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- 2009年12月14日 11:00
【MIAUの眼光紙背】ネットによる直接民主主義の可能性を考える
10月24日放送の「朝まで生テレビ」にて、批評家の東浩紀氏がインターネットを使った直接民主制の可能性を示唆してから、ネットでは多くの前向きな議論が沸騰している。
MIAUでは先の衆議院選挙で立候補者へのアンケート調査を実施したが、政治家(正確には候補者だが)に対するアプローチの旧式なことに辟易とした。まず電話で選挙事務所にアポイントを取り、質問状を送付していいかを確認する。そののちにFAXで質問状を送付、返信もFAXでいただくという手法しかない。一部の候補者では事務所にFAXがないということで、郵送で質問状を送付した。日本総ブロードバンド時代とも言われる現在においても、未だ基本アクセスが電話回線なのである。
このアクセシビリティの低さを見て、政治活動にはネット活用が必須という思いを強くした。先の選挙で筆者の選挙区で当選した民主党議員は、Twitterのアカウントを持っている。Replyでもすれば簡単にコンタクトは可能、と言いたいところだが、選挙が終わったとたんまったく更新されていない。選挙期間中だけブームに乗った、ということだろう。
筆者の選挙区で落選した自民党議員は、うちの子どもの運動会の来賓として本部席に座っていた。彼は筆者の選挙区の候補者のうちでただ一人、MIAUのアンケートに返信しなかった人物である。幼稚園の運動会に来たぐらいで、顔が売れると思っているような旧態然とした手法しか知らぬ政治家に、我々が託せるものは何もない。政治家にはネットを利用した高いアクセシビリティが必要だ。
そもそも代議士というのは、多くの人の意見を代表する形で、方策を決める議会に参加する資格を持つ者である。それは議会というものが、物理的に所属者全員の参加を処理しきれないという、至極単純な理由からである。しかしネットのソーシャルサービスを使えば、1億人は無理でも、数万人〜数十万人規模で直接コンセンサスを取ることは可能かもしれない。
たぶん東氏はテレビでの議論ということで、その現実性よりも論としての革新性を優先して直接民主主義を唱えたのだと思うのだが、これを現実的な視点で考えるならば、やはりプラン発案者・実行者としての代議士は必要であろう。というのも、すべての人に対してゼロから意見を申し述べよというのは無理な話だが、いくつかのプランの中からもっとも良いものを選べというのは可能だと思うからだ。
したがってネット直接民主主義を新しい政治システムとして考えるならば、テーマごとに支持する代議士を選べるようにしたらどうか、と思う。現在は数年に一度、地元の代議士に投票してしまったら、もう有権者はその代議士をコントロールできなくなってしまう。次の選挙では投票しないぞ、と言っても、一人や二人ではどうしようもないという現実がふりかかるわけである。
しかし政策ごとに代議士を乗り換えられるようになれば、その都度もっとも合理的で、かつ正しいと思われる方策を述べる者を支持できる。さらに大きなことを言えば、地域に縛られる必要すらない。遠くはなれた代議士であっても、有能であると国民が判断すれば、支持を集めることができ、彼の方策が実現できるわけである。
そうなると国会の二院制というシステムも、作り替えた方が良い。あまり役に立っているとも思えぬ参議院を解体し、そのポジションにネットによる直接議会を据えるというのはどうだろうか。
ネットによる直接民主主義は、いろいろな未来を感じさせる。ただ現実を直視するならば、相変わらず選挙期間中にはブログの更新もままならぬという事態である。選挙期間中ほど、政治に対して興味・関心が高まる時期は他にないというのに、政治家を囲んでネットでの政策議論すらもままならないのでは、直接民主主義にはほど遠い。
直接民主主義の方法論を議論することも重要ではあるが、その大前提としてまず公職選挙法を改正し、政治を語るツールとして、ネットが十分に活用できる環境を整備する必要がある。
(小寺信良/MIAU代表理事、ジャーナリスト)
MIAUでは先の衆議院選挙で立候補者へのアンケート調査を実施したが、政治家(正確には候補者だが)に対するアプローチの旧式なことに辟易とした。まず電話で選挙事務所にアポイントを取り、質問状を送付していいかを確認する。そののちにFAXで質問状を送付、返信もFAXでいただくという手法しかない。一部の候補者では事務所にFAXがないということで、郵送で質問状を送付した。日本総ブロードバンド時代とも言われる現在においても、未だ基本アクセスが電話回線なのである。
このアクセシビリティの低さを見て、政治活動にはネット活用が必須という思いを強くした。先の選挙で筆者の選挙区で当選した民主党議員は、Twitterのアカウントを持っている。Replyでもすれば簡単にコンタクトは可能、と言いたいところだが、選挙が終わったとたんまったく更新されていない。選挙期間中だけブームに乗った、ということだろう。
筆者の選挙区で落選した自民党議員は、うちの子どもの運動会の来賓として本部席に座っていた。彼は筆者の選挙区の候補者のうちでただ一人、MIAUのアンケートに返信しなかった人物である。幼稚園の運動会に来たぐらいで、顔が売れると思っているような旧態然とした手法しか知らぬ政治家に、我々が託せるものは何もない。政治家にはネットを利用した高いアクセシビリティが必要だ。
そもそも代議士というのは、多くの人の意見を代表する形で、方策を決める議会に参加する資格を持つ者である。それは議会というものが、物理的に所属者全員の参加を処理しきれないという、至極単純な理由からである。しかしネットのソーシャルサービスを使えば、1億人は無理でも、数万人〜数十万人規模で直接コンセンサスを取ることは可能かもしれない。
たぶん東氏はテレビでの議論ということで、その現実性よりも論としての革新性を優先して直接民主主義を唱えたのだと思うのだが、これを現実的な視点で考えるならば、やはりプラン発案者・実行者としての代議士は必要であろう。というのも、すべての人に対してゼロから意見を申し述べよというのは無理な話だが、いくつかのプランの中からもっとも良いものを選べというのは可能だと思うからだ。
したがってネット直接民主主義を新しい政治システムとして考えるならば、テーマごとに支持する代議士を選べるようにしたらどうか、と思う。現在は数年に一度、地元の代議士に投票してしまったら、もう有権者はその代議士をコントロールできなくなってしまう。次の選挙では投票しないぞ、と言っても、一人や二人ではどうしようもないという現実がふりかかるわけである。
しかし政策ごとに代議士を乗り換えられるようになれば、その都度もっとも合理的で、かつ正しいと思われる方策を述べる者を支持できる。さらに大きなことを言えば、地域に縛られる必要すらない。遠くはなれた代議士であっても、有能であると国民が判断すれば、支持を集めることができ、彼の方策が実現できるわけである。
そうなると国会の二院制というシステムも、作り替えた方が良い。あまり役に立っているとも思えぬ参議院を解体し、そのポジションにネットによる直接議会を据えるというのはどうだろうか。
ネットによる直接民主主義は、いろいろな未来を感じさせる。ただ現実を直視するならば、相変わらず選挙期間中にはブログの更新もままならぬという事態である。選挙期間中ほど、政治に対して興味・関心が高まる時期は他にないというのに、政治家を囲んでネットでの政策議論すらもままならないのでは、直接民主主義にはほど遠い。
直接民主主義の方法論を議論することも重要ではあるが、その大前提としてまず公職選挙法を改正し、政治を語るツールとして、ネットが十分に活用できる環境を整備する必要がある。
(小寺信良/MIAU代表理事、ジャーナリスト)



