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中朝友好条約は時代遅れか - 岡崎研究所

 中国の環球時報が、「中朝友好条約は時代遅れか」と題する社説を5月3日付で掲載し、同条約は半島の平和に長年寄与してきたが、北の核開発とミサイル発射は条約の原則に反するものである、と警告しています。社説の要旨は以下の通りです。

 朝鮮半島情勢をめぐる緊張の高まりに伴い、中朝友好協力相互援助条約の機能、中国が同条約をどう考えているのかにつき、内外で議論が起こっている。

 条約は1961年に中朝間で署名され、1981年と2001年に更新され、後者は2021年まで有効の予定だ。条約は「いずれか一方に対する攻撃を阻止するため、両国は共同であらゆる手段をとる」「いずれかに対する一カ国あるいは複数国による攻撃により戦争状態となった場合、もう一方は、直ちに軍事的およびその他の支援を供与する」と規定している。

 条約は、長年にわたり半島での平和に不可欠の役割を果たしてきた。韓国は朝鮮半島統一プロセスを優位に進めるつもりであり、米韓は北への軍事攻撃の計画を立ててきた。条約は、米韓に冷静さを促す緩衝として機能してきた。

 前回の条約更新以来、北の核開発をめぐる中朝間の相違は先鋭化している。条約が時代遅れか否か、中国および国際的な言論空間で議論がある。

 平和の前提は、安定した地政学的構造である。最近、日米韓は、北東アジアの地政学的ゲームに再び関与するようになった。条約は北東アジアの構造的安定に何らかの寄与をしてきた。米韓は北の体制崩壊を繰り返し言い立て、半島における中国の利益を排除しようとする者もあった。しかし、条約は、そういう考えが行き詰ることを示している。

 北は、国家安全保障の礎として条約を大事にすべきである。北の核技術追求は、北自身と地域の安全保障を損ね、中国の国家安全保障を危うくしている。これは、条約の原則に反することである。

 条約は攻撃に強く反対しているが、北は、国連安保理決議に反して核兵器開発とミサイル発射に固執し、米国との軍事衝突のリスクを高めている。状況は、2001年の条約更新から、大きく変化している。

 北朝鮮は核実験を止める必要がある。米韓は北に対する攻撃的な軍事的威嚇を止めるべきである。双方が半島の平和と安定に貢献すべきである。中国は地理的に半島に近い。戦争が起これば中国もリスクに直面する。

 中国は、東北部が北の核実験により汚染されることを許さないし、非平和的手段による半島の構造変化も許さない。

 中国はいかなる国に対してもフル・スケールの制裁を科したことはない。中国人民は、長年戦争から遠ざかっている。世界は中国の強さが勢いを増している様子を見てきたが、いかなる国も中国の決意を過小評価すべきではない。

出典:‘Is China-North Korea friendship treaty outdated?’(Global Times, May 3, 2017)
http://www.globaltimes.cn/content/1045251.shtml

 『環球時報』は、中国共産党の機関紙『人民日報』系の国際紙ですが、上掲社説では、北朝鮮の核・ミサイル実験、なかんずく核技術追求に強く反対するとの立場を強調しています。そして、「朝鮮半島は中国に近く、ここで戦争が起これば中国もリスクに直面する」と警告を発しています。これは中国の本音でしょう。

どこまでトランプ政権に貸しを作るか

 中国にとっては、北朝鮮の体制維持は、何よりも米韓への緩衝地帯としての地政学的意味合いを持つものです。したがって、北朝鮮の体制が維持されるとの大前提下で、どこまでトランプ政権に貸しを作るか、ということが具体的課題となっていると言えるでしょう。

 中国としては、北朝鮮の政権存続に決定的重要性をもつと考えられる石油輸出や食料品輸出についての制裁には手心を加えようとしているのではないでしょうか。

 上掲『環球時報』社説は、そのことを「中国はいかなる国に対しても、フル・スケールの制裁を科したことはない」と述べていますが、この指摘は、過去の中国の行動を見れば、決して説得力をもつものではありません。

 目下、トランプ政権にとっての最優先課題は、北朝鮮問題ですから、その他の諸課題――例えば、貿易問題や「一つの中国」問題など――は、取引材料として軽く扱われているように見えます。中国もまた、トランプ政権同様、北朝鮮問題以外の諸課題を取引材料として、自己に有利なように扱おうとしているようです。

 最近、北朝鮮の公的メディアはこのような中国の対応に対し、「我々の忍耐の限度を試そうと思うな」と中国を名指しで批判しましたが、これまでの北朝鮮の対応から見ると異例なことです。北にとっては、核・ミサイル開発をやめるという選択肢がない以上、中国からの制裁にどこまで、どのように抵抗するか、ということが次の課題となるでしょう。

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