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  • ヒロ
  • 2017年07月10日 17:01

フランスのガソリン車全廃発表の影響力

フランスがG20に合わせて発表した2040年までのガソリン車、ディーゼル車販売の全廃計画はマクロン大統領の二つの敵対心がそうさせたのかもしれません。一つは国内の政敵である極右派、国民戦線のマリーヌ ル ペン氏の政策との差別化、そしてもう一つがG20で初対決のドナルド トランプ氏の姿勢にあったように感じます。保守や古いスタイルの考え方から脱却し、革新的で3歩先を考え、20年後のフランスを考えているとすれば39歳のマクロン大統領は久々に国民的人気を博すかもしれません。

トランプ氏は地球温暖化対策であるパリ協定から離脱をし、アメリカ国内ではシェールオイルや資源開発を進めます。環境よりも雇用という名の目先の経済効果を打ち出し、自身の大統領任期中の成果を数字で捉えようとするスタイルは典型的なアメリカの近視眼的発想とも言えるでしょう。一方で、マクロン大統領の打ち出した2040年への挑戦は世界の自動車産業地図を激変させる可能性が大いにあると思います。

このG20の少し前、スウェーデンのボルボ社が2019年までにすべての車を電気かHVに変え、ガソリンのみで動く車を全廃すると発表しました。正しくはスウェーデンではなく中国の会社が所有するボルボなのですが、電気自動車に対する高い期待は中国が先行しています。中国は国策一つでどうにでも産業構造を変える能力を持っているため、世界の自動車会社の電気自動車生産能力、正しくは電池の生産能力が十分になればその方向に本格的に舵を切ることもあるかと思います。

もう一つのニュースはベントレーがプラグインハイブリッドを売り出す見込みだと報じられています。ベントレーと言えばロールスロイスの兄弟車で世界で走る台数など知れています。そんな同社が環境対策を施した車を開発する意味合いがどこにあるのか、ここに注目しています。

フランスは2040年までにガソリン車販売を全廃させるために買い替え促進の補助金も打ち出すとみられています。環境問題に敏感な欧州はこれに続く国家が続出する可能性があります。仮に自動車大国ドイツがこれをフォローした場合、世界の自動車産業構造は、全く違うものになります。

とすれば日本の自動車産業はどう対応するのか、可及的速やかな判断を求められます。

個人的にはフランスのこの発表が政府として、あるいは新大統領の世界舞台での初披露としてインパクトを持たせた点において失速気味の我が国の自民党と好対照だったと思っています。

もちろん、日本の現政権が仮に同様のことを発表すれば自動車産業界からは非難ごうごうだろうと思います。一方で世界の中で生き残るために日本の自動車産業を政府レベルで変えていこうとするならば世界から見た評価は相当高まるでしょう。ならば、日本はすべての車を自動運転にして交通事故フリーの国家を作るとしたらどうでしょうか?(これを言うと損害保険業界から猛烈な反発が来るのですが)

考えてみれば日本の自動車業界は排ガス規制で先行するカリフォルニア州のルールに振り回されてきました。つまり業界は世界市場の中でそのルールがその企業方針を左右してきたといってもよいでしょう。それ以外にも目立たないのですが、ノルウェーは電気自動車の普及率が25%、オランダも10%を超えていますが、これも政策主導なのです。

日本の自動車メーカーが世界に誇るとすれば何に誇るのか、ここがポイントになる気がします。品質の良い自動車を作ることには長けていますが、地球環境と人々のマインドの先を読み込んだマーケティングは不得手であります。それ以上に日本の官僚は前例主義に業界とのがんじがらめという立場で今を乗り切るのに精一杯であります。これでは日本が世界のリーダーになれる素地はありません。

日本が目指すべきはモノづくりから次のステップに進むべきです。それは地球儀ベースにおける人間共同体にとって5年後、10年後のあるべき社会の具現化を進めることではないでしょうか?官民が手をつないで崖から落ちるのか、共に飛び立つのか、今、日本は岐路に立たされているといってもよいのではないでしょうか?

フランスの今回の発表を日本政府も業界ももっと衝撃的事実として受け止めるべきであろうと思います。

では今日はこのぐらいで。

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