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アングル:北朝鮮に強硬発言のトランプ氏、限られる選択肢

[4日 ロイター] - トランプ米大統領は北朝鮮による一連のミサイル発射実験を受けて強硬発言を繰り返しているが、歴代米政権が苦慮してきた同国への対応を巡っては、選択肢が限られているというのが現状のようだ。

ティラーソン米国務長官は北朝鮮による4日の大陸間弾道ミサイル(ICBM)発射実験について、世界にとっての脅威だと強調。専門家は米アラスカ州が射程に収まる可能性を指摘する。

米国が取り得る対応策は概ね、経済制裁、秘密工作、外交交渉、軍事力の4グループに分けることができる。

<経済制裁>

北朝鮮にはすでに貿易規制、資本取引規制、武器の禁輸措置など、多岐にわたる経済制裁が科されており、世界で最も厳格な制裁の一つとなっている。

ただ、米議会調査局の昨年の報告書によると、「アナリストの大半は、米国などによる制裁が北朝鮮の核兵器能力追求を阻止できてないと指摘」しているという。

ロイターはこれまで、トランプ政権の当面の北朝鮮戦略は経済制裁の強化を柱としており、石油禁輸措置や国営航空会社の運航制限、船舶貨物検査、北朝鮮と取引のある中国の銀行への制裁などが含まれる可能性があると報じている。

米当局者らは、北朝鮮への圧力強化に中国がどこまで協力するかについて懐疑的な見方を示している。中国政府は、北朝鮮の経済が崩壊した場合に難民が中国に殺到し、朝鮮半島の混乱に対応せざるを得ない状況に追い込まれることを長く懸念してきた。

ティラーソン長官は4日の声明で北朝鮮の労働者を受け入れる国や、北朝鮮政府に経済的または軍事的な支援を行う国、あるいは国連制裁の実施を怠る国はいずれも「危険な政権を支援し、ほう助している」と警告した。

<秘密工作>

米国はイスラエルの協力の下で、「スタックスネット」と呼ばれるコンピューターウイルスを使い、イランのウラン濃縮で使われる多数の遠心分離機を破壊した実績がある。

ロイターは2015年に、米国が09─10年にスタックスネットの一種を使って北朝鮮の核兵器開発プログラムに同様の攻撃を仕掛けたが失敗したと報じている。

同プログラムに詳しい情報機関の元高官は、北朝鮮の徹底した秘密主義と極度に隔離された通信システムが失敗の原因だったと説明。

秘密工作に近い別の手法としては、電子戦やサイバー攻撃によって北朝鮮が発射中あるいは発射直後のミサイルを停止させることが考えられる。

北朝鮮のミサイル実験の失敗率が高いことから、米国がすでにこのような攻撃を実施しているとの観測もある。ニューヨーク・タイムズ紙は今年に入って、米軍が従来の迎撃ミサイルではなく、妨害工作を含むミサイル防衛での取り組みを強化していると報じている。

<外交>

トランプ政権は、北朝鮮と対話を再開する可能性は排除しない姿勢を表明しているが、同国に核・ミサイル開発を断念させることを目指す協議であることを条件としている。

12年2月の米朝合意では、北朝鮮が寧辺の核施設のウラン濃縮活動や核実験、長距離ミサイルの発射を停止する代わりに、米国は食糧支援を決めたが、同年4月に北朝鮮は3段式ロケットによる人工衛星の打ち上げ試験を実施。打ち上げは失敗したが、米国はロケットが軍事目的に利用可能だとして合意違反だと非難し、履行を停止した。

中国はこれまで、北朝鮮によるミサイル実験に国連制裁の強化で対応することに同意してきたが、4日にロシアと発表した共同声明では、北朝鮮との協議を再開するために中国が策定した緊張緩和に向けた計画に加わるよう関係国に呼び掛けた。これには、北朝鮮が弾道ミサイル開発を停止する見返りに米韓は大規模合同演習を中止する提案が盛り込まれた。

<軍事力>

トランプ政権の軍事的な選択肢は、制裁の実施を目的とする海上封鎖や核ミサイル施設への巡航ミサイル攻撃、さらには金正恩体制の崩壊を狙った大規模な軍事行動が考えられる。

北朝鮮は米国が攻撃した場合は同国を「情け容赦なく破壊する」と警告している。

マティス米国防長官は北朝鮮問題を巡るいかなる軍事行動も「想像を絶する規模での悲劇」を引き起こすと警告している。

同じ番組でマクマスター米大統領補佐官(国家安全保障担当)は軍事行動を起こす可能性は低いことを示唆。「この問題を平和的に解決するために軍事行動以外のあらゆる措置を打ち出す時期に来ている」と述べた。

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