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米国の「ポッドキャスト」事業、年2倍近い驚異的なペースで広告売上が急増

 低迷から脱して勢いづいてきた米国のポッドキャスト、収益化でも上昇軌道に乗り始めたようだ。

 IAB(the Interactive Advertising Bureau)とPwC(Pricewaterhouse Coopers)から公表された“IAB Podcast Ad Revenue Study”によると、米国のポッドキャスト広告売上高は2017年に2億2000万ドルとなり、前年同期に比べ85%増となる見込みである。昨年(2016年)も、図1で示すように、前年比72%増と急成長していた。

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(ソース:IAB and PwC)
図1 米国のポッドキャスト広告売上高。ポッドキャスト広告会社のトップ20社の調査より、2017年売上高を推定。

 2015年第1四半期から2016年第4四半期までを見ると、四半期単位の平均成長率が19%と驚異的な伸びを示している(図2)。2017年に入って、成長率がさらに加速化しているようだ。

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(ソース:IAB and PwC)
図2 米国のポッドキャスト広告売上高(四半期単位)の推移。

 IABが強調しているのは、ブランド広告が伸びていることだ。図3のように、2015年にはブランド広告(Brand Awareness Ad)は全体の17%であったのが、2016年には25%に膨れ上がった。また2016年には、ブランドコンテンツ( Branded Content)も出稿され始めている。 売上規模がまだまだ小さいながら、いい形で展開し始めている。

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(ソース:IAB and PwC)
図3 ポッドキャスト広告キャンペーンの内訳の変化

 このようにポッドキャストが広告メディアとして注目され始めた背景には、まず、モバイル化に伴いポッドキャストユーザーが着実に増えてきていることがある。米エジソン研究所(Edison Research)が2017年1月から2月の間に実施した調査によると、図4に示すように、過去1か月間にポッドキャストを利用した米人(12歳以上)は6700万人、過去1週間のユーザー数は4200万人であった。

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(ソース:Edison Research and Triton Digital)
図4 ポッドキャスト普及率の推移


 普及率はまだ低いものの、既存ポッドキャストユーザーの利用頻度は高い。米国人の14%は毎週利用しており、彼らは平均すると週に5回以上ポッドキャストを聴いている。かなり熱量が高い(図5)。

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(ソース:Edison Research and Triton Digital)
図5 過去1週間にポッドキャストを聴いたユーザーの利用頻度。平均では週に5回利用している。


 さらに、広告主にとって関心深いのは、デモグラフィック属性である。Nielsenの調査によると、図6のように、若年層、高学歴、富裕層が多いのが特徴である。また、ポッドキャスト番組のジャンルとしては、教育(学習)、ニュース、政治、テクノロジーのような硬いテーマも目立つ。ニュースメディアも最近、ポッドキャスト番組を充実させいるのも頷ける。

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(ソース:Nielsen)
図6 ポッドキャストユーザーのデモグラフィック属性と、ポッドキャスト番組のジャンル


 ポッドキャスト番組は一般にターゲットが絞られており、さらにそのオーディエンスが、若年・高学歴・裕福で熱量の高い人が多いとなると、ニッチながら広告メディアとして成長していきそうである。

 ということで、米国のインタラクティブ広告業界団体であるIABは今回初めて、ポッドキャスト広告売上高を調査し、その結果を公表した。IABはまた、4月に発行した“IAB internet advertising revenue report”の中で初めてデジタルオーディオ広告売上高を公表し、2016年に11億ドルに達したことを明らかにした。

 この背景にも、モバイル化の浸透で、オンラインラジオが急成長を続けていることがある。図7に米エジソン研究所によるオンラインラジオの普及率推移を掲げておく。

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(ソース:Edison Research and Triton Digital、Pew Research)
図7 米国のオンラインラジオの普及率推移。


 このようにオーディオメディアの雄であるラジオもデジタルシフトが進んでいることもあって、米国で最も国民にリーチしているメディアは、TVではなくてラジオである。図8は、Nielsenが18歳以上の成人を対象に2016年第4四半期に実施した調査結果である。ラジオは、米国のどの年齢層においても92%以上の人が少なくとも週に1回、ラジオを聴いている。

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(ソース:Nielsen)
図8 週当たりのリーチ。各メディアの年齢層別に利用率を示している。


 このように米国では車社会であることもあってか、オーディオメディアがどっしりと根付いている。またこのような下地があるからこそ、ポッドキャストが活気づき、音声操作のAIスピーカー(音声アシスタント)市場が立ち上がろうとしているのだろう。

◇参考
IAB Podcast Ad Revenue Study: An Analysis of the Largest Players in the Podcasting Industry(IAB)
STATE OF THE MEDIA:AUDIO TODAY 2017(Nielsen)
米国で盛り上がるオーディオメディア、再熱する「ポッドキャスト」と着火した「音声アシスタント」
(メディア・パブ)
Audio and Podcasting Fact Sheet(Pew Research Center)
Nielsen: Marketers Are Rediscovering Radio’s Power.(Insideradio)

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