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「教員は知事の奉仕者ではない」――国立市教委で都教委批判

 九月二七日、東京都教育委員会による新人教員研修テキストを巡る議論が国立市教委で行なわれた。


 公立小中高校・特別支援学校の全新人教諭は、一九八八年の教育公務員特例法改定で、条件付採用期間の延長と同時に、一年間の初任者研修が義務化されている。


 保護者や市民らは、都教職員研修センター発行の研修テキストの内容を分析。以下の四点の記述を修正させるため、都教委宛に意見書を出すよう市教委に陳情した。


 (1)「国を愛する態度」等は意見が分かれるのに、「教育基本法改正に対応した取組が必要」と説いている、(2)「教育公務員である皆さんが、教育委員会や校長、副校長、主幹教諭等の上司の指示に従うことは(中略)基本的な義務です」と上意下達の組織作りを強調、(3)全九二ページ中四ページも卒業式等の国旗・国歌問題に使い、「君が代」の五線譜付き歌詞まで掲げ、「保護者等から様々な要望や批判が寄せられても、児童生徒に国旗・国歌尊重の指導が必要だと説明し、理解を得ること」と保護者への説得を求め、(4)一方、生命尊重教育や食育への注力が少ない。


 九月二七日の市教委定例会で、中村雅子委員は、(1)について「憲法第一五条二項の『すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない』とは、目の前の子ども・親・市民の奉仕者であり、選挙で勝った知事や政党への奉仕者ではない」と語り、(2)については「教育委員会は教員の上司ではない。大阪府の条例と同じことをやってはいけない」と明言。(3)で都教委が「校長権限」を強調していることについても、「親や教員と話し合い、『(君が代斉唱を)やらない』と決める権限がない限り、『権限』は疑問」だとし、「陳情の趣旨には共感する」と述べた。


 渡辺秀貴・学校指導課長が「市の研修で都教委テキストは、教科書のように使うのでなく取捨選択し活用している」と説明したのを受け、米田雅子委員は「陳情に共感するところはあるが、『取捨選択し活用』なら、意見書を上げる必要まではない」と発言。


 作家・嵐山光三郎委員は「陳情に反対だが、愛国・国家主義のもと、日本が戦争したのは事実。『愛国心』という語は良くなく、『同胞心』がよい」と明言した。陳情は不採択となったが、白熱した審議は一時間を超えた。


(永野厚男・教育ライター、10月7日号)


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