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「共謀罪」を巡る迷走 三浦瑠麗ちゃまの「視点」

「治安維持法は当時、適法に制定され」、「同法違反の罪に係(かかわ)ります拘留・拘禁は適法」。「同法違反の罪に係る刑の執行も、適法に構成された裁判所によって言い渡された有罪判決に基づいて、適法に行われたもの」。「違法があったとは認められません」。6月2日の衆議院法務委員会に於ける金田勝年法務大臣の発言です。

作家・小林多喜二に留まらず、近衛文麿主宰の「昭和研究会」に積極関与した哲学者・三木清、創価教育学会の創設者・牧口常三郎(つねさぶろう)も犠牲となった「治安維持法」。

「全権委任法に基づき運用されたアウシュビッツ=ビルケナウ強制収容所に違法性無し」とドイツの閣僚が高言(こうげん)したなら即座に政治生命を失うでしょう。大臣辞任・議員辞職を求めて審議拒否もせぬ野党。件の暴言を殆ど報じなかった記者クラブ・メディア。「(法相は)就任以来、誠実かつ真摯な答弁を行い、国民の為に尽くし」と賛成討論を行った与党。日本に漂う“鈍感力”の空気を反映しています。

「誰にも愛されず、でも何となく必要そうな法案を、嫌われながら成立させる政権がそこそこ支持される、それが今の日本の姿」。1980年生まれの三浦瑠麗(るり)氏は「共謀罪」成立を受けて「朝日新聞」でコメント。

著作の冒頭で「私は、政治学や国際政治理論=複雑な世の中を理解するための視座を提供する理論というものを生業(なりわい)にしている」と自己規定する彼女の、「理論=セオリー」ならぬ「感想=センチメント」です。

その彼女は「組織的な犯罪の処罰及び犯罪収益の規制等に関する法律」改正案が審議中の6月7日にも同紙で、「日本の警察がいかに抑制的か知らず、法案の文面だけ読んで『大変な事態になる』と反応している・・・朝日新聞を含むリベラルメディアでの反対論には違和感」と「感想」を開陳。

これに対し、2003年に鹿児島県議会議員選挙の当選者・家族・支援者ら十数名を逮捕。数ヶ月から1年以上に亘って長期拘留。踏み絵ならぬ「踏み字」を強要するも、無罪が確定した「志布志(しぶし)事件」を挙げて、“お花畑”な瑠麗ちゃまに諫言(かんげん)するツイートが。

すると彼女は、「日本の警察は、容疑者にいきなり発砲したりもせず、左右双方のデモを警護し、基本は低姿勢」。「特定の行き過ぎた事例によって全てを判断するのが間違っている」とツイート。

「なにいいたいんだ?これ」と冷笑されると「私の発言の趣旨は、『外国人が、日本の警察を米国やトルコみたいだと想定すれば、この法案がいかようにもひどく運用されかねない危険を感じるだろう』ということ」。「各国の警察には人種選別をした上で予備的に発砲する国、袖の下がないとうごかない国、特定の宗教的価値観を押し付ける国など様々」。「タテ=歴史比較とヨコ=各国比較」「の視点を持たないと客観的な認識には到達しない」とも呟き、その「比較の視点」自体が“名誉白人”的な上から目線だと揶揄(やゆ)され、自縄自縛(じじょうじばく)状態に陥(おちい)りました。

「平和と民主主義を両立させる唯一の解決策」として「戦争の血のコストを平等に負担する徴兵制を導入して、国民の平和主義を強化」と提唱する「名誉白人なダッチ=オランダ人形」瑠麗ちゃま。「先進諸国は韓国とイスラエルを除いて次第に徴兵制を形骸化させまた廃止してきた」が、「民主主義の成熟度が高いイスラエルでは、予備役兵が数々の平和運動を創始」と「タテ・ヨコ理論」を披瀝(ひれき)します。「アラブ系イスラエル人は『斬首の刑』に処すべき」とアヴィグドル・リーベルマン外務大臣が暴言し続けるのをご存知ないのかも。

思えば「非戦」の想いを隠喩(いんゆ)する『やすらぎの郷』の倉本聰氏も、そして今上天皇も、徴兵経験を有しません。民主主義の成熟度には、想像力という「勘性(かんせい)」こそが肝要なのだと改めて実感します。

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