- 2017年07月05日 08:40
すべてのブログ執筆者・サービス運営者にあっぱれ~中川淳一郎の今月のあっぱれ
2/2芸能人の貴重な肉声を伝える情報ソースとして定着
また、2006年以降、芸能人がアメブロを中心にブログを多々開始するようになり、彼らの書き込みがネットニュースになる時代になった。実はこれを始めたのは多分私である。2006年にアメーバニュースの編集者になったのだが、とにかく記事本数が足りないことは明白だった。初の会議の際、サイバーエージェントの藤田晋社長に「記事、量産する方法を考えなくちゃいけませんねぇ……」などと泣きごとを言ったら藤田氏は「面白い芸能人ブログを紹介すればいいんじゃないですか? アメブロも含め、芸能人ブログ、面白いし充実していますよ」と言った。
まさに、「その手があったか」という感じだが、確かに次々と更新される芸能人ブログはネタの宝庫となっていった。他にも記事作成のためにはネットの各所を徘徊し、炎上案件などを必死に追いかけていた。途中「火に油を注ぐのはやめよう」と「炎上記事」は編集部の方針として中止することになった。こうした手法は「コタツ記事」と批判されることはあるが、芸能人の貴重な肉声や、ネットという「社会」で発生した人間同士の事件である。ツイッターやインスタグラムでの発言も含め、ネットにおける著名人の発言や一般人の諍いはスルーできない状況にあるだろう。
以後、芸能人は婚約・結婚・妊娠・出産などについてブログで第一報を発信することが当たり前になっていった。それを各種メディアが「タレントの〇〇が一般男性との結婚を自身のブログで発表した」という記事にしていくのである。冒頭の麻央さんの件も広義の意味では「ブログ発」ニュースといえる。
とにかく、現在ネットニュースの編集部はスポーツ新聞の電子版も含め、麻央さん、海老蔵さん、そして麻央さんの姉・小林麻耶さんのブログの更新情報を逐一チェックしてはニュース化している。サッカー日本代表・長友佑都さんと女優・平愛梨さんの結婚式についても、出席者の誰かが早くブログ・SNSを更新しないかと固唾を飲んでリロードを繰り返していた。そして、内山信二のブログがすぐにニュースとなった。
SNS全盛時代でも確かな存在感を発揮するブログ
かくしてブログが一般人、著名人の意見表出の場となるとともに、それらをまとめたのが当サイト・BLOGOSである。BLOGOSが開始した2009年10月、開始当初は「ブログを寄せ集めただけのサイトが成功するわけない」などと酷評されたものだが、今や錚々たる書き手が揃った総合オピニオンサイト兼ニュースサイトとなっている。
このやり方の優れた点は、両派の意見がごった煮になっている点である。多くのサイトであれば、一つのイシューについての論調はなんとなく予想ができるのだが、BLOGOSの場合は、両派が執筆陣に揃っている点から両方の論を読むことができる。また、編集部の方針としては、「自由に書いてください」という雰囲気を常に感じるため、著者としても書いていて楽しいものである。BLOGOSを運営するLINEが、ライブドアブログとLINEブログ両方を運営していることもあってブログ=自由な場所という文化が定着しているのであろう。
ブログに関してはツイッターをはじめとしたSNS勢に駆逐されているかという印象があったが、実際はどうなのか。最大手のアメブロの広報担当者・古賀早希子氏はこう語る。
「たしかに、一時期はブログ離れをする方が増えているように感じた時期もありましたが、今はSNSとブログをうまく使い分けている方が多いように感じます。自分の体験や思い、考えはブログにまとめ、その瞬間の感情や思いはSNSで投稿したり、ブログの記事をSNSで拡散するために使っていらっしゃったりする方も多いです。それぞれのメディアの特徴を活かした利用がされているのではないでしょうか。」
また、現在「プロブロガー」という言葉も存在し、ブログでお金を稼ぐ人々も出てきたが、ブログ「らふらく^^」著者で『副業ブログで月に35万稼げるアフィリエイト』著者のタクスズキ氏はブログをやり続けて良かったことについてこう語る。
「良かったことは、『好きなことを仕事にできたこと』です。ブログを始める前から、なんとなく『自分は書くこと、発信することが好きなんだろうな』とは思ってましたが、それをどうやって仕事にすればいいかはわからずにいました。ですが、ブログに出会ってこれで収入が得られると知ってからは、『これは本業にしよう』と思って頑張ることができました。結果、今のように『プロブロガー』という職業につけています。こうした経験をしたため、ブログをやって本当に良かったなと思っていますね」
そして、ブログが人生にどう役立ったかについてはこう語る。
「答えるのが難しいですが、『やりたいことを実現するためのツール』として役立つと思っています。 僕の場合は、『書く、発信する仕事につきたい』という夢を叶えるのに役立ちました。 他の方だと、『副業ブログで本業の会社員以上に稼いで、ゆとりある生活を手に入れられた』『ブログが有名になって出版し、作家としての足がかりをつかんだ』という方がいます。他にも、ブログを始めたことがきっかけでやりたいことが見つかり、起業してウェブメディアを運営している方もいます。このように、ブログを足がかりに夢に近づいていけるので、こういった点で人生にすごく役立つと思っています」
いずれにしても、ブログというものの意味合いを改めて問いかけた麻央さんの逝去だが、私達が生きた証を残すという意味において、以前より日本中のブログ群が愛おしくなってきた(※ただし、ニュースサイトをコピペしてPV稼ぎをするバカは除く)。2000年代中盤、雨後の筍のごとく乱立したブログも今やサービス閉鎖する例が増えている。だからこそ、今でもサービスを継続しているサービスの運営者・そして過去に運営した人・執筆者の皆様方に心より「あっぱれ」を入れたい。
- 中川 淳一郎
- ネットニュース編集者
一橋大学商学部卒業後、博報堂CC局で企業のPR業務を請け負う。2001年に退社後、フリーライターとなり、その後『テレビブロス』編集者に。企業のPR活動、ライター、雑誌編集などを経て『NEWSポストセブン』など様々な、ネットニュースサイトの編集者となる。
著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『凡人のための仕事プレイ事始め』、『ウェブで儲ける人と損する人の法則』、『内定童貞』など。



