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「さようなら原発一〇〇〇万人アクション」――次世代へ繋がる「反原発」の想い

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明治公園に集まった六万人の参加者。(撮影/矢嶋宰)


 未曽有の原発事故に見舞われているにもかかわらず、北海道電力・泊原発三号機は再稼働し、中国電力は上関原発の建設を諦めようとしない。厳しい状況の中、「大きな決断をすべき時にきている」と語る作家の大江健三郎さんや本誌編集委員の落合恵子さん、ルポライターの鎌田慧さんらの呼びかけに、九月一一日〜一九日、全国各地で「さようなら原発一〇〇〇万人アクション」が行なわれた。 


◆札幌――「MOX原子炉」拒否


 一八日、北海道札幌市の「さっぽろ芸術文化の館・ロイヤルホール」は約一五〇〇人で埋めつくされた。北海道・泊原発三号機は福島原発事故後、全国で初めて再稼働し、その直後、プルサーマル計画導入の是非を問うシンポジウムで北海道電力の「やらせメール」が発覚。今回の集会は、道民の不信感が高まる中での開催だった。


 福島から札幌に避難してきた宍戸隆子さんは、「原発事故は人と人の絆も奪った。真っ先に避難を受け入れてくれた北海道の人に、同じような苦しみを味わってほしくない」と心情を伝えた。


 函館で青森県の大間原発計画の撤回を求めている「大間原発訴訟の会」の中森司さんは、「世界では例をみない火山帯での建設。しかも、日本初となる、全炉でMOX燃料を用いる原子炉を原発実績のない電源開発が運営しようとしている」と問題点を指摘した。


 幌延の隣町で酪農を営む「核廃棄物施設誘致に反対する道北連絡協議会」の久世薫嗣さんは、「福島の事故で汚染された瓦礫は東電本社が引き取るべき」と訴えた。


 この日はあいにくの雨模様。前日との温度差が一〇度という肌寒さだったが、途中で約五〇〇人が加わり、二〇〇〇人もの市民が札幌中心街をパレードした。傘やカッパ姿で横断幕やプラカードを持ち「原発はいらない」「北海道を核のゴミ捨て場にするな」と訴えた。なかには、子ども連れやかっぽう着姿の女性グループもいた。


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「バイバイげんぱつ」の傘を差す母子。(撮影/田所明治)



◆近畿――「水ガメ」汚染は他人事ではない


 近畿では一〇日、一一日の両日、「原発ゼロ」への巨大なウネリを予感させる催しを各所で開催。


 一〇日には、京都から脱原発の世論を示そうと、安斎育郎・立命館大学名誉教授ら著名四氏が呼びかけた「九・一〇原発ノー・京都府民大集会」が、東山区の円山野外音楽堂で開かれ、二六〇〇人の参加者であふれ返った。


 集会には、一四基の原発が集中し、発電量の大部分を近畿二府四県に供給する福井県からも代表が参加。「若狭湾の原発は来年二月までに定期検査などですべて止まる。二月がヤマ場。再稼働を許さない、近畿と一体となった運動を」と呼びかけ、拍手に包まれた。


 また京都市職労から、京都市防災対策総点検委員会が「大地震と若狭湾原発群事故の同時発生でも、複合災害のリスクはかなり小さい。琵琶湖の放射性物質は、大量の湖水で薄まる」などと中間報告したことが明らかにされると、失笑が漏れ、怒りの声が飛んだ。 京都市と近畿の水ガメ・琵琶湖の約半分が、原発群から五〇キロ圏内に入るため、「他人事ではない」という思いが、住民の共通認識となっている。


 翌一一日にも円山公園で、地球温暖化防止京都ネットワークをはじめ六〇以上の市民団体を中心に、仮装あり、音楽・パフォーマンスなど何でもありのポップな集会が開かれた。


 震災発生の午後二時四六分に黙祷をささげ、「来年の三・一一に向けて倍・倍に、バイバイ原発を、エイエイオー」の掛け声でデモに出発。ベビーカーを押す若い母親、子どもの手を引く若い家族連れの多さが目立ち、解散地点の京都市役所前では一八〇〇人に膨れ上がった。


