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【読書感想】絶望の超高齢社会~介護業界の生き地獄~

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絶望の超高齢社会: 介護業界の生き地獄 (小学館新書) 絶望の超高齢社会: 介護業界の生き地獄 (小学館新書)

  • 作者: 中村淳彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/05/31
  • メディア: 単行本
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  • Kindle版もあります。

    絶望の超高齢社会?介護業界の生き地獄?(小学館新書)絶望の超高齢社会?介護業界の生き地獄?(小学館新書)
  • 作者: 中村淳彦
  • 出版社/メーカー: 小学館
  • 発売日: 2017/06/06
  • メディア: Kindle版
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  • 内容(「BOOK」データベースより)
    2025年の日本は、団塊の世代が後期高齢者となり、国民の5人に1人が75歳以上、3人に1人が65歳以上となる。これまで人類が経験したことがない超・超高齢社会が到来するのだ。一方で介護職は100万人足りなくなるともいわれている。現在の介護業界は、重労働の上に低賃金ということで人が集まらない。国からの助成金を狙って暴力団が参入し、法務省の方針で元受刑者たちが介護現場に立ち始めている。女性介護職は貧困とストレスから売春に走り、男性介護職は虐待を繰り返すケースも少なくない。まさに崖っぷちの状況なのだ。
    介護業界に「ブラック企業」が多いことはけっこう知られていて、テレビドラマでそのハードさが描かれた際には、業界関係者からの抗議が話題になりました。

     医療というのは、介護と切っても切れない関係があるのですが、その一方で、直接の接点というのは、所属している病院の系列の介護施設から患者さんが受診してくるくらいなんですよね。
     医者によっては、施設長を兼務していたり、回診に行ったりすることもあるのですが。

    この新書は、介護施設の施設長をつとめていたこともある著者による「介護業界のリアル」を描いたものです。
     「そんなにみんな風俗で働いているの?」と、驚いてしまうのですが、なんというか、介護業界で働いている人たちの「こんなはずじゃなかった感」というのは、疲れ切った彼ら、彼女らの表情から伝わってくる気がします。
     筆者はかつて介護事業所を運営していた時期がある。その過程で、2008年、後にブラック企業として糾弾される介護法人が主催する、「管理者研修」なる1週間に及ぶ研修も受講した経験がある。東京都にあるお泊りデイサービスの事業所で研修職員として1週間、シフト通りに働くという内容だった。今思えば、この管理者研修はブラック運営が詰め込まれた脱法まみれの内容だった。

     介護に対してまったくの無知の素人だった筆者は、言われるままに働き、研修を受けた。正規職員は週1日平均で、月間4~5日の夜勤が義務付けられていた。夜勤日のシフトは日勤職員として朝9時に出勤、そのまま帰ることなく夜勤をして、また翌日日勤職員として働く。終業はなんと翌日18時。33時間連続勤務という凄まじい長時間労働で、20時~翌朝7時までの11時間はワンオペ(1人体制)だった。

    担当者によると「今日の仕事は、夜勤じゃない、あくまでも宿直です。だから18時~翌朝9時までの仕事は勤務じゃないので、給与は出ません。中村さんも事業所を運営するときは、ちょっと手当くらい出しとけばいいんじゃないですか」と説明された。要するに時給ではない正規職員が夜勤に入る場合、夜勤ではなくて宿直扱いで33時間連続勤務しても、労働時間として認めるのは日勤2日分のみでいいという解釈だ。夜勤は人件費がかかりません、と堂々と言っていた。その異常な長時間労働が労基法違反と知るのは、だいぶ後になってからだった。
     ああ、医者の「当直」もこういう扱いをしている病院が多いんだよなあ、と思いながら読みました。
     いつ呼ばれるかわからない状態で、当直室で緊張しっぱなし。ほとんど眠れない夜もあるのに「診察室で患者さんを診ている時間だけが『仕事をしている時間』です」と言われたこともあったのです。

     多くの場合、医者の当直は、金銭的な対価がある程度は伴っているだけマシなのかもしれません。もちろん、その分の責任の重さもあるのですけど。

     成長産業だといわれて介護の資格をとってみれば、給料は安いし仕事もきつい。

     あまりにもコストがかかることに恐れをなした国や自治体は、なるべくお金を払わないようにしたいし、自分たちが直接入所者と接するわけではない経営者たちは、「コストダウン」を徹底しようとします。

    介護業界には行き過ぎたブラック事業所が蔓延しているのではないか、と取材を始めた。そのうちに介護職たちからたまにメールが来るようになった。

    「1人体制の夜勤で6時間休憩ってなっているのに、休憩が一切とれない」「辞めた月の給与が支払われない」「管理者から解雇を言い渡されたのに離職票をもらえない」「フェイスブック登録を強制され、24時間仕事関係から解放されない」「36協定ってなんですか?」と、無茶苦茶な話ばかりだった。ちなみに36(サブロク)協定とは労働基準法第36条に記される“労働時間を延長、又は休日に労働させることができる”労使協定で、労働者が署名をすれば時間を超えた残業が認められる。正規雇用された介護職や介護関係職の多くは、よく理解しないまま経営者に促されて36協定の書面に捺印している。

     現在、全国にブラック運営する介護施設は溢れかえる。一つひとつの違法運営の裏側に寂しさに襲われ、人生を潰しかねない子どもたちがいると思うと、やるせない気持ちになる。
     「施設でこんな扱いをされるのか」と憤るようなところであっても、「じゃあ、自分の家で面倒みてください」と言われると利用者の家族は困る。

     ひとりの人間を「完璧に介護」しようとすれば、最低でも、ひとりの人間が一日中ついていなければなりません(もちろん、介護をされる人の状態にもよりますが)。

     人間が長生きする社会は、介護をする期間、される期間が長引く社会でもあります。
     そして、それを支える若者の割合は、どんどん減っているのが日本の現状なのです。 介護業界で働いている7~8割は女性だそうなのですが、著者は「介護業界は明らかに女性の貧困、深刻な男女格差を牽引する存在となっている」と告発しています。
    女性の経済的貧困は、性風俗産業に直結する。この数年、性風俗産業に女性を最も送り出すのは、低賃金や使い捨てが浸透する介護業界となっている。

    「採用する、しないは別として、とにかく介護職っていう女性は毎日のように応募してくるよ。全員が全員給料だけでは生活できないって言っているよ」

     そう語るのは、池袋のデリヘル店長だ。低賃金を筆頭にネガティブな問題を抱える職業に従事する女性は、売春(性風俗、個人売春)に走りやすい。女性たちに「カラダを売るしかない」という選択が思い浮かぶのは、経済的な行き詰まりからが圧倒的に多い。女性介護職で普通の生活ができるのは世帯が共稼ぎか、親元で暮らす未婚女性のみ。高齢者が好き、ありがとうと言われたい、高齢社会に貢献したいと前向きな気持ちで介護職になっても、低賃金、そして現場の荒廃に心が折れ、性風俗へと逃げ出す女性が続出している。
    著者は某AVモデルプロダクションで、所属モデルのファイルを見せてもらったそうなのですが、そこには介護福祉系の有資格者が並んでいたそうです。

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