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君子どう豹変するかが課題

 膨れ上がった概算要求や税収減が話題になっている。政権が変わって1ヶ月、マニフェストについて見通しの甘さは否めないが、政権を取らない事には分からないこともあり、税収減であれ日航の処理であれ前政権からの積み残しでもある。これから財務省や行政刷新会議、国家戦略室がきっちり査定すればよいし、そのプロセスこそ政権交代を印象付けるのではないか。

 民主党は次の参院選までに自民党的なるものを一掃し、国民が明らかな変化を実感できるかが肝要と踏んでいるのだろう。しかし遠からず、遅くとも次の衆院選までに、マニフェストを実行したかではなく、そもそもマニフェストで掲げた政策が正しかったか、特に経済、財政、外交について結果を問われることになる。

 個人的には公共事業の見直し、ネット選挙の解禁、補正予算の執行停止、選択的男女別姓といったリベラルな動きは支持する一方で、兼業農家を含めた戸別補償、使途を絞らない子ども手当などは費用対効果を疑問視している。国民世論の敏感な年金や高齢者医療の見直しは道筋がみえず、失業率は悪化して税収減から赤字国債が避けられないとなるとマニフェストを墨守しようにも優先順位を考えた取捨選択が必要となるだろう。

 国家戦略室の検討している予算査定のネット公開といった国民参加型の意思決定は、痛みを伴う公約撤回に正統性を付与する手段となり得る。年明け以降JALに限らず前政権から先送りしてきた経済問題が煮詰まり、新たな外交方針に対する関係国の反応が出揃い、マニフェスト策定当初の目論見が顕在化した時、支持率の推移を睨みつつ批判的な論調は強まると予想される。しかし官僚任せで問題を先送りしたところで惰性は続いたのか、その持続性に対する懐疑こそ、小異を捨てて政権交代を支持する原動力となったのではないか。

 国民が民主党を支持した背景と負託を捉え直した上で、マニフェストに掲げた政策のうち不要不急の支出は見直すべきではないか。例えば赤字国債を発行するくらいならば子ども手当は延期すべきだ。経済の先行きが不安なら手当をつけても出生率は上がらない。子育て家庭だけをみれば子どもの数は減っておらず、若年層の晩婚化・非婚化こそ課題なのだから、派遣労働の待遇見直しなど若年雇用対策・格差是正を優先すべきだ。同世代の中で相対的に恵まれている子育て世帯への支援は、逆進的で効果も期待し難い。

 マニフェストを金科玉条に公約した分配を確実に履行することではなく、経済・国際情勢の変化を踏まえ、政権獲得で手にした情報や行政組織を駆使し、ビジョンを示して効果と緊急性を鑑みて臨機応変な政策を打つことこそ、次の選挙へ向けて政権担当能力を示すことに繋がるのではないか。

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