- 2017年06月11日 11:15
頭がいい子の家は「ピザの食べ方」が違う
2/2問題集を買い与えてたくさん解かせるのは、逆効果
そうした残念なプロセスをたどらないためにも、前述の要領で足し算と引き算の基礎を家庭でもやる。わざわざ塾に通う必要はない。子どもに学校で出てくる「肝になる計算」だけを繰り返しさせれば、少なくとも落ちこぼれになることはないだろう。
だが、ときどき“やりすぎる”親も見かける。ありがちなのは問題集を買い与えて、たくさん問題を解かせようとすること。よかれと思って子どもに問題集を解かせるのだが、逆効果になりやすい。市販の問題集には、学校準拠ではないものがあり、その場合は学校のやり方と違うので混乱して、さらにつまずいてしまう。とにかく「簡単なものを一瞬で答える」訓練だけで十分。その点、『百ます計算』は理にかなっている。
■家庭でできる算数レッスン 小学校高学年「分数」編
次は高学年である。分数の感覚が大事になる。1/2+2/3=3/5というありがちな誤りを避けるために通分を徹底させたくなるのだが、そもそも「正しい感覚」があればこのような間違いは起こらない。意味を考えたり思い浮かべたりすることなく、ただ計算問題として見ているから、1/2+2/3=3/5にしてしまうのだ。
画像を見る九九のように暗唱して覚えてしまえるものでもない。中学年から高学年にかけての学習でつまずかないようにするためには、「感覚」として理解させることが重要になる。その点が、低学年におけるアプローチとは異なる部分だ。
頭のいい子の家庭のピザの食べ方とは?
家庭でもことあるごとに分数の「感覚」を養うために親子で話すといい。
宅配ピザを頼んだら、「あなたは2枚食べる?」ではなく「8分の2があなたのものね」というように。もしそこで、8分の2が4分の1と同じであることを説明できるとなおよいだろう。
ドライブの途中でも、「だいたい3分の2は走ったな」「残り3分の1か」というように、日常に分数がなじんでくるだけで、子どもは感覚をつかみやすい。
画像を見るさらにもう一歩踏み込めるのなら、「8枚の4分の1は何枚?」「600円の3分の2はいくら?」ということを考えさせるとよい。結局のところ、分数は「○個に分けたうちの△個」ということ。4分の1とか3分の2というだけでは、どうしても数字として見てしまいがちだが、具体的なモノを与えることで、日常生活と算数を結びつけて考えられるようになるのだ。
繰り返すが、分数は「感覚」が大事だ。だが、これも低学年編と同じように、問題集でたくさん解かせれば慣れて解けるようになると思ったら、大間違いだ。量をこなし「繰り返しやっているうちに覚える」「体で覚えればいい」という親は、自分自身がそれでできるようになった成功体験があるのだろう。親自身の理解力や数字に対する感覚がたまたま優れていたからかもしれず、子どもが同じとは限らない。
一度通分して分数の足し算、引き算ができたはずの子が、しばらく別の単元を学習していたら、また1/2+2/3=3/5に逆戻りしてしまうこともある。その場合、「あれだけやったのにどうしてできないの!」と怒る親も見受けられるが、怒らずに「感覚」をもう一度取り戻せるよう親子で励んでほしい。
私が経営する学習塾「ジーニアス」では小学3年生(夏)以上を指導の対象にしている。熱心な保護者も多いので、入塾する3年生の段階で先取り勉強してきている家庭も多い。ただ「計算法や解き方を知っている」ことが強みを持つのは中学年までだ。その先は、「数に対する感覚を持ち合わせているか」「複数のアプローチを考えようとする姿勢があるかどうか」で差がつきやすい。予習をしすぎることで、わかった気になるとかえって逆効果で、その後の飛躍の芽を摘み取ってしまっていることもある。
■短時間でもいい 親のサポートがあると算数力は伸びる
忙しくて、子どもの勉強を見る時間がなかなか取れない親は多い。かつての日本のように、専業主婦が子どもにつきっきりで教えることができる時代でもない。
それでも短い時間でいいので、まず小学校の勉強をスムーズに受けられるような土台を親が家庭で作ってあげれば、わが子はきっと学校の試験や受験でアドバンテージを持つことができるのだろう。
(中学受験専門塾ジーニアス代表 松本 亘正)
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