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給付型奨学金の応募が少ない理由

6月28日付読売新聞の記事に「給付型奨学金、申し込み伸び悩む…受け付け延長」といった記事が出ていた。記事の一部を抜粋すると以下の通り。

2017年度から始まった低所得世帯の大学生らを対象とする返済不要の「給付型奨学金」について、今年度の進学者の申し込みが5月の締め切り時点で1578件にとどまり、当初の想定を1000件以上も下回っている。
日本学生支援機構は、制度の周知が行き届いていないとみて、受け付けを8月4日まで延長している。
2018年度以降、本格実施される給付型奨学金は、1学年約2万人が対象だが、17年度の進学者は、下宿先から私立に通う成績優秀者と児童養護施設出身者に先行して実施する。希望者は、進学先の学校の推薦を受けて同機構に申し込む。文部科学省は、過去の貸与型奨学金の実績から、約2800人の利用を見込んでいた。


「日本には貸与型奨学金だけで給付型奨学金がない!」がないといってメディアが大騒ぎして、ようやく待望の国による給付型奨学金制度がスタートしたのに、なぜ応募者が当初予定の半分ほどにしかいたっていないのだろうか。

その理由を分析すると、一つ目は、うまく周知ができていないことにある。今回は初年度で、先行実施期間ということもあり、国による給付型奨学金が新設された事実を知る人もまだ多くはないと推測される。特に、給付対象となる児童養護施設出身者や、住民税非課税または生活保護世帯などの低所得層に情報が十分にリーチしていない可能性がある。

これまでテレビも新聞も、「貸与型奨学金を返済できずに困ってる!」「奨学金はサラ金よりもひどい!」「日本は貸与型はあっても給付型奨学金がない!」といった報道は特集を組んで大々的に行ってきたが、いざ給付型奨学金が新設されると、ほとんど報道しないかベタ記事で終わってしまっている。それでは、広く人々に周知が届かず、そもそも新制度が新設されたこと自体が伝わっていないのだ。問題を偏向的にあおるだけあおって、解決策はしっかりと考えない日本メディアの典型例といえる。「悪いニュースが視聴率の取れるいいニュース」というメディアの特性がそのまま現れているといえよう。

給付型奨学金の応募者が少ないもう一つの理由は、制度の不備だ。今回募集しているのは、国公立大学進学者に対しては児童養護施設退所者などの社会的擁護を必要とする人のみに限定している。生活保護世帯や住民税非課税世帯は、今回は国公立大学は対象とならず私立大学進学者のみが対象となっている。しかし、そもそも低所得世帯は、私立大学に通うことを、最初から選択肢すら考えていない場合が多い。私も親の収入がゼロだったので、初めから私立大学は経済的に無理だとあきらめ、国立大一本に絞っていた。仮に、給付型奨学金を月額4万円受給できたとしても、年間48万円では私立大学の授業料の半分にしかならない。それなら、授業料減免制度が充実している国公立大学を優先するのが当然だろう。

自分が低所得世帯の家庭で育った立場で考えれば、こんなことは分かりきっていることだ。にもかかわらずこういった制度をつくってしまうのは、当事者の立場になって考えられない人たちが制度つくりをしているからだろう。当事者のニーズと気持ちを、当事者の立場になって考えることができない政策決定者が二つ目の要因ということだ。

いずれにせよ、受付期間は8月4日まで延長されたので、受給対象となる人はぜひ申し込んでみてほしい。そして、メディアは国による給付型奨学金制度の新設されたことを、もっと大々的に報道し伝えるべきだ。

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