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劇団「シベリア少女鉄道」をなぜいままで見てこなかったのか

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ここに、野暮ったい数行を入れてしまうが、この公演のひとつの捉え方が「テキストの解体と再構築」という幾分四角ばった、ユリイカあるあるみたいな、だけど四年に一度ぐらいなら口にしてみたい、そういう表現ジャンルに属するとすれば、ゼロ年代の「笑い」におけるその分野に、アンジャッシュのすれ違う会話劇や、ラーメンズの2007年公演「TEXT」などが思い浮かぶ。もちろん他にもあまたある。

さらに自身の記憶をもう少し遡ると、90年代前半、ピン芸人の本間しげるが、漫才のボケとツッコミを分割し、それぞれを順にひとり芸で演じて見せるステージを観たとき、「そんなことをよく思いつくなあ」と唸った記憶がある。

こういう「そんなことをよく思いつくなあ」という笑いに触れるたび、登山のことを思う。登山は、山頂をイメージして、綿密な登山計画を作り、装備を整え、実践する。イメージを着想するだけでは登山は成立しない。実際にその山を一歩一歩登る(地道で孤独で息苦しくて体がきつい)行為を経て、初めて具現化する。

シベリア少女鉄道の土屋亮一は、こういう登山をどれだけ繰り返してきたのだろうか。今回踏破した山の高みは、山に関わる誰もがうらやむものだったと思う。

配布された公演プログラムに、土屋がこんな言葉を寄せていた。


<「シベリア少女鉄道 vol.28 配布プログラム >より

地獄みたいなものが見たいとか思っちゃうやつは、
地獄に堕ちるんだなということがよくわかりました。


この舞台をイメージして具現化するまでに、土屋は地獄を往復したらしい。なので、地獄のアルペンクライマーと位置付けておく。もしもお笑いクレイジージャーニーがあれば、キャスティングされるだろう。
シベリア少女鉄道
「シベリア少女鉄道 vol.28 たとえば君がそれを愛と呼べば、僕はまたひとつ罪を犯す。」

<会場> 赤坂RED/TEATER

<公演期間> 2017年5月24日~6月4日(全16ステージ)

<出演>
美奈子  (篠塚茜)
雄一   (加藤雅人)
美奈子の夫(浅見紘至)
夫の秘書 (川田智美)
美奈子の姉(濱野ゆき子)
美奈子の妹(小関えりか)
病院の先生(吉田友則)
ナース  (風間さなえ)
雄一を見つめる謎の女性(葉月)
5年前の事件で命を落とした男子高校生(川井檸檬)
その兄  (大石将弘)
事件を追う雑誌記者(佐々木ゆき)
レストランのウェイター(安原健太)


<公演時間> 約1時間50分

「シベリア少女鉄道」公式サイト http://www.siberia.jp/


劇場を出て、サーモグラフィーをあてたら恥ずかしいぐらい赤くなっていそうな高揚の中にいた。外堀通りで溜池から赤坂に向かって吹く夜風では、この高揚を鎮めようがない。ところが、ふと全身の上気を奪い去るような冷気を半身に感じた。後悔の念だ。

「vol.1~vol.27、観てなかったんだ」

仕方ない、自分は、「シベリア少女鉄道」を観るのが、これが初めてだったから。

それから、高揚と後悔、ふたつのスイッチがON・OFFを繰り返す。このただならぬ後悔を消し去るには、「シベリア少女鉄道」過去公演の再演を願いつつ、新たな公演を観続けるしかない。

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