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水爆の応用と小型核の開発を進める北朝鮮 - 岡崎研究所

 ニューヨーク・タイムズ紙は、専門家から聴取した見解を基に北朝鮮が着実に核戦力を増大させている、とする解説記事を、5月22日付で掲載しています。要旨は以下の通りです。

 専門家は、北朝鮮が近い将来、真の水爆を作る秘密を会得する可能性は低いと見ている。しかし、北朝鮮が、水爆の熱核火力で核兵器の破壊力を強化しようとしていることを示唆する証拠がいくつかあると言っている。北朝鮮の核開発のもう一つの関心事は核兵器の小型化である。

 問題は、10年以上前の核実験からどのくらい進歩したかである。昨年1月の核実験の規模は広島級であった。北朝鮮は水爆実験に成功したと発表したが、爆発の規模は小さすぎ、専門家は例外なく北朝鮮の主張を認めなかった。しかし、北朝鮮が水爆の道を歩んでいることは確かである。専門家は、北朝鮮が原子炉を改造して水爆の原料のトリチウムを製造したこと、放射性ガスを集めるプラントを建設したこと、核融合の燃料を大量に生産したことの証拠を得ている。

 昨年3月、金正恩が側近たちとミサイルの弾頭に搭載できる小型爆弾の模型と称する輝く球を囲んでいる写真が現れた。ほどなくして、米国と韓国の諜報機関は、北朝鮮が何種類かの核兵器の小型化に成功したと判断した。この弾頭は日本や韓国を攻撃する短・中距離ミサイル用である。ICBM用の核弾頭の開発、ICBM自体の実験はまだである。

 昨年9月、北朝鮮は5回目の核実験を行った。広島型の2倍の爆発力で、燃料の効率を上げ、水爆型の発射を行ったことが示唆された。

 北朝鮮の次の核実験が何を意味するかに専門家の関心が集まっている。核実験場に高さ約1600メートルの山が築かれているが、これは広島型の20倍の爆発に耐えられるという。北朝鮮が今までよりはるかに強力な核爆発を行う可能性が考えられる。

 専門家は、核実験が行われるか否か、またその規模にかかわらず、北朝鮮の核計画が核兵器の設計の初期の段階を着実に越え、世界に警告を発するのみならず、地政学的に大きな影響を与えるに至っている、と言っている。

出典:William J. Broad,‘U.S. Nuclear History Offers Clues to North Korea’s Progress’(New York Times, May 22, 2017)
https://www.nytimes.com/2017/05/22/science/north-korea-nuclear-weapons.html

 北朝鮮の核開発が注目を集めていますが、開発の要は2つあります。1つは核爆発力の強化であり、もう1つは小型化です。上記解説記事は、北朝鮮が前者については着実に前進していると述べています。完全な水爆を作らなくても、水爆の熱核火力、すなわち核融合を取り入れた核兵器を作れば、破壊力は飛躍的に増大することになります。北朝鮮はどうもこの路線を歩んでいるようです。核弾頭の小型化については、短・中距離ミサイル用のものは開発が進んでいますが、ICBM用はまだ時間がかかるということのようです。

着実に核戦力を強めている

 しかし北朝鮮が、実験に失敗するなど紆余曲折はあっても、着実に核戦力を強めていることは間違いないようです。

 国際社会はこの厳然たる事実にいかに向き合うべきなのでしょうか。安保理の度重なる非難、制裁にもかかわらず、北朝鮮は核開発を止める気配はありません。北朝鮮の命運を左右できる中国は、北朝鮮の崩壊に至るような制裁は課したがりません。米国は米本土に届くICBMの開発は許せないと言っていますが、阻止するために北朝鮮を軍事攻撃することには躊躇するでしょう。

 ここまで来た北朝鮮の核開発を全く止めさせるのは現実的ではないと思われます。そうとすれば、考えられるのは開発の凍結です。それですら北朝鮮が容易に乗ってくるとは考えられませんが、それ以外に対処法はないのではないかと思われます。

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