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ゴミ箱に入れられた「メイ・ボット」―英選挙で与党が過半数割れ 首相の人物像から見る敗因とは

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いまや四面楚歌となったメイ首相

「痛々しい・・・」。最先端のファッションに身を包み、もともとの美貌にしっかりと完璧メークのメイ英首相。非の打ちどころがないその姿を直視するのがどうにもつらく感じられる今日この頃だ。

以前はその颯爽とした容姿が英国の明るい未来を象徴するようで、頼もしくもあったのだがー。

「自分で仕掛けたゲームに大負けした政治家」、「死人同然」、「官邸という監獄にいる受刑者」-。いまや、メイ首相はこんな風に表現されるようになった。辞任コールが連日のように続き、四面楚歌状態だ。

英オブザーバー紙に掲載された風刺画(11日付)。「ブレグジットはブレグジットを意味しない」という文章が入っている。

11日付の日曜紙オブザーバーの風刺画は、ゴミ箱から出ている2本の足を描いた。足の先にはヒョウ柄のパンプス。そう、ヒョウ柄が好きな靴フェチのメイ首相はゴミ箱に捨てられたのである。

きっかけは英国で8日に行われた総選挙だ。大方の予想を裏切って与党・保守党が過半数を取れずに終わってしまった。第一党の位置は維持したものの、過半数を取れなければ政権は不安定になる。

一方、最大野党・労働党は保守党との議席数の差を縮めたことで、「大躍進」として評価された。選挙前は党内議員からケチョンケチョンに言われていたコービン党首は、一躍ヒーローとなった。

英国で2番目の女性首相となったメイ氏の浮き沈みをたどりながら、保守党の敗因とその人物像に迫ってみたい。

牧師の一人娘から下院議員に

改めて、メイ首相のこれまでを振り返ってみる。

テリーザ・メイ(旧名ブレイジャー)氏は1956年10月、英南部サセックス州のイーストボーンで生まれた。父はイングランド国教会の牧師で母は熱心な保守党支持者。一人っ子である。

一家3人は牧師館に住んでいた。毎週日曜日のミサには近隣の信者がやってきた。ここで幼いメイ氏は「様々な社会環境にいる人々」(本人談)に出会い、社会正義や人のために尽くすことを学んでいく。世界観、社会との接し方、道徳心を両親から受け継ぎ、向学心を奨励された。10代で政治家になることを夢見たという。

小学校から成績の良い生徒が学ぶ公立進学校(「グラマー・スクール」)に通い、オックスフォード大学セント・ヒルズ・カレッジで地理学を専攻した。大学在学中に後に夫となるフィリップ・メイ氏と交際を始めている。

卒業後は金融界に入り、当初はイングランド中央銀行、次に決済サービス機関のアドバイザーとなった。

1980年、24歳でフィリップ氏と結婚。幸福の頂点にいたかと思えたが、翌81年、最愛の父を交通事故で失う。その翌年には母が病死。

両親を一気に失ったメイ氏にとって、今は夫になったフィリップ氏が大きな支えとなった。子供を持たないメイ夫妻にとって、互いが最大の親友であり、人生のパートナーだ。

3度目の挑戦で下院議員に

1986年、メイ氏は政治家になる夢を実現するために第一歩を踏み出す。まずはロンドンのダンスフォード地区の区議となり、その後は下院選に挑戦。1997年、3度目の下院選でようやく当選を果たす。当時、41歳。現在に至るまでも英南部バークシャー州メイデンヘッド選挙区を代表する下院議員である。

その後着々と経験を積み、2010年発足の保守党・自由民主党の連立政権では女性・平等大臣を数か月務めた後、内相に就任。キャメロン政権が終了する昨年7月まで、6年間内相であった。国内の治安や国境維持、移民流入などを扱う大臣職を6年間も務めあげたのは珍しい。

昨年6月、EUに加盟し続けるか離脱するかの国民投票が行われ、メイ氏にとって大きなチャンスが巡ってくる。

というのも、有権者が最終的に離脱を決断したために、残留派だったキャメロン首相が辞任してしまったのである。早速、保守党の党首選が始まり、メイ氏も名乗りをあげた。

さぞや熾烈な戦いになると思いきや、候補者が次々とレースから脱落。決選投票が見込まれたが、対立候補が出馬を辞退し、党首・首相の座がメイ氏の膝の上に落ちてきた。

7月13日、紺色とレモンイエローのツートン・カラーが印象的な洋服に身を包んだメイ氏は新首相として官邸の前に立った。「特権を持つ少数の人のためではなく、国民の皆さんのための政治」の実現を確約した。裕福な特権階級には前任者キャメロン氏やオズボーン財務相が入っているのは明らかだった。

演説を終えたメイ氏が夫のフィリップ氏と官邸の前のドアに立ち、報道陣に向けて手を振る時、「新しい時代が始まった」と多くの国民が感じた。「この人と一緒にブレグジットを乗り切るぞ」、と。

メイ人気は上々で、今年4月、複数の調査で保守党は労働党に20ポイントも差をつけるようになった。同月18日、「ブレグジットに向かって国内を1つにするため」、メイ首相は下院解散・総選挙を呼びかけた。

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