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八ッ場ダム根拠資料の開示請求裁判――国は控訴できず、原告勝訴確定

 八ッ場ダム(群馬県長野原町)の根拠資料が一部黒塗りで開示された問題で、東京地方裁判所(定塚誠裁判長)は八月二日、国土交通省関東地方整備局長(以下、国交省)の非開示決定の取消しと、開示を求めた原告の全面勝訴判決を出した。控訴期限前日の一五日、国は控訴しない判断を明らかにし、原告勝訴が確定した。ムダなダム事業が進められてきた原因の象徴である根拠資料の秘匿性に一つの大きな風穴が開いた。


 問題となった黒塗り資料は、八ッ場ダム建設の根拠となる洪水予測を計算するためのデータのうち、「流域分割図」と「流出モデル図」の二枚。一都五県の八ッ場ダム住民訴訟での争点の一つが、ダムによる治水の必要性だったが、その根拠データが入手できずに、いわば「武器不対等」のまま裁判が進み、敗訴してきた。


 原告住民側弁護団長の高橋利明弁護士は「図面が開示されれば、(八ッ場ダムの不要性を示す)再現計算を行なうことができる」と次を見すえている。


 黒塗り裁判では、国交省は非開示の理由を「国の機関内部における検討結果に関する情報であって、公にすることにより国民の誤解や憶測を招き、国民の間に混乱を生じさせるおそれがある」と主張。図には構想段階中のダムの位置が描かれているから、公開すれば「補償金の支払を受けることを目的として建設予定地周辺での不適正な土地取引が助長」されるというものだ。しかし、この主張に対して判決は「被告が懸念するような土地の先行買収騒ぎが生じるほどの確度で特定できるとは到底考えられない」と断じた。


 八月五日の参議院決算委員会では大河原雅子議員の質問に対し、大畠章宏国交相が「今回の裁判においては国の主張が裁判所の十分な理解が得られませんでした」と官僚答弁の棒読みで答弁。これに対し、一二日に民主党の「八ッ場ダム等の地元住民の生活再建を考える議員連盟」(会長・川内博史衆議院議員)と超党派の公共事業チェック議員の会(会長・松野信夫参議院議員)が相次いで控訴断念と資料の全面開示を大畠国交相と江田五月法務相に要請した。秘密裏に進められてきた治水のあり方を根本から覆す画期的な判決となった。


(まさのあつこ・ジャーナリスト、8月19日号)


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