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小池百合子より舛添要一がマシな一点(佐高信)

『産経新聞』ソウル支局長(当時)の黒田勝弘と彼の地で会ったのは2005年の3月だった。

韓国のテレビに出て、
「独島は韓国のものですが、竹島は日本の領土です」
と悪びれることなく言うらしい黒田に私は好感を持った。

その黒田が客員論説委員となって2016年3月26日付の『産経』の連載コラムに次のように書いたという。

「ソウルの日本人学校は1972年に創立された。当初は都心の雑居ビルを借りた塾のような学校だった。80年に漢江の南の街はずれに畑地を購入し、運動場や体育館もある、ちゃんとした学校になった。(中略)それから30年後の2010年、学校が老朽化したため建て直しを機に移転した。(中略)新しい学校用地はソウル市が元の学校の土地と交換する形で提供してくれた。元の地域は地価が高騰していたため、差額で最先端の新校舎も建てられた。最初の土地購入は韓国政府のお世話になっている」

よく、これが載ったなと思うような『産経』のこのコラムを秀逸として引いているのは前都知事の舛添要一である。『都知事失格』(小学館)に舛添はこれを引き、そして黒田の次の結びも引用する。

「最近、東京の韓国人学校の移転先に都立高校跡地を提供する計画に反対、批判の声が出ているとの記事が本紙に出ていたが、こうした反対はまずい。ソウル日本人学校もお世話になっているのだから、ちゃんと実現してほしい」

デタラメな飛行のコウモリ・公明党

舛添がこのコラムを「干天の慈雨」として読んだのは、舛添が2016年3月16日に韓国人学校への用地貸与の方針を発表してから、嫌韓派からの猛烈なバッシングを受けたからだった。

右翼の街宣車などが都庁だけでなく、舛添の自宅にまで押しかけ、
「売国奴、国辱外交をやめろ!」
と大音量の拡声器でがなりたてた。最大で車両17台を連ねてやってきたこともあり、特に自宅周辺の住民には大変な迷惑をかけたという。

舛添が北京やソウルを訪問して展開した都市外交が気に入らなかったわけだが、特に元都知事の石原慎太郎のシンパは「親中派、親韓派の知事を排除せよ」と息まいたとか。

問題なのは石原と小池が、この点では一致することである。都知事になって小池が最初にやったのは、韓国人学校への援助反対の急先鋒、野田数(のだ・かずさ)を特別秘書に任命したことだった。野田は、小池が「都民ファーストの会」の代表になるまで、そのかわりを務めていた男である。

私は舛添を弁護するつもりはない。しかし、ヘイトスピーチがはびこる中で、韓国人学校への用地貸与を進めようとしたことは重要だろう。

舛添は前記の黒田のコラムを引用した後にこう書く。
「小池百合子知事は、この計画を白紙に戻すことを決めて韓国側にもその旨が伝えられたという。日韓関係を改善する一歩だったのに残念でならない」

この小池と公明党は都議選で手を組んだ。コウモリはまっすぐには飛べないトリだが、コウモリ党の公明党もデタラメな飛行を繰り返している。

『都知事失格』で舛添は、その公明党の裏切りを批判する。「与党として支援してきた私を弊履のごとく捨てた」というのだが、それは自業自得の側面もあるだろう。裏切り常習の公明党に乗っかってきたからである。いまさら泣き言を並べても仕方がない。

今度、「東京・生活者ネットワーク」も小池と手を結んだが、舛添が小池よりマシな一点は無視してもいいのか。私は多大の疑問を持っている。見逃してはいけないポイントだと思うからである。

(さたか まこと・『週刊金曜日』編集委員、6月16日号)

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