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親子「3人」のうち、不登校・ひきこもり当事者の子ども若者がいちばんがんばっている

■最大の被害者は、当事者

僕は53才となり支援者としては「保護者面談」を担当することが多くなった。

当事者の不登校やひきこもりの子ども若者も時に面談や居場所で支援するが、保護者への緻密なアプローチだけで子どもに僕が直接会わずとも変化することが多いので、よほどのことがない限り保護者面談限定になっている。

そんななかで毎週気づくのが、
「このお家の中では、問題とされている当事者であるその子どもこそが、いちばんがんばっているなあ」
という点だ。

「がんばる」には多様な意味があるが、ひとことで言うと、「その家族がもつストレスの集積が残念ながらその子に集中し、わかりやすい現象(不登校やひきこもり)として現在現れているものの、そこに至るまでは10年単位で家族内の(特に夫婦間の)葛藤があった」ということだ。

不登校支援は学校も対象であり、そのシステムの不備(ディシプリン/規律権力の代表である学校が担う規律・ルールの世界)や近代国家が持つ教育制度の限界も忘れてはならないものの、残念ながら、「親」の限界がやはり直接には子どもに突き刺さる。

実は僕は20代は編集者で、不登校関連の話題をよく取材していたが、その時自分に戒めていたことは、決して「問題を親のせいにしない」ということだ。

それは支援者となった現在でも貫かれており、通俗的カウンセラーのように単純に親に責任をかぷせないよう努力している。

それにしても、だ。たくさん保護者面談していると、やはり、最大の被害者は、当事者、つまりは子どもや若者自身だと思わざるをえない。

■被害者の親と、親の「責任」

今回のタイトルには「親子3人」としたが、ここ数年は貧困・虐待支援する僕の立場では、正確には「複数の親たちとその子ども当事者」のような表現になるだろうか。

貧困・虐待世帯では、実の母ではない大人(元夫・現愛人・現夫、時にはその逆の実父とそこに絡む大人の女たち)が複雑に絡んでくるので、なかなか一言では表しにくい。

だから、フロイトの時代から使われてきた「父・母・子」の三角形を仕方なくここでも使用した。

現実には複雑な図形になるものの、理念としての親子関係を示す「三角形」においては、実は、不登校やひきこもりで親を悩ます子ども若者当事者自身が、いちばんがんばっていることが多い。

当事者の子ども若者は、学校に行かない仕事をしない、親のいうことを聞かないひきこもる、時に親からカネをせびる我儘ほうだいにキッチンを使用する、また時に暴力を振るう等、背景に発達障害があるケースもあるものの、親を困らせている。

そして僕のような支援者は、その親の「お困り感」につきあい、あらためてゼロ才からのエピソードを集積していく。

そのエピソードのなかには、発達障害を見抜けない専門家(保健センターや学校)にびっくりすることもある。また、不登校の無料相談(大阪であればサテライト支援)の情報を知らない教師たちに驚くこともある。

だから基本は、それら(未熟な専門家)の被害者(親)を基本的には支援していく。その後、親自身の「責任」に気づいたあとも。

■「助演俳優」子ども若者

親自身の責任というよりは、天然な親たちには道義的責任はあまりないと思う。が、いろいろなエピソードを重ねていくと、一見いちばん努力しているように思える親が、いちばん自己中心的だったりする。

その自己中心的な親が面談に現れるものだから最初はわからないものの、徐々に、その自己中心的な親のいちばんの被害者は、目の前の親が嘆き悲しむ子ども若者当事者その人だったりする。

変な構造だ。目の前の親は、家にひきこもる子どもの愚痴を言っている。が、その愚痴のなかで現れるエピソードを通して、最も「我慢」を強いられているのは、その問題のある子ども当事者だと気付かされる。

だから、ひきこもりの子ども若者がよくいう、「悪いのは親」というのは結構当たっている。

ただ親には社会性があり言葉も豊富で経済力もある。それらの点から、支援者はまずは親を信用する。

だが、問題(ひきこもりだけではなくそのお家がぶつかる幾重にもあるどん詰まり感)の最大の因子は目の前に面談に訪れた親そのものであり、エピソード中の子ども若者は助演俳優にすぎなかったりする。

問題のさらなる中核は親が抱える発達障害という点にまで遡ったりもするが、1年程度面談を続けていると上の事態があきらかとなり、そこをやんわりユーモアを交えて親に指摘していくと、問題の多くは好転していく。★

※Yahoo!ニュースからの転載

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