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「声が大きい」で処罰されるのか 板橋高校事件、最高裁が不当判決

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「大声」などが「威力」に該当することの不当性を訴える藤田勝久さん(左)。(撮影/平田泉)


 東京都立・板橋高校元教諭の藤田勝久さんは、二〇〇四年の同校卒業式の開始二〇分前、保護者に対し「教職員への国歌斉唱の強制」が深刻であることを説明し、その直後に受けた退去要求に対しては抗議をしたものの開始一五分前に式場から退去した。この一連の行為に「威力業務妨害罪」が成立するか、特に「呼びかけ行為」と「抗議行為」は言論行為であり、これらを処罰対象とすることが表現の自由を侵害することにならないか、が争われてきた。


 最高裁判所第一小法廷(桜井龍子裁判長)は七月七日、上告棄却の判決を言い渡した。これで罰金二〇万円とした一、二審判決が確定する。


 判決理由では藤田さんの「呼びかけ行為」及び「抗議行為」について、「大声」「怒号」「怒鳴り声」「粗野な言動」など感覚的な認定に終始し、これらの表現行為について「その場の状況にそぐわない不相当な態様」と断じて「威力」の該当性を認める判断だった。


 今回、最高裁に求められていたのは感覚的、恣意的な認定ではなく、表現行為について「威力」該当性の判断基準を明確にすることだったはず。表現行為に対して恣意的な認定に基づく処罰が許されれば、社会における正当な異議申し立て行為がただ「声が大きい」ことを理由として処罰されることになりかねない。


 藤田さんは判決について「学校の卒業式で何を歌うかなんかはその学校の卒業生が決めればいいことだ。政治家や役人が介入することではない」と話している。


 なおこの判決では国際人権規約違反に関する判断を示していないが、これは最高裁の判断が表現の自由に関する国際人権法の水準に達していないことを示したものと言える。弁護団はこの不当判決に抗議し、今後も、自由な教育現場を取り戻す闘いを続ける決意だ。
(平松真二郎・弁護団、7月15日号)


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