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予約キャンセルデータベースの適法性について

飲食店を大人数で予約しながら無断でキャンセルする迷惑な客の電話番号を店舗側で共有して、リスクを軽減するサイト「予約キャンセルデータベース」が話題になっている。

飲食店の無断キャンセルは、キャンセルした客側の違法行為となる可能性があるし、店側の怒りも自衛の気持も理解できる。だが、客の電話番号を無断で共有することに、法律上の問題は無いのだろうか。

このサイトによれば、サイト運営者は弁護士から法律上問題ないとの回答をもらったという。また、記者が個人情報保護委員会に問い合わせたところ、「電話番号しか確認できないシステムですと法律(個人情報保護法)の対象外になる可能性が高い」との回答を得たという。

これらの回答は、電話番号は個人情報にあたらないとの理解を前提にしていると思われる。以下便宜上、携帯電話番号に限定して考えてみよう。

日置巴美氏、板倉陽一郎氏共著の『個人情報保護法のしくみ』によると、大要、「携帯電話番号は、個人契約だけでなく法人契約もあり、プリペイドカード式のものもあるし、短期で変更されることもあるので、「現時点において一概に個人識別符号に該当するとはいえない」とある。

だが、個人情報か否かの問題は、個人識別性の有無の問題だから、契約者が法人であることは本来関係ないと思う。要は、「この電話番号にかけたらこの人と話せる」ということがポイントなのであって、その電話番号を契約している人が誰か、ではない。それに、契約している法人にとって個人情報ではないとしても、個人契約者にとっては個人情報であることはありうる。プリペイドカード式の場合、本人到達可能性は低くなるが、それは顔写真も同じである。顔写真を見ただけで、どこの誰かがわかるのは、本人が有名人でなければ、その人の家族や知人に限られるのだから。顔写真が個人情報であるならば、プリペイドカード払いの携帯電話番号も個人情報ではないのか。また、短期で変更されることもあるから個人情報ではないというなら、旅芸人の住所(居所)だって個人情報ではない(もっとも、個人情報保護委員会のガイドライン上は、住所だけなら個人情報ではない、ということになっているが)。

このように考えてくると、上記の理由で「個人情報ではない」というのは、いささか苦しいのではないだろうか。私としては、「容易照合性」がないゆえに、それだけでは個人情報ではない、という理由付けの方がよいように思う。すなわち、その電話番号と「どこかの誰か」が結びついているとしても、そいつがどこの誰であるかを調べて特定することは、一般的にかなり困難である、という意味において、個人情報ではない、と考える。それならば顔写真も容易照合性がないという点では同一ではないか、との批判もありうるが、顔は取り替えがきかない、という点が違うと考えるべきではないだろうか。

携帯電話番号が個人情報ではないとすると、何も問題は無いだろうか。たとえば、名誉毀損にはならないか。飲食店の無断キャンセルをした、という事実は、キャンセルしたとされる本人の社会的評価を低下させるおそれのある事実だから、名誉毀損の成立するおそれはある。これを否定する論拠としては、「当該携帯電話番号の主が誰であるかを特定していない以上、名誉毀損にならない」との考え方もあろうが、本人特定性がないから名誉毀損にならない、と考えた場合、たとえば、無断キャンセルの事実がないのに悪意で登録したような場合にも、名誉毀損にならないことになるが、それでよいだろうか。私としては、「飲食店の無断キャンセルという、違法の疑いの強い行為が事実である以上は、その番号を登録され共有される程度のことは、電話番号主の受任すべき限度内にある」と考える。

電話番号主が代わったときどうすべきか、という問題もある。なにしろ、その携帯電話番号は、飲食店の予約をしようとしても、ことごとく満席との返事が返ってくるという、「呪いがかかった番号」なのだ。番号主が代わったときには、この呪いを解く仕組みが必要ではないだろうか。

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