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自衛隊の政治利用

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稲田防衛大臣の
「○○候補をお願いしたい。防衛省、自衛隊、防衛大臣、自民党としてもお願いしたい」
の発言。

稲田大臣は撤回されましたが、これは私も不適切な発言だと思います。
なにがどう不適切なのかは、たくさんの方のご意見がありますので割愛。
今回も長々しそうですので……。

この発言に関しては、
「自衛隊の政治利用と受け取られる可能性もある」
「自衛隊法に抵触する可能性のある発言だから即刻辞任すべき」
というご意見がありました。

そこで今日は、この話題から「自衛隊の政治利用」「自衛隊法」を考えてみたいと思います。

まず、自衛隊法。
自衛隊法では、第六十一条で「政治的行為の制限」を定めています。

第六十一条
隊員は、政党又は政令で定める政治的目的のために、寄附金その他の利益を求め、若しくは受領し、又は何らの方法をもつてするを問わず、これらの行為に関与し、あるいは選挙権の行使を除くほか、政令で定める政治的行為をしてはならない。

こちら、文頭にご注目。
「隊員は、~」です。

勘違いしやすいんですが、防衛大臣は自衛隊員ではありません。
大臣以外では、防衛副大臣、防衛大臣政務官、防衛大臣補佐官、防衛大臣政策参与、防衛大臣秘書官も「自衛隊員」ではありません。

ちなみに「自衛隊員」に該当するのは、自衛官はもちろん、書記官や事務官、防衛大学校学生、予備自衛官など。
事務官や防衛大学校学生、予備自衛官は「自衛官ではない自衛隊員」というちょいとややこしい感じです。

さらに予備自衛官は「非常勤の自衛隊員」です。
ので、予備自衛官である私は、招集されてるときは「政治的行為の制限」に該当するものの、招集されてないときにはこの制限はなく、今こうやって政治の話も大っぴらにできます。

で、先ほども言いましたが、防衛大臣は自衛隊員ではありません。

今回の報道では、「自衛隊法第六十一条は隊員を対象にしているが、大臣も自衛隊の責任者として遵守の義務はある」と、自衛隊法の「政治的行為の制限」が防衛大臣にも課されているかのようなご意見がありましたが、これは大間違いです。
「防衛大臣も自衛隊法第六十一条の遵守の義務がある」だったら、政治家が防衛大臣をやること自体NGになっちゃいますし。

今回の件では、「発言内容が自衛隊の政治利用と受け取られる可能性もある」とのご意見もありました。

でも、防衛大臣の発言内容が「自衛隊の政治利用と受け取られる可能性もある」というのであれば、「自衛隊法に抵触する可能性のある発言だから即刻辞任すべき」というのもまた、「自衛隊の政治利用」だと思うんですよ。
「あの発言は良い悪い」って「意見」だけなら別ですが、「だから辞任!」と「政治活動」にすると、それはそれで「自衛隊(の法)」を「政治利用」してると思うんですよ。
ほんとに自衛隊法に触れてるなら話は別ですが。

「自衛隊の政治利用」という言葉を聞いて、私が真っ先に思い浮かべたのは、先の「戦争法案反対騒動」です。

あのとき、集団的自衛権の限定的行使容認、駆け付け警護に反対する方々が「自衛官の命ガー」「自衛官のメンタルガー」と「自衛隊」を持ち出して自らの政治的主張をされていました。

本当に自衛官の命やメンタルを考慮してのことなら、分かるんです。
でも、中にはそれまで自衛官のことを人殺しだの野蛮だのとけちょんけちょんに言ってた人たちまでもが、なぜか一転して「自衛官の命ガー」「自衛官のメンタルガー」と自衛官の身を案ずるような発言をされていました。

「自衛官の命が政治に利用されてるなぁ」
正直、こう思っていました。

当の自衛官も、「今さらふざけんな」「けったくそ悪い」と思っていたかもしれません。
でも、自衛隊法第六十一条の「政治的行為の制限」を考えると、なにも言えません。
あ、自衛官が「今さらふざけんな」「けったくそ悪い」と思ってたかどうかは知りませんよ。
「身を案じてくれてありがとう」と思ってた自衛官もいるかもしれませんよ。ひょっとしたら。知りませんけど。

「自衛官の命ガー、メンタルガー」と自衛官の身を案じる意見に対して、当の自衛官が「駆け付け警護任務が付与されたとき、警護対象者はもちろん、自らの命を守るためにも訓練をしっかりしたい。だからそのための法を整備して欲しい。法案が可決して欲しい」と思っていても、自衛隊法第六十一条の「政治的行為の制限」を考えると、なにも言えません。
いや、そう思っていた自衛官がいるかどうかは知りませんよ。
「仮にいたとしても」という私個人の意見ですよ。
私もいろいろと気を遣ってますからね。

「戦争法案反対騒動」のときには、自衛官に直接インタビューを試みる報道機関がたくさんありました。
でも自衛官には「政治的行為の制限」があり、それが叶えられないため、制限のない予備自衛官の私がコメントを求められることもありました。

純粋に、自衛官がどう考えているのかを知りたいという報道機関もあったと思います。
しかし、「政治的に利用する」ためにコメントを得ようとする報道機関もありました。

私が取材を受けたパターンだと、朝日新聞さんが前者です。
そして某雑誌さんが後者です。

朝日新聞の記者さんはとても真摯に私の話に耳を傾けてくださり、私の考えを理解しようとしてくださいました。
それが紙面にすべて反映されたかどうかはまた別ですが(これは私の主観です。編集権は私にはありませんので)、意見の違いがあるにも関わらず、本当に真摯にご対応くださったあのときの記者さんにはとても感謝しています。

しかし某雑誌さんは、自らの政治的主張に沿ったコメントしか受け付けてくれず、というか私は某雑誌さんの政治的主張に合ったコメントはできず(考えがまったく違うので)、なんやかんやあり、結局私のコメントが誌面に載ることはありませんでした。

まあ、いいんですけどね。
でも、これって「自衛隊の政治利用」以外のなんぼでもないよなぁ~と。

そういえば、この某雑誌さんからは「意見が聞きたいので知り合いの自衛官を紹介して欲しい」とも言われました。
もちろんお断りしましたが。
だって、自衛官は(というより一般的な企業・組織はどこもそうだと思いますが)許可なくそういう取材に応じられませんから。
なので、「自衛隊の広報にお願いしてください。私にはできかねます」とお断りしました。
まあ、仮に私がこのお願いをOKして友人の自衛官に頼んでもお断りされるだけですけど。

私の友人の自衛官はみんなちゃんとした人たちですからね。
もうそれ系のお願いは私にしてこないでくださいね。
「自衛隊の広報にお願いしてください」としか言えませんから。

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