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【読書感想】絶望の超高齢社会~介護業界の生き地獄~

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この本を読んでいると、(とくに日本では)人間が長生きしすぎてしまっているのではなかろうか、と考えずにはいられなくなるのです。
報道されることはないが、高齢者介護施設は家族が続々と親を”捨てる”場所となっている。家族たちが「(親に)早く死んでほしい」というのは日常茶飯事だ。低所得者向けのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)やお泊まりデイ(サービス)になると、過半数どころか大多数がそのような意識で親を預ける。そのような荒んだ中で、介護職たちは低賃金の重労働を強いられる。介護職で精神を壊すものはあまりにも多いが、それは家族が放棄して捨てられた高齢者を、家族の代わりに低賃金で介護をして、自分自身が破壊されるからだ。多くの介護施設ではそのような負の連鎖が繰り返されている。

 次々よ同僚が精神を破綻させる荒れた中で、もう生産現場には戻ることはない要介護高齢者に対して、「この人たちは、どうして生きているの?」という心の奥底にそんな疑問を持つことは、もはや介護現場の最前線では珍しくない。
 現在の体制では、「充実した老後」や「行き届いた介護」を享受できるのは、ごくごく一部の資産家たちだけなのです。

 介護者も、家族も、経済的にも精神的にもギリギリのところで、なんとか日々をやりすごしている。
 育児であれば、成長していく喜びもあるのでしょうけど……
介護の仕事が「やりがいがある」というのは、人材を集めなければならない介護業界が発信する噓だ。失業者や未経験者が集まる現在の介護は、健康ならば誰でもできる仕事であり、専門職からはほど遠い。究極の労働集約型産業で介護職は、国や経営者にとっては部品でしかなく、やりがいがあるのは結果を出せばどの仕事も同じだ。介護現場は同じことを繰り返す退屈な日常となる。
 ここまでネガティブに考えたくないけれど、これがずっと現場をみてきた著者の実感なのか……
 『銀河鉄道999』で、鉄郎が長く苦しい旅の末、ようやく機械の体がもらえる星にたどり着いてみれば、そこに待っていたのは……という最終話を思い出します。

 正直なところ、介護というのは、これから、AIやロボットが積極的に採用されていく仕事ではないか、とも思うんですよね。

 むしろ、こういう仕事こそ、「ロボット向き」だとも言えるのではなかろうか。
 そうなると、仕事を求める人間にとっては、「成長産業」ではなくなってしまいます。
 事業所経営の根幹となる報酬が大幅に減額されて、特に零細事業者が苦境に陥った。零細介護事業所は次々と閉鎖に追い込まれ、2016年の介護事業所倒産は前年度比で42.1%増、過去最悪となった。この大幅報酬減は、介護職は将来にわたって生かさず殺さず、貧困ギリギリラインに固定するという国のメッセージであろう。介護職に人件費と用途が決められている処遇改善加算によって、一時的に若干の賃金の増減はあるが、これから将来的にも介護職が人並みの収入となって、普通の生活を手に入れるのは夢の話となった。

 介護職や介護事業所を苦しめた報酬削減の牙は、2018年の次期改正で高齢者にも向けられる。2018年8月に年収340万円以上は3割負担となる。この自己負担増は通過点でしかない。年収制限はいずれ撤廃されて、最終的に介護保険は一律3割の自己負担もしくはそれ以上となるのは間違いない。

 これから超高齢社会がさらに進むにあたって医療、介護、年金などの社会保障を現状維持にすると、2060年には消費税50%でも全然財源が足りない事態になるそうだ。
 僕は2060年にはもう生きてはいないと思うけれど、これからどんどん人口が減り、高齢者の割合が増えていく日本で、今までどおりの社会保障を続けていくことが難しいのはわかります。

 延命治療や胃瘻などを希望しない家族の割合は、僕自身の印象として、この20年でものすごく増えているんですよね。
 というか、高齢者に「できるかぎりの延命をしてくれ」と言われることは、最近はほとんどありません。
 それは、情が薄くなったというよりは、自然な変化だと思います。
 このままでは、ずっと親の介護をしていて、それが終わる頃には、自分が介護される側になる、そんな人生を送る人ばかりになってしまう。

 正直、読んでいると、「まさかここまで介護の現場が荒れているなんて」と感じるんですよ、この本。
 でも、こんなの話題づくりのためのフィクションや大袈裟な表現だよ、と言い切る自信もないんですよね……

fujipon.hatenadiary.com
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