- 2017年07月09日 11:15
自ら机に向かう子の親が“欠かさない習慣”
2/2■子どもを自ら机に向かわせる「仕掛け」とは?
【4:学びに向かう環境づくり どこで勉強すればいいか】
とはいえ、子どもを自ら机に向かわせるのは至難の業です。それなりの「仕掛け」が必要です。自ら机に向かう習慣の環境づくりです。
たとえば、「机」をどこに置くか。これは意外と大切です。家庭教育に関する知識が普及し、リビングルームに子どもが勉強できるような机を置く家庭が多くなりました。これなら親の目も行き届き、やっているかどうかもよくわかります。すぐそばにいるので、声かけもしやすく、教えやすいです。ひとりでいることが不安な子どももいるので、特に小学校の低学年までには効果的でしょう。
リビングルーム勉強が向いている学年は?
しかし、「リビング勉強」は落とし穴があります。小学校も高学年以降だと、同じ環境が必ずしもいいとは限らないのです。
まず、小学生高学年だと家に帰ってくる時間が遅くなります。帰宅後すぐに習い事がある場合もあるでしょう。そうなると、当然自宅の机に向かう時間は遅くなります。さらに、大好きなテレビ番組の時間とかぶるかもしれません。いや、自分が興味なくても、家族の誰かがテレビを見たりゲームをしたりするかもしれません。
その場合は、やはり自分の部屋など雑音に邪魔されない空間のほうが集中できる可能性が高まります(特に弟や妹がいる場合は要注意です)。また、高学年になると内容も難しくなってきて、親のほうがうまく教えられなくなることも増えます。
教えられたとしても子どももそろそろ思春期に突入し、反抗的になって親のアドバイスを素直に聞かなくなってきます。その時に、親が近くにいると、つい口出ししたくなっていまい、余計に学習意欲を下げることにもなりかねません。
そうなると、仮に机に向かう習慣が身についていても、外的要因によって崩れる可能性が出てきます。「今のわが子」に合うのはリビング机か、自分の部屋の机か。「机がどこにあるべきか」という視点は、習慣化を考える上で大切です。
■「いつ勉強するか」子どもの“忙しさ”別の決め方
【5:いつ、どれぐらい勉強するか ルールを決める】
先に述べたように、机に向かうという子どもに「不自然な行為」を求める以上、最初のうちは一定のルールを親が子どもと相談して決めることが必要です。その後、親とのルールのいらなくなる「自ら」決める状態を目指します。
重要なルールは、「時」です。いつ、どれぐらい勉強をするのか、ということです。
労働時間制度になぞらえると「固定時間制度」「フレックスタイム制度」「裁量労働制度」のどれに近い形をとるかということです。わが子の個性と生活スタイルに合わせ、どの選択が正しいか親もいっしょに考えてます。
「固定時間」が合うのは、曜日によって帰宅時間などがぶれないお子さんの場合です。同じ時間に同じように机に向かえるので、最も早く習慣化ができます。また、気分によってやる気が左右されやすいお子さんの場合も、はっきり時間が固定していた方が習慣化しやすいでしょう。
「フレックスタイム」が合うのは、この逆の場合です。ある曜日は自分の時間がたっぷりあるけど、ある曜日はほとんど自分の時間はない、というお子さんの場合です。習い事などが多くある場合、こうなりがちです。机に向かう時刻も勉強時間も、ある程度柔軟に設定する必要があります。自分で考えるのが難しいお子さんの場合や、やる気にぶれの出やすいお子さんの場合、この時間管理のアドバイスや声かけを親がしてあげるのが賢明でしょう。
そして「裁量労働制」が合う場合。これは、もう「自ら机に向かう習慣」が身についている子どもです。自分でやるべきことの管理ができ、こちらが指示する必要のない、ルール不要の状態です。最も理想的ですが、「それができるなら苦労ない」ので、今回は取り上げません。最終的に、中学生までにここを目指します。
自ら机に向かってもご褒美をあげてはいけない
【6:ご褒美も叱責もいらない すべては自分のため】
冒頭でも少し述べましたが、そもそも子どもが「自ら机に向かう習慣」を身に付けるべき理由は何かと言えば、「自分のため」以外にありません。親を喜ばせたり納得させたりするためのものでは決してないのです。
ですから、親は机に向かっているわが子を無条件に褒めればいいというものではありません。前出のベネッセの調査では、ふだん子どもとどんな関わりをしているか保護者に聞くと、1位は「勉強を頑張っていれば褒める」(小学生の親92.8%、中学生の親89.3%)だった。もちろん、適切に声をかけ褒めることは悪くありません。しかし、ご褒美のおやつやゲームの時間は、一時的に効果は出ても、本来の目的とは全く離れます。もちろん、逆に、しかってなだめすかして何とかやらせても、やっぱり目的から外れます。
■「勉強しなくても別に構わん。中学出たら働けばいい」
極端な話、「勉強をさせようとしない親」でも、大丈夫なのです。事実、超名門と呼ばれるような大学に通う学生の多くが「勉強しろと親に言われたことは一度もない」と口をそろえて言います。これは、日本だけでなく、世界共通のことのようです。
私も「超名門」というほどではないものの、地方の国立大学に現役で入学しています。考えてみれば私自身も、親に一度も「勉強をしろ」と言われたことがありません。そして、中学生までに学習習慣は身についていました。
私の父は、私が小学生の頃から「勉強しなくても別に構わん。中学出たら働けばいい」と笑って言っていました。これは笑い話ですが、大学受験の勉強中、この父はたまに帰ってくると、私の部屋でゲームをしていたという豪快な逸話を持つ人物です。
しかし、そんなことで私の勉強の手は止まりません。その頃には自分にとって学習が「必要」と判断していたからです。親がしたのは、きっかけとして、通信教育の教材をとることを許可したことぐらいです。習慣化の勝負は、中学生までについていたのです。
「母さんは、バカだからさ」と机に向かった母親
【おわりに】
ここまで、自ら机に向かう子どもにするためのアイデアを述べてきました。しかし繰り返しになりますが、何より親ができることは、「勉強をしろ」ということよりも、その環境を整えて見守ること。
先に例に挙げた私の父も、思えば寝る前に建築に関する勉強をしている姿をわが子に見せていました。母は、「母さんは、バカだからさ」といって、机に向かって、やはり看護に関する勉強をしていました。親自身の姿は、最高の家庭学習環境です。
まずは親である自分自身が勉強、学習を楽しむ姿を見せることから始めてみませんか。
(国立大学附属学校 小学校教諭 松尾 英明)
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