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教科書調査員を隠す横浜市教委――「開示せよ」と横浜地裁判決

 神奈川県横浜市教育委員会が二〇一〇年度の教科書調査員名簿を開示しないのは不当だとし、かながわ市民オンブズマンの保坂令子事務局長が提訴した訴訟で、横浜地裁(佐村浩之裁判長)は六月一五日、開示を命じる判決を下した。


 横浜市では、教科書採択年に応じて校長、教員など数人が調査員に任命され、報告書を作成する。教科書取扱審議会はこの報告書を審議資料として答申を出し、教育委員は答申を尊重して採択する。


 しかし、〇九年八月の中学「歴史」教科書の採択では、答申で評価の高くなかった自由社版が、全一八区のうち八区で採択された。この〇九年度までは、採択終了後に調査員名簿は公開されていた。


 同訴訟で被告側の横浜市教委は、一〇年度に非開示に転じた理由として、採択終了後でも市民・団体・記者等の働きかけによって調査員が萎縮する、と主張した。その具体例として、〇九年度に中学社会科の調査員だった校長の陳述書が提出され、筆者(星)が一〇年八月に同校長を取材した際に不適切な質問があった、とした。


 原告側は、筆者が作成した反論の陳述書を横浜地裁に提出した。


 判決は、筆者による取材を含め、「採択結果等の公正を事後的に検証する目的で、相当な方法をもってなされる働きかけ」について、調査員として「受忍すべき範囲のものである」とした。


 今月三日には、横浜市情報公開・個人情報保護審査会は、市教委による名簿非開示を不服とした同オンブズマンの佐藤満喜子代表幹事の異議申し立てに対して、「開示すべき」との答申を出していた。


 判決後の記者会見で、原告の保坂氏は「審査会答申と判決に従い、市教委は情報開示してほしい」と語った。


 横浜市教委事務局指導部の斉藤一弥指導主事室長は、筆者の取材に対し、「審査会答申を踏まえ、また判決文を十分に吟味し、今後の対応を検討する」と語った。 


 今月二九日には、控訴期限を迎える。そして七〜八月には、中学校教科書の全国一斉採択の時期がまたやってくる。


(星徹・ルポライター、6月24日号)


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