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山口敬之氏の不起訴問題 警察こそが説明責任を果たすべき

 安倍氏の御用ジャーナリスト山口敬之氏が準強姦容疑で告訴された事件では不起訴処分となった経緯が不可解なものとなっています。

 この事件では、当事者間に性行為があったことについては争いがなく、また山口氏は当時、TBSの社員(ワシントン支局長)だそうですから、その地位を利用して性行為にまで及んでいるのですから、山口氏の行為が法律に触れるかどうかはともかく、その時点でアウトです。女性側が言い寄ってきたとしても許されるものではありません。
 山口氏は、さっさとTBSを退社されたそうですが、本来であれば懲戒解雇が相当でしょう。

TBS武田社長、元支局長事件「事実明らかにして」」(日刊スポーツ2017年6月1日)

「当時、TBSに警察から詳細を問い合わせてきた。本人に詳細を問い合わせたが、説明がないまま自己都合で退職してしまった」

 このTBS社長のコメントはひとごとですが、かつての社員がとんでもないことをしたという自覚くらい持ってもらいたいものです。

 さて、山口氏は、フェイスブックで不自然な弁明を繰り返されているようですが、弁明の方法としては一方的な言い切りであり、しかも誰もが疑問に思うことを端的に答えていないという点で弁明とはいえません。
 確かにこの問題は山口氏は被疑者という立場であり、安倍氏の御用ジャーナリストというだけで公人でもありませんから、当然に公の場で弁明せよということにはなりませんが、これでジャーナリストとしての生命が絶たれたとしても身から出た錆というところでしょう。

 問題なのは、むしろ、警察の対応です。逮捕状まで出ていながら直前に「上」からストップが掛かったということなのですから、これが一体、何を意味するのかということです。
 菅官房長官秘書官だった中村刑事部長が止めたということまでははっきりしています。しかし、その「上」があるのかどうかということです。
 あまりに政権に近い立場ということですが、森友学園、加計学園とも同じような構図になってしまっているわけです。

 逮捕状が出ているということは一応の嫌疑があることを証拠上、裁判所が認定したことになります。
 もちろん、裁判所の令状発付ですから、全体としてズブズブ感があることは否めませんが、それでも一応、令状は発布されているのです。
 準強姦容疑ですから、逮捕状まで取ったということは、取調べの中で一気に被疑者の供述(自白)を固めてしまおうということだったのかなと推測されます。いつもの警察のやり方です。良いか悪いかは別にして、そういう運用です。

 それを横やりを入れて任意での捜査に切り替えたことに結果としてなるわけですから、「何故?」ということになります。

 ところで、事件は検察官送致になっていますから、最終的に不起訴処分を決めたのは検察官であり警察ではありません。
 検察官に送致されてから1年くらいたって不起訴処分となったことから、検察が慎重に捜査していたという見方もあるようですが、単純に身柄事件ではなかったために後回しにされたいたにすぎないと思われます。

 さて、警察段階で任意捜査に切り替わり、しかも示談のために警察車両によって弁護士のところにまで連れて行かれたというのですから、この時点で警察が事件化したくないという姿勢に明らかに転換したことが読み取れます。
 示談さえ済めば準強姦罪は親告罪ですから、告訴取り下げになる可能性が高く(本来、民事の示談が済んだとしても告訴を維持することは可能なのですが、示談としては賠償金を払うことを条件に告訴を取り下げさせる内容になることが普通です。)、事件として終結となります。

 時折、嫌疑不十分とされる案件で示談をさせ、それを受けて不起訴にするという手法が採られることがあります。
 よくあるのは、被疑者を逮捕・勾留し、身柄を拘束して取り調べたものの、被疑者の供述を精査してみるとどうしても立件が難しいと判断される場合です。この場合には検察官も直接関与していますから、起訴できるかどうかという観点から証拠が吟味されるので、嫌疑不十分なんだけれど、弁護人に示談を進め、示談ができればそれも理由の1つとして不起訴とするという落としどころを探るのです。

 しかし、本事案では、身柄拘束もしていませんから、その時点で警察にとって、どうしてもそれ以上の捜査が困難だという事情はなかったのです。

 つまり、逮捕状まで取っておきながら、この方針転換がその後の捜査のあり方についても疑惑を招いているわけです。

 このような方針転換をした警察の姿勢が証拠を的確に収集していたのかという疑念も浮かび上がるのです。当然のことながら、その後、被疑者として山口氏の取調べも行ったでしょうが、任意での調べですから、普段、持ち合わせているような有罪に向けての気合いが入っているのかどうかということが問われるわけです。

 むしろ、山口氏の弁明のための調書になってはいないのかということです。

 検察官も同様に山口氏の取調べは行っているのでしょうが(推測です。)、警察官作成の調書で「弁明」がばっちりと出来上がっているときに、これを覆すような調書を作成するのかどうか、それに向けた取調べをするのかどうかも疑問です。
 私は、このような事情から検察官の判断が入っているからといって、前提となる警察の捜査が「不十分」であるならば、検察官としても、それ以上のことはできず、必然的に不起訴になったのではないかという疑惑が拭いきれません。

検察の信用も問われている

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 なお、私は山口氏が当然に有罪だなどとは考えてはいません。無罪推定の原則があることはもちろんのことですが、そうではなく、ここではきちんと的確な捜査がなされたのかどうかということが問題だということです。
 性犯罪の被害者団体や弁護士などから、事実上、立証責任を転換してしまうような主張がなされることがありますが、そのような立場に立つものではありません。

性犯罪で続く逆転無罪判決 被害者の供述の危うさ

 何よりも逮捕状の執行を止めたことこそ、一番重大な問題だということです。それ故居に山口氏が弁明するよりも警察こそが説明しなければならないということです。
 執行を止めるのですから、相応の理由が必要です。
①逮捕状請求のために裁判所に提出した書類に重大な問題があることが発見された
②その後の事情の変更によって逮捕の必要性がなくなった
くらいしか思いつきませんが、そういった事情など全く見受けられないのです。

 逆に政権とあまりに近い立場の者が逮捕を止めた、これ自体が疑惑を招いているのです。

 逮捕を止めるなどということが一刑事の判断ですることなのでしょうか。そのためには相応の理由が必要なはずで、これだけ公になったのですから警察においても沈黙は許されません。
 現場の警察官の努力すらも踏みにじるものです。

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