- 2017年07月04日 10:30
都民ファースト大勝の意味合い
2/2スタイルを突き詰めるという価値
現時点では、都民ファーストは、政党の系譜として昔から存在してきた「スタイルの党」であると思っています。古くは70~80年代の新自由クラブ、90~2000年代の日本新党やみんなの党などです。自民党が弱った時に出てきて、10年くらいすると役割を終えて消滅してきた政党群です。
小池氏が、政策の中身ではなく、「改革」や「新しい」という言葉を繰り返すのは偶然ではありません。今の都民ファーストにとって大事なことは、自民党的でないこと。古いおじさん体質でないこと。密室政治的でなく、談合的でないこと。もちろん、反対ばかりの左翼イデオロギー的でもないこと。都会的で、多様性を重んじること。
経済思想は新自由主義風味で、安全保障は現実主義風味。けれど、実際に経済で国民に不利益を配分し、安保で戦後的コンセンサスから踏み出すことにはあくまで慎重のようです。具体的に論争のある立場で支持基盤が割れるような判断を好まず、あくまで、スタイルの変化に重きを置く。
私自身、テレビや雑誌の対談で都民ファーストの中心メンバーとお話しする機会が何度かありましたが、「小池さんの国家観が見えない」などと言うと、皆さん、キョトンとされるのです。発想が異なるというか、言葉が通じない感覚なのです。
仮にそれが理解できないのだとすれば、思いっきりプラスに解釈して、スタイルを突き詰めるという価値もあるかなと思うに至っています。つまり、政策の中身の話は追求しない。とりあえず、国民の最大公約数的な立場を取る。その代わり、日本政治の体質改善につながるような、スタイルの改革を徹底する。
体質改善を通じて政治の世界に入ってきた新世代の日本人が、新しい政策の思想や国家観を紡いでいくことに期待するという発想です。都民ファーストにそんな発想がありうるとすれば、私は、政党運営、選挙制度改革、行政改革の3つの分野が重要と思います。
政党運営、選挙制度改革、行政改革
日本の政党運営は個々の政党に完全に任されています。政党が、民主主義の中で大きな役割を果たし、政治の質を実施的に決めているにも関わらず、です。ここは改革の宝庫です。
例えば、政党の公認候補に対して性別や年齢のクォータ制を入れてはどうでしょう。「公認候補の4割以上は女性とする」あるいは、「公認候補の3割以上は40歳以下とする」などです。これは、内部ルールで決めればいいのですから、明日からでもできます。他にも、同一選挙区から二世・三世の候補を公認することを禁止するのも、ラディカルでいいのではないでしょうか。都民ファーストの国会団の幹部と目されている人さえ引っかかってくる可能性がありますが、政治の体質改善には間違いなくつながるでしょう。公認候補を決める際、徒に現職優先とせず必ず予備選挙を行うことや、政策秘書を各政治家に配分せずに政党本部に集めて政策立案能力を高める運用を行うこともできるはずです。
選挙制度関連では、一票の格差の縮小を徹底してはどうでしょう。現在の一票の格差縮小のための選挙区改革は、最高裁の判例の基準に則って2倍以内にすることを目標に行われています。ただ、この基準が悪用されて2倍までの格差はOKという運用になってしまっているのです。あくまで原則は格差1倍を目指すことを目指すとすれば、都市部への議席配分を倍増できます。当然、田舎の縁故型の選挙区は減り、都市型の選挙区が増えます。
私は、日本の選挙制度の不備は、二大政党制がきちんと機能していないことにあると思っていますので、衆議院の比例代表部分の廃止や、小選挙区ごとに上位2候補による決選投票を導入するのも一案かもしれません。地域代表が存在することや、多様な選出方法をとることで少数意見を吸い上げるのも確かに重要ですから、参議院は一票の格差に拘らず、まったく異なる方法で選出して良いかもしれません。その代わり、政権選択のための衆議院において一票の格差は筋論を通すという。
行政改革関連では、政治資金正規正法の運用について、民間では当たり前のレベルまで引き上げてはどうでしょう。献金については1円から公表を義務付け、誰も読めないような報告書形式ではなく、すべてオンライン化する。もちろん、公認会計士の監査を義務付ける。行政文書の定義の抜け穴を埋めるのは当たり前として、特定秘密保護法は改正して、すべての行政文書は一定期間後(例えば30年)に必ず公開する。ポイントは、一切の例外を認めないということです。
日本の官僚機構の発想がマンネリ化し、あるいは、日本が遅れをとっている分野については、公務員法を改正してその報酬も自由化し、世界最高の人材を集められるようにするというのもいいかもしれません。そもそも、日本には破格の高給で世界最高の人材を「お雇い外国人」として招いたグローバルな伝統があるのですから。金融政策が経済運営の肝で、黒田日銀総裁の後任が人材難だというなら、FRB議長候補になりながら果たせなかったラリー・サマーズ氏を連れて来るとか。そのレベルのぶっ飛んだ人事を起こせれば、さすがに日本の行政機構も揺さぶられるのではないでしょうか。
各省の記者クラブを廃止して情報の独占を改め、閣僚の記者会見はすべてネット中継するとか、不当な口利きへの抑止力を利かせるために大臣以外のすべての政治家とその秘書との面会記録を残すことを義務化するとか。現場への負担が重くて現実的でないと思われていた政策の多くはテクノロジーを通じて乗り越えられつつありますから、ゼロベースで考えてもいい時期に来ています。
都民ファーストの躍進は、確かに歴史的なものです。ただ、それは改革ブームの空しい繰り返しの歴史となるリスクを秘めるもの。都民ファーストについて、中身がないと攻撃するのは容易いし、今からでも中身は作っていってもらいたいけれど、日本政治の体質改善につながるようなスタイルを追求してほしい。そんなことを考えた都議選明けでありました。



