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文科省と避難者ら交渉――「自主避難者に賠償を」

 東京電力・福島第一原発事故で、国が指示した避難区域などからの避難者に補償金仮払いが進む中、区域外から自主避難した人々が賠償を求めて七月一五日、文部科学省の原子力損害賠償紛争審査会と交渉した。


 交渉では、自主避難者側が「国が定めた避難区域の基準は年間二〇ミリシーベルトだが、区域外にも同等の地域があるのにそこからの避難は自己責任とされ、補償や行政のサポートを受けられない。基準自体も内部被曝や放射線への感受性の高い子どもを考慮していない。すべての住民は『避難する権利』があり、自主避難者にも正当に賠償すべきだ」と要請した。


 中学二年の娘を連れて福島から東京に自主避難した橋本雅子さん(五三歳)は、「福島に家を建てており、借金もあるが子どもを守るためだけに避難した」と述べ、「自主」避難と言うものの、避難を強いられた実態を語った。同じく佐藤幸子さん(五三歳)は「子どもたちは福島から山形に避難し、私は仕事を失って収入が減った上に二重生活を強いられ、交通費もかさむ」と話した。また、主催者の福島老朽原発を考える会などに文書で寄せられた「避難区域外だが、放射線管理区域を超える汚染がある」「動くに動けない人は沢山いる」等の声も紹介された。


 同会の阪上武さんが、「自主避難者から実態をヒアリングしているのか。また六月に開かれた審議会では、損害賠償の検討項目に『自主避難者への補償』が入っていたのに最近開かれた審議会では落ちているのはなぜか」と質した。


 これに対して、板倉康洋・同紛争審査会事務局次長は自主避難者から直接ヒアリングはしていないことを認めた上で「検討項目は『指針』の内容を決めるものではない」と述べ、今後検討すると約束した。また、同次長は「個別の事情は様々。南相馬市のように避難区域外でも自治体が避難を呼びかけた所もあり、まず典型例を類型化していく」方針を明らかにした。


 これに自主避難者側から、「避難した人すべてに補償するという大原則をまずたてるべきだ。類型化が先というのは本末転倒だ」などの批判が出された。


(永尾俊彦・ルポライター、7月22日号)


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