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「私の大統領」〜アメリカ人にとってトランプは大統領か否か

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ドナルド・トランプが第45代アメリカ合衆国大統領に就任以来、アメリカは大混乱に陥っている。就任式当日から連発される大統領令、政治経験皆無者の内閣指名……全米各地で抗議デモが頻発し、「トランプは私の大統領ではない」と宣言する者、「トランプこそ私の大統領だ」と熱烈に支持する者と、アメリカは大統領を巡ってまっぷたつに分断。この現象はアメリカにとって大統領が非常に大きな存在であることに由来する

■オルタナ・ファクト

 日本でもトランプ報道は加熱しているが、日本ではあまり伝えられないトランプおよび政権の言動を元に、アメリカにおける大統領の位置付けを考えてみたい。

 連日の大統領令の中で最も大きな混乱を招いたのが、シリア難民の受け入れ停止とイスラム教7ヶ国民のアメリカ入国禁止令だ。大統領令が出された瞬間にアメリカへ向う機上にいた該当国籍者は空港に到着するや勾留。祖国への里帰りからアメリカに戻ってきた家族の中には米国市民権(アメリカ国籍)、永住権、ビザと滞在資格が異なり、家族離散となったケースもある。

大統領令の違法性が問われると同時に人道的にも大きな問題と捉えられ、瞬時に全米各地の空港で抗議デモが起こった。弁護士たちも駆け付け、無償で該当者支援を行った。同時に入国禁止令差し止め訴訟も起こされ、トランプ政権は2日後に「永住権保持者は除外」の通達を出した。文字どおりの朝令暮改となったのである。

 もうひとつの大統領令騒ぎは対メキシコ。トランプは当選前からメキシコとの3,000kmにわたる国境に壁を作り、莫大な建設費用はメキシコに払わせると言い続けてきた。折りも折、メキシコのペニャニエト大統領が訪米してトランプとの会談を行う調整のためにメキシコ政府高官が渡米している最中に「壁を造り、費用はメキシコ」とする大統領令に署名。メキシコ側は侮辱と受け取り、訪米をキャンセル。トランプは「メキシコからの輸入品に20%の関税をかけ、その歳入で壁を造る」と発言。

 こうした騒ぎも冷めやらぬ2月1日にトランプは“黒人史月間”を祝う談話を発した。その内容から黒人史にまつわる常識範囲の知識も持ち合わせていないことが露見した。1800年代に奴隷の身から奴隷解放運動家となったフレデリック・ダグラスの名を出しながらその功績内容には一切触れず、「素晴らしい活動を行ってきた」と、まるで生存する人物であるかのように結んだ。瞬く間に「ダグラスが誰で何をしたのか知らないのだろう」「もう死んでるって気付いてないよね」といった書き込みがSNS溢れた。

 政権チームの言動もメディアで大きく取り沙汰され続けている。ホワイトハウス報道官は就任式の一般参加者の数を史上最大と言い、事実ではないと批判されるとホワイトハウス顧問が「これはオルタナ・ファクト(別の事実)である」と釈明。その顧問がムスリム禁止令への批判に対して「オバマ大統領もボーリンググリーン虐殺後に同様のことをした」と架空の虐殺事件を使って反論。

 こうしたエピソードから分かるのは大統領と政権に他者への無関心と敬意の欠落、非難に対して即時に報復、または捏造で反論するパターンがあることである。

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