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グーグル、フェイスブックに挑むアマゾンの実験

ニュースサイトAxios作成のグラフに出会って、ちょっと意外な感じがしました。私も含め多くの人の日常に入り込んでいるアマゾンが、デジタル広告分野では大きく出遅れていることに。

記事によると、グーグルとフェイスブックの2社が飛び抜けた複占状態で、それに続く中国のアリババ、百度、テンセントの3社を合わせて世界のデジタル広告売上の3分の2に達するとか。

この5社に続く、その他大勢の6番目にようやくアマゾンの名が出てきました。その額はここにはなく、アマゾンも公表していませんが、ロイターが専門家の数字として、昨年は14億ドルと伝えています。

グーグルの808億ドルに比べものになりません。しかし、この4年間で7倍になっている成長分野だそうです。そこで気になるのが、米国で最も人気の高いプロスポーツNFL・アメリカンフットボールに大枚を叩いてそのストリーム放映権を獲得し、高額なスポット広告を流す、と伝えられていることです。

アマゾンが獲得した放映権は秋に始まるNFLの新シーズンで、Thursday Night Game 10試合分。昨年、同じく10試合を獲得したツイッターの他、YouTube、Facebookなどと競った上だったそうで、金額は5千万ドルでした。

契約では、ストリーミング中に30秒のスポット広告を10回流せるようですが、先月末にロイターが特ダネで報じた内容によると、そのスポット広告1本につき280万ドルで売りに出しているとのことです。これは単体の料金ではなく、来春のシーズン終了まで、アマゾンのサイト内での広告掲示なども含んだパッケージ料金だそうです。

このストリーミング放送の特徴は、視聴できるのがアマゾン・プライム(年99ドル)の加入者限定、無料ということです。その米国の加入者は6千万程度とされていますので、それなりの規模ですが、ネットワーク局のCBSとNBCが受け持つ各5試合とのサイマル放送なので、どの程度がオンラインで視聴するかは見通せません。

したがって、280万ドルという希望額でCM枠が埋まるかどうかは怪しいですが、仮にうまく行ったとすれば、280万ドル×10本×10試合で2億8千万ドルの広告収入になり、NFLに支払った5千万ドルを軽く超えます。

ただし、CNBCの記事によると、サイマル放送するテレビ局のスポット広告の料金は1本、55~59万ドルだそうですから、アマゾンが希望額通りで売れるかどうかは微妙。さらに制作費、配信費用なども当然、かかるでしょう。そんなこともあってCNBCの記事は「利益を出せるかどうかは不透明」だと見ています。

2年前の拙ブログ「アマゾン創業20周年」でも紹介したように、アマゾンは新しい分野に進出するときには利益よりも、まずは規模拡大を優先して金をつぎ込んできました。その結果、今や、全米のオンラインショッピングの43%を押さえる迄になりました。

そしてビジネスインサイダーによれば、アマゾンは2021年までのeコマース全体の半分を狙っているそうで、そこまで巨大化したアマゾンのサイト内に広告を出せる今回の広告パッケージによる試みは、グーグル、Facebookの複占を壊す可能性を秘めているという見方を示しました。

また、これとは角度が違いますが、ウォール・ストリートジャーナルは、アマゾンは広告の世界の「眠れる巨人」だと言われているとして、今回のNFL中継がそれを変える可能性に言及しています。

プライム会員しか視聴できないということは、アマゾンはその会員の所在、属性、購入履歴(=好み)を知っているのだから、NFL中継を視聴する個々の会員向けに特化した広告が流せるはずだとし、専門家の「それは進化したテレビ広告の実験になりうる」という見方を紹介しています。

アメフトファンでもありますが、こうした可能性を秘めたアマゾンのNFL中継を、日本のプライム会員でも視聴できないか日本のアマゾン本社に電話しました。

その返事は「今回は米国だけです。お客様の要望は米国本社に伝えます」でした。残念!

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