると、嫌がらせは終わるのです。Sさんの職場は、Sさんの仕事ぶりを評価し、足を引っ張った同期を左遷したところから、正常な組織だったことにも、救われましたね。
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