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- 2017年06月29日 11:37
知っておきたい個人型確定拠出年金(iDeCo)の3つのデメリット - 榊 裕葵(社会保険労務士)
2/2■もし60歳のときリーマンショックが起こったら!?
第3のデメリットは、「60歳になったときにちょうどリーマンショック的なものが起きたら、それまでの積立や運用の努力が水の泡になる恐れがある」ということである。証券会社などのセミナーでiDeCoのセミナーを受けると、たいていは「波を打ちながら右肩上がりで資産が増えていくイメージの図を見せられる。
そうであるから、少なからずの人は、途中でリスクはあれど、60歳まで長期運用をすれば、最終的にはそれなりのリターンを得られるはずだ、という印象を持つかもしれない。
ところが、私がiDeCoで一番怖いと思っているのは、「出口」のリスクである。
60歳になって、ちょうど一時金でiDeCoを現金化して引き出そうと思ったり、年金で少しずつもらおうと思っていた矢先、リーマンショックのような金融危機が起こったら、株式や債券などあらゆる金融商品の価値が下落し、その結果、iDeCoの積立金も大きなダメージを受けてしまう恐れがある。
たとえば、リーマンショック前、日経平均は18,000円程度で推移していたが、リーマンショック後の安値では、7,000円を割る寸前まで暴落した。iDeCoで運用する投資信託は日経平均に連動するものも多いが、このような場面では、投資信託も同じく暴落するので、老後の設計が土壇場で大きく狂ってしまう。
iDeCoは必ず60歳で引き出す必要は無く、70歳までの任意のタイミングで引き出せば良いので、相場が回復するまでiDeCoを現金化するのが「お預け」になったり、それでもiDeCoを引き出さなければ足元の生活が成り立たないという場合は、泣く泣く安値で現金化して引き出さなければならないという恐れもある。
したがって、60歳が近づいたら、自分がiDeCoの口座で持っている投資信託を、少しずつ元本確保型商品に置き換えていくとか、自分の頭で考えてリスクを減らしていく工夫が必要であろう。
■よく考えてiDeCoを始めよう
ここまで、iDeCoのリスクについて述べてきたが、いかがであっただろうか。かなり悲観的ことや極端なことも書いたが、私自身は、必ずしもiDeCo反対派ではない。メリットの部分だけを見て、安易に、「iDeCoに入れば自動的に老後の対策ができる」と考えてしまうと足元をすくわれるので、デメリットも踏まえたiDeCoの全体像を理解したり、資産運用についてしっかりと勉強をしたりして、手堅くiDeCoを使いこなして、本当の意味で老後資産の形成に役立てて頂きたいということである。
《参考記事》
■社員を1人でも雇ったら就業規則を作成すべき理由 榊 裕葵
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■電通の「整備された労働環境」は、なぜ新入社員の自殺を生み出したのか? 榊 裕葵
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■国民年金保険料2年前納制度のメリット・デメリット 榊 裕葵
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榊裕葵
ポライト社会保険労務士法人 マネージング・パートナー
特定社会保険労務士・CFP
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