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- 2017年06月13日 10:00
銀行預金が経済になぜ廻らないのか?
日経電子版の記事「預金残高ついに1000兆円 回らぬ経済象徴」は預金は集まれど、その使い道がない銀行の苦悩を描いたものですが、これを踏まえて日本ではお金がなぜ回らないのか、改めて考えてみたいと思います。
「皆さんの預金はいくらありますか」という記事やアンケートを時々見かけます。そこには「あり得ん金額」が並んでいることもあります。40代の世帯貯蓄が600万円越え、60代になると1800万円近くなります。そんなわけない、と否定される方も多いでしょう。これは平均であって金持ちが平均を引っ張り上げているからです。実態は中央値という一番多い貯蓄額で見るのが正しいでしょう。その場合、40代は300万円、60代で750万円程度であります。
それでも数百万円の預金がほとんど金利のつかない銀行に寝ているわけです。そして銀行も貸出先がないのでうまくそれを生かせず、お金が寝ています。つまり、このシナリオは個人も金融機関でもその理由は違えどお金があるにもかかわらず活用されていないということになります。金融緩和の効果が十分生み出されないのはここにも原因があります。
ではどれぐらい寝ている金額があるのか、私もざっと計算してみました。統計からは60代も70代も大体世帯平均1800万円程度の貯蓄を持っていますので60代から上の世帯が全て同程度の預金を持っていると仮定します。60代から上の人口は4192万人で、単純に一世帯1.5名いるとすれば60代から上の層が抱え込んでいる平均貯蓄はざっと500兆円程度になります。つまり、総預金の半分は高齢者が使わずにずっと通帳に寝かせているのです。
この計算をしているときに気が付いたのですが、60代と70代はなぜほぼ同じぐらいの貯蓄を持っているのでしょうか?ここがあるべきシナリオと違う最大のポイントだと思うのです。「退職したら年金だけで貯金の食いつぶし」だったはずですが、実態としては貯金は減っていないのです。
何故なら高齢者ほどいざというときのことを考え、切り詰め、年金や副収入で貯蓄を減らさないよう努力するからにほかなりません。なぜ、使わないのか、といえば「病気した時」「将来老人ホームに入るかも」「子供たちに何かあった時」と言ったようにあらゆる可能性を考慮し、ケアフリーになりたいとする自己防衛本能が生じているからです。
これはとりもなおさず、高齢者=年金以外無収入=いつかは無くなるというシナリオがあるためです。では、この発想を転換するにはどうしたらよいでしょうか?
一つには高齢者でも収入あり⇒貯金は無くならないとすればよいわけです。
高齢者が収入を得る方法はいくつかあると思います。労働力を提供するという一番分かりやすい方法から、アパート経営や株式投資などリスクもありますが、リターンが期待できるものもあります。但し、私は高齢になってからのアパート経営や株式投資は勧めません。どちらも難しいからです。
私の考える一案として一定人数の目的別高齢者コミュニティをNPO化し、そこでの活動に一定の報酬を提供する手法があろうかと思います。例えば不動産を持っている人が現物出資をし、そこにグループホームや高齢者向けシェアハウスを建てる、そこで食事や見守りや買い物や掃除などの役務に対して一定の報酬を払うようにするのです。しかもそれを仮想通貨で授受させるのです。
NPOでは住むところから食や衣、更にはハイキングのリーダーの人にも何某かを支払うようにします。誰でも一つや二つ、特技ぐらいはあるものですからそれを売り、仮想通貨を稼ぐようにします。肉じゃがを作ったら一皿いくら、パソコンの使い方を説明したら1時間いくら、電球を交換したらいくら、という具合です。
ポイントはNPOですのでそこに利益が出なくするよう「お仲間価格」とし、人件費や賃料などで全部払い出してしまうのです。私が仮想通貨と申し上げたのは仮想通貨で生活できるという実感を持たせることにより日銀券を抱きかかえる意味合いを薄めるのです。これにより500兆円の高齢者の滞留貯金を解凍させられないか、と考えています。
ところで平均貯蓄はざっくり20代が180万、30代が400万、40代が600万、50代が1100万、60代が1800万円です。気が付かれると思いますが、50代で思いっきりジャンプしています。何故でしょうか?私はバブルが影響しているとみています。40代以下のバブル後に社会人になった人たちの給与は抑えられ、貯蓄どころではないという風に読み取れます。
これはとりもなおさず、1000兆円の貯蓄は何十年後かに半分近くまで下がる可能性を示唆しています。つまり、日本の預金残高はガクッと腰折れするかも知れません。こんなことを書くとまたぞろ、悲観論者が得意満面になるかと思いますが、そういうことではなく、将来、日本のファンダメンタルズは大きく変わることが予見できる中で、長期的視野に立って日本をどう救うのか、もう少し真剣に考える時が来たということではないでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
