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日本版カジノ施設の面積規制についての考察②

さて、本日は先日政府方針が示された日本版カジノに対する絶対値によるカジノフロアの面積制限に関する考察の続きです。前回エントリをご覧になってない方はコチラからどうぞ→リンク

今回政府から示された絶対値によるカジノフロアの面積制限ですが、現在政府会合内で示されている資料では
我が国においても、カジノ施設の面積上限(絶対値)を設定する場合は、その対象を、例えば、専らカジノ行為の実施や現場でその運営管理・監督等をするための区域(ゲーミングエリア)とし、具体的な数値については、国際競争力のある特定複合観光施設の円滑な運営の確保等を勘案し、シンガポールの法令による上限値等を参考にして定めることが適切ではないか。(出所:IR推進会議資料)
と、シンガポールの規制に倣った形で15,000平米を上限とする面積規制を採用することが示唆されています。ただ、この絶対値による面積制限が開発そのものに与える影響は甚大です。

そもそも統合型リゾートとは、収益性の高いカジノ事業によって、収益性が必ずしも高いとはいえないその他事業を補完しながら統合的な運営を行ってゆく施設です。これを施設開発の観点から言い換えるのならば、「『高収益床』であるカジノ施設で、『低収益床』となるその他施設を支える」のが統合型リゾートのビジネスモデルであるとも言えるでしょう。

前回のエントリにおいて、これまで主にIR議連などで中心的に主張されてきたカジノ施設の面積規制は、全体施設面積に対する「比率」による制限であったと述べました。この比率規制のものとでは、施設の全体開発規模の大小にかかわらず高収益床と低収益床の比率は常に一定であり、事業者にとっては施設開発規模の大小はその後の営業上の有利/不利をそれほど大きくは生まない規制でありました。

一方、現在政府案として新しく示されている15000平米を上限値とした絶対値規制が行われた場合、事業者にとっての開発環境はこれと全く異なるものとなります。15000平米を上限とした絶対値規制の下では、全体開発面積を大きくすればするほど、相対的に小さな高収益床で相対的に大きな低収益床を支えることが必要となり、その後の営業上不利になってしまいます。逆に、全体開発面積が小さければ小さいほど全体開発に占める高収益床の割合が高くなるわけで、営業上有利になります。

逆に用地選定をする自治体側の立場でいうと、カジノ施設面積の上限である15000平米に対して、あまりに大きすぎる開発用地を設定して開発提案を募集した場合、事業者に対して営業上の負担を強いることとなり、ひいては事業者の投資意欲そのものを減退させてしまうこととなります。

逆に開発上、有利になるのは自治体の定める開発用地が;

1. カジノ施設面積上限である15000平米に対して、相対的に小さな敷地面積および容積率である場合
2. 周辺商業が一定程度発展しており、収益性の低いカジノ「以外」の施設が、カジノ収益にそれほど頼らずに存続できるような立地にある場合

の2点。この条件にあてはまっている開発用地を指定している自治体は、民間事業者の高い投資意欲を引き出すことが出来ますし、一方でこの条件にあてはまらない開発用地を指定している自治体は相対的に十分な民間事業者の投資意欲を引き出せない、ということになります。今回、政府案として示唆された15000平米のカジノ施設上限は、今後の各自治体、および各事業者の競争環境に大きな影響を与える規制案であるといえるでしょう。

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