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文部科学省問題 「その職に死するの精神覚悟せるを要す」

 写真は、文部科学省の幹部の各室に掲示されている森有礼初代文部大臣の「自警の書」。結語は「その職に死するの精神覚悟せるを要す」

「国づくり、地域づくりは、人づくりから」を信条とする参議院議員赤池まさあき(全国比例区)です。

 6月9日(金)、文部科学省は愛媛県今治市の国家戦略特区での獣医学部新設に関する文書の有無について、再調査を表明しました。

 http://www.mext.go.jp/b_menu/daijin/detail/1386727.htm

今回の問題は、12年前から愛媛県や今治市が加計学園の獣医学部の誘致を、国家戦略特区制度の中で適法に実現したにもので、安倍総理の指示がないにもかかわらず、推進する内閣府と慎重な文科省との省益対決の結果だと思っています。つまり、文部科学省の組織問題、公務員倫理の問題だと思っています。

そして、文科省の元職や現職からの内部情報らしきものが漏洩し、報道され続けています。国家を担う中央政府の一つとして、組織の体をなしていません。新国立競技場建設、もんじゅ廃炉、再就職の国家公務員法違反、そして今回の問題です。さらに、日本原子力研究開発機構大洗研究開発センターで内部被曝事案も発生しました。

文科省は「文科一家」と自称していました。私や私の事務所は文部科学大臣政務官時代から、その家族主義、共同体主義が、逆に馴れ合いに堕し、守り合う、傷をなめ合う、目の前のことに追われて、なぜその仕事をしているのか、国家国民意識、目的が希薄化してしまったのではないかと感じていました。志が低い、意識が低いと思い、文科省に対して意識改革の必要性を訴えていました。

●国会での質疑 文科省の意識改革を促す

 文科省の組織体質に危機感を持っていた私は、再就職問題が起きる前の平成28年3月10日に参議院文教科学委員会で、以下のような質問をしました。

○赤池誠章君 やはり教育の目的はというと、教育基本法に書いてありますとおり、人格の完成と国民の育成であります。やはり人間は一人では生きられないわけですから、きちっと社会との関わり、それは全ての教科に言えると思いますが、それを意識して、引き続き強化、お願いをしたいと思います。

以上のような施策を展開するに当たりまして、崇高な使命感を持った教員とともに、やはりその教育行政をつかさどる文部科学省自身の職員の意識と言動、仕事に取り組む姿勢というのも当然重要と考えております。残念ながら、昨今、文部科学省や関連機関に対して国民の大変厳しい評価が下されている側面もございます。今までどおり現状維持というわけにはいかないと思っております。そのための意識改革をどうするか。

 文部科学省には、森有礼初代文部大臣の自警の書が掛かっております。初代文部大臣は、文部行政の重要性とともに、最後に、「その職に死するの精神覚悟せるを要す」と結んでいるわけであります。

 改めて、現代的な意味として文科省にその覚悟があるのか、意識をどう変えようとしているのか、文科省の御見解をお聞かせください。

○政府参考人(藤原誠君 ※当時官房長) お答え申し上げます。

文部科学省の職員は、幹部であるか否かを問わず、各々が国民生活に大きな影響を与える重要な職務を担っていることをきちんと自覚して職務に臨むことが大切であると考えております。また、それと同時に、我が国全体を大局的な観点からきちんと考えて判断していく能力と責任感を養うことが極めて重要であるというふうに考えております。

文部科学省におきましては、職員の能力向上などを図るために、年間を通じまして様々な研修を行っているところでございます。例えば、昨年から、当時の赤池大臣政務官の御指示等も踏まえまして、新しく文部科学省職員意識改革プロジェクト特別研修をスタートしたところでございます。これは、教育の現場で活躍されている民間の方々などを講師として実施しているところでございます。

文科省といたしましては、今後とも国民目線の観点を忘れず、また、大局的に国益の観点から考えて行動する職員を育成していくために、研修などを通じて個人の意識改革を図りたいと考えております。また、官民人事交流制度による民間企業との人事交流や女性職員の採用、登用等による人員配置の工夫、それから勤務時間の見直しなどによる勤務環境の整備などを行うことによりまして組織をより一層活性化し、更なる大きな成果が得られるように文科省一丸となって今後とも取り組んでいく所存でございます。

○赤池誠章君 是非、覚悟を持って、それから我々政治家と皆様方職員の関係であったり、国民の間にはマスコミというものも入るわけでありますから、そういった多様な視点の中で、特に結果を是非出していただきたい。間接的な形で、現場がないということによって、通知だけ出せばそれで終わるようなことに是非ならないように、引き続き不断の努力、それから研修を積んでいただきたいと思います。

以上の質疑も空しく終わったと言わざるを得ません。

●官僚の在り方とは

官僚の在り方として、「後藤田五訓」が有名です。昭和61(1986)年中曽根内閣で創設された内閣官房6室制度発足時に、後藤田正晴内閣官房長官が訓示したものです。後藤田氏の政治家としての評価については意見が分かれますが、この訓示は重要な指摘だと思います。文科省の中でも、今回の事案に危機感を持つ数少ない官僚もいます。今回の文科省内でもある部署は、幹部の判断で、これを引用して、部下に訓示したと聞きました。

1.出身がどの省庁であれ、省益を忘れ、国益を想え。

2.悪い、本当の事実を報告せよ。

3.勇気を以って意見具申せよ。

4.自分の仕事でないと言うなかれ。

5.決定が下ったら従い、命令は実行せよ。

(出所) 佐々淳行著『わが上司 後藤田正晴』文春文庫(2002年H14)

国益重視、事実報告、連絡相談、責任感、忠誠実行ということで、国家公務員として当然の意識と言動の原則だと負います。この反対が、危機管理の敵、成果が上がらない、いわゆる「お役所仕事」に堕すわけです。文部科学省は、「後藤田五訓」の真逆をやり続けていることになります。

●文科省の再生は道遠し

私は、文部科学省の各部署の官僚が施策説明のために、私の会館事務所に来るたびに、担当であろうがなかろうが、若手から幹部まで一人一人に、今回の問題について、どう思うか、知人から聞かれたらどう答えるのか、聞いています。真相を知りたいのではなく、職員の意識がどうか、改革が進んでいるのかどうかを確認したいからです。残念ながら、いまだ文科省は混乱の渦中にあり、再生の道は遠いと思っています。

組織の再生は、大幅に人を入れ替え、仕事の準則や方法を変えて、職員の意識改革を図っていかなければなりません。いわゆる解体的出直しです。

国益を忘れ、国家行政組織の体をなさない文部科学省。国家にとって重要な柱である文部科学行政をなくすわけにはいきません。

引続き微力ですが、文科省解体的出直しに向けて、馴れ合い主義から、森有礼初代文部大臣の自警の書「その職に死するの精神覚悟せるを要す」(写真参照)の原点に返るべく、力を尽くしてまいります。

 私は、わが国の伝統的な精神、智・仁・勇の「三徳」や「和を以て貴しとなす」「万機公論に決すべし」に基づき、「国づくり、地域づくりは、人づくりから」をモットーに、全ては国家国民のために、根拠をもって総合的に日々全身全霊で取組みます。

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