「皆さんの預金はいくらありますか」という記事やアンケートを時々見かけます。そこには「あり得ん金額」が並んでいることもあります。40代の世帯貯蓄が600万円越え、60代になると1800万円近くなります。そんなわけない、と否定される方も多いでしょう。これは平均であって金持ちが平均を引っ張り上げているからです。実態は中央値という一番多い貯蓄額で見るのが正しいでしょう。その場合、40代は300万円、60代で750万円程度であります。
それでも数百万円の預金がほとんど金利のつかない銀行に寝ているわけです。そして銀行も貸出先がないのでうまくそれを生かせず、お金が寝ています。つまり、このシナリオは個人も金融機関でもその理由は違えどお金があるにもかかわらず活用されていないということになります。金融緩和の効果が十分生み出されないのはここにも原因があります。
ではどれぐらい寝ている金額があるのか、私もざっと計算してみました。統計からは60代も70代も大体世帯平均1800万円程度の貯蓄を持っていますので60代から上の世帯が全て同程度の預金を持っていると仮定します。60代から上の人口は4192万人で、単純に一世帯1.5名いるとすれば60代から上の層が抱え込んでいる平均貯蓄はざっと500兆円程度になります。つまり、総預金の半分は高齢者が使わずにずっと通帳に寝かせているのです。
この計算をしているときに気が付いたのですが、60代と70代はなぜほぼ同じぐらいの貯蓄を持っているのでしょうか?ここがあるべきシナリオと違う最大のポイントだと思うのです。「退職したら年金だけで貯金の食いつぶし」だったはずですが、実態としては貯金は減っていないのです。
何故なら高齢者ほどいざというときのことを考え、切り詰め、年金や副収入で貯蓄を減らさないよう努力するからにほかなりません。なぜ、使わないのか、といえば「病気した時」「将来老人ホームに入るかも」「子供たちに何かあった時」と言ったようにあらゆる可能性を考慮し、ケアフリーになりたいとする自己防衛本能が生じているからです。
これはとりもなおさず、高齢者=年金以外無収入=いつかは無くなるというシナリオがあるためです。では、この発想を転換するにはどうしたらよいでしょうか?
一つには高齢者でも収入あり⇒貯金は無くならないとすればよいわけです。
高齢者が収入を得る方法はいくつかあると思います。労働力を提供するという一番分かりやすい方法から、アパート経営や株式投資などリスクもありますが、リターンが期待できるものもあります。但し、私は高齢になってからのアパート経営や株式投資は勧めません。どちらも難しいからです。
私の考える一案として一定人数の目的別高齢者コミュニティをNPO化し、そこでの活動に一定の報酬を提供する手法があろうかと思います。例えば不動産を持っている人が現物出資をし、そこにグループホームや高齢者向けシェアハウスを建てる、そこで食事や見守りや買い物や掃除などの役務に対して一定の報酬を払うようにするのです。しかもそれを仮想通貨で授受させるのです。
NPOでは住むところから食や衣、更にはハイキングのリーダーの人にも何某かを支払うようにします。誰でも一つや二つ、特技ぐらいはあるものですからそれを売り、仮想通貨を稼ぐようにします。肉じゃがを作ったら一皿いくら、パソコンの使い方を説明したら1時間いくら、電球を交換したらいくら、という具合です。
ポイントはNPOですのでそこに利益が出なくするよう「お仲間価格」とし、人件費や賃料などで全部払い出してしまうのです。私が仮想通貨と申し上げたのは仮想通貨で生活できるという実感を持たせることにより日銀券を抱きかかえる意味合いを薄めるのです。これにより500兆円の高齢者の滞留貯金を解凍させられないか、と考えています。
ところで平均貯蓄はざっくり20代が180万、30代が400万、40代が600万、50代が1100万、60代が1800万円です。気が付かれると思いますが、50代で思いっきりジャンプしています。何故でしょうか?私はバブルが影響しているとみています。40代以下のバブル後に社会人になった人たちの給与は抑えられ、貯蓄どころではないという風に読み取れます。
これはとりもなおさず、1000兆円の貯蓄は何十年後かに半分近くまで下がる可能性を示唆しています。つまり、日本の預金残高はガクッと腰折れするかも知れません。こんなことを書くとまたぞろ、悲観論者が得意満面になるかと思いますが、そういうことではなく、将来、日本のファンダメンタルズは大きく変わることが予見できる中で、長期的視野に立って日本をどう救うのか、もう少し真剣に考える時が来たということではないでしょうか?
では今日はこのぐらいで。
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