 神戸では一〇日、若者中心の集会に母親が神戸出身という自民党の河野太郎衆議院議員が参加し、話題を呼んだ。


◆長崎――「核と人類は共存できない」

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被爆地・長崎から「ノーモア」の意思を示す。(撮影/西岡由香)


「原発、今までお疲れ様、そしてさよなら!」


 長崎港そばの緑地広場に集まった約七〇〇人が声を合わせた。


 台風による強風にあおられながら掲げられた、色とりどりのプラカードやのぼりが花畑のようだった。太鼓による賑やかなオープニングのあと、『もう原発にはだまされない』(青志社)を出版したばかりの藤田祐幸さんが「福島原発事故は一〇〇年たっても収束しない。ひとたび事故が起これば、芝生に転がることも金輪際できなくなる。すべての原発を止めよう。それが歴史に対する責任」と語ると大きな拍手がわきおこった。


 被爆者や参加者の力強いスピーチが続く。「被爆地長崎から、核と人類は共存できないことを何度でも訴えなければ」「再稼働を絶対に許してはならない」。


 若いミュージャンの絶叫にも似た歌が響く。「大人は、取り返しのつかないことが起きた、と言う。次の世代のオレたちはどうなる?無感情になるな、もっと怒れ!」。


 集会後のパレードには、沿道で見ていた若い女性たちも列に加わってきた。脱原発のチラシを受け取る人たちから「がんばって!」と声がかかる。最後まで雨粒が落ちることはなかった。参加者のうち、一人の女性の言葉が響いた。


「自分にとって脱原発は他人事ではなくなった、だから行動する。変わろうと思った瞬間、きっと変化は始まっているのだから」


◆東京――事故後最大の6万人が集結

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明治公園に集まった六万人の参加者を前に、大江氏が「脱原発」の想いを語った。(撮影/矢嶋宰)



 一九日に東京都・明治公園で開かれた「さようなら原発」集会には、予想を上回る六万人(主催者発表。福島からは五〇〇人)を超える市民が集まり、事故後最大規模となった。


 呼びかけ人の一人である内橋克人氏は、「技術の発展が安全な原発を可能にするという新たな安全神話が台頭してきている。地下原発や洞窟原発(を議論すること)の裏には核兵器がいつでも作れる潜在力を保持していたいという政治的意図があるのは明白」と、油断ならない現実に、注意を促した。


 ドイツからのゲスト、 フーベルト・ヴァイガー氏は「日本の状況は脱原発をやるのかやらないのか政治的に判断を下さなければならないところまで来ている」と参加者を激励した。


 また俳優の山本太郎氏は「危険なところで暮らし続ける被曝地の人たちがサテライト疎開できるようにしたい。私たちが議員事務所に足を運び脱原発できるようかけあうことも大事」と呼びかけた。


 集会終了後は三グループに分かれ明治公園から代々木方面へパレードしながら脱原発を訴えた。途中、原発労働者たちが数多く集められてきた山谷、釜ヶ崎(大阪)、笹島(名古屋)、寿(横浜)からも全国日雇労働組合協議会のメンバーらが参加。「被曝労働で殺された多くの労働者を忘れるな!」をかけ声に、繰り返し使い捨てにされてきた被曝労働者の存在をアピールした。 


 永田町では、鉢呂吉雄氏の後任に着いた枝野幸男経産相が「稼働できる原発は再稼働する」と就任会見で述べるなど、「反原発」気運からの “巻き返し” が起こりはじめている。そうした動きに敏感に反応しているのが若い世代の参加者や、子を持つ親たちだ。


「一〇〇〇万人アクション」の呼びかけ人には、既述の四人以外に坂本龍一氏、澤地久枝氏、瀬戸内寂聴氏、辻井喬氏、鶴見俊輔氏らも名を連ねている。


「敬老の日」に脱原発を訴えた呼びかけ人らの想いは、次世代を生きてゆく者たちへと、確実に繋がっていくだろう。


(9月23日号)


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