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派遣法改正と派遣切り防止は関係付けられるか

 今朝の毎日新聞ネット記事によると、労働政策審議会は登録型派遣や製造業派遣の原則禁止を柱にした改正労働者派遣法案要綱を妥当とする答申を出したとのこと。

〔記事要約〕
・通訳など専門業務を除き、登録型派遣を原則禁止、製造業務も常用型派遣だけを許すほか、登録型派遣の原則禁止の施行は最大5年の猶予。
・連合は賛成、派遣労働者労組からは「抜け穴が多く実効性が薄い」。

 ↓

 旧政権から設置されている労政審の答申を尊重することが現政権の政治主導・脱官僚依存に抵触しないのかなどという指摘があることはさておき、内容的には民主党が野党時代から叫んでいたものと殆ど同じ。

 労政審は現政権の諮問機関としては、合理的に機能しているということだ。審議会の各委員の多くには私心があるにしても、審議会の総体としては諮問元の顔色を窺わざるを得ない。現行制度においては、政権交代によっても、各大臣の諮問機関には大きな制約と超越できない限界があることを如実に現わしている。

 妥当と答申された改正労働者派遣法案要綱は、下記ファイルの通り。最大5年も経過措置があると、経済社会情勢の変化に対応できるはず。派遣切り防止などの政策目的とそのための法案内容に大きな乖離があるにしても、軟着陸である手法を採用している点では評価できる。

hakenho_yoko.pdf

 派遣労働規制緩和は、景気下向き局面でない局面ではマクロ的なワークシェアリングとして機能したが、景気下向き局面では別の問題を惹起した。派遣切りは、規制緩和によるものではなく、景気の劇的な下振れによるものである。

 従って、派遣規制強化のための派遣法改正は、改正法施行後の派遣切り防止には資するが、就業対策や失業者対策としては全く機能しないどころか、逆の効果をもたらす。適切で妥当な安全網の敷設が最も望まれる。この場合、公的安全網はどこまで必要かについての線引きが最大の課題となる。

 世代が徐々に交代していく以上、安全網施策にも時々に応じて欠陥が顕在化する。それを適宜修正していく柔軟性が必要だ。職がないのは景気によるので仕方ない面があるが、衣食住は必ず確保されるような公的安全網こそが必要最低限なのではないだろうか。

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