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主張/閣議決定から3年/憲法の平和主義を取り戻そう

 安倍晋三政権が集団的自衛権の行使を認めた「閣議決定」の強行から今月で3年です。歴代政権が集団的自衛権の行使は許されないとしてきた憲法解釈を根底から覆した、この「閣議決定」に基づき、安倍政権は安保法制=戦争法の成立を強行しました。安倍首相は今、自衛隊を憲法に明記する改憲の動きを加速させ、「戦争する国」づくりの道をさらに突き進んでいます。憲法の平和主義と立憲主義を回復することは国政の緊急課題です。

立憲主義を根底から破壊

 政府は、集団的自衛権について「自国と密接な関係にある外国に対する武力攻撃を、自国が直接攻撃されていないにもかかわらず、実力をもって阻止する権利」と定義しています。その発動は、海外での武力行使に他なりません。

 歴代政権は自衛隊発足当時から60年余、集団的自衛権の行使は日本への武力攻撃が発生していないことから、「憲法上許されない」との解釈を堅持してきました。

 ところが、安倍政権は2014年7月1日の「閣議決定」で、「他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある場合」(存立危機事態)に、これを排除するために実力を行使することは「憲法上許容される」としました。「存立危機事態」の判断は時の政権の裁量任せで、集団的自衛権の行使に歯止めがなくなる危険があります。「憲法上許されない」から「許される」への文字通りの百八十度の転換です。

 しかも、この「閣議決定」は、集団的自衛権の行使ばかりでなく、▽地理的制約なく米軍部隊を防護するための武器使用▽「戦闘地域」での米軍などへの軍事支援拡大▽戦乱が続く地域での「駆け付け警護」や治安活動―でも、海外での武力行使に道を開きました。

 空前の規模に発展した国民の反対運動や世論を無視し、15年9月に成立が強行された戦争法は、16年3月に施行されました。

 これを受けて安倍政権は同年11月、南スーダンPKO(国連平和維持活動)の陸上自衛隊派兵部隊に「駆け付け警護」の任務を付与しました。同年7月に同国で起きた大規模な武力紛争で陸自部隊が現地政府軍と戦闘寸前になる事態が生まれていたのに、「駆け付け警護」任務を付与したことは、「殺し、殺される」危険を現実のものにしかねませんでした(自衛隊は今年5月に撤収)。

 今年5月にはまた、北朝鮮の核・ミサイル開発への対応で米国が武力行使も選択肢にすると表明する中、海上自衛隊の護衛艦が米軍艦船の防護を行い、平和解決に逆行し、軍事対軍事の緊張を高める戦争法の危険を浮き彫りにしています。日本と北東アジアの平和にとって戦争法の廃止と「閣議決定」の撤回はいよいよ急務です。

9条改憲許さない運動を

 安倍首相が表明した、憲法に自衛隊の「意義と役割」を書き込む9条改憲案の狙いは、単なる“自衛隊の追認”ではなく、「存立危機事態」などの限定も全て振り捨て、海外での武力行使を無制限に可能にすることです。

 東京都議選での自民党惨敗は、安倍首相が進める改憲の動きへの明白な「ノー」の審判です。9条改憲の企てを中止させる世論と運動を強める時です。

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