- 2011年11月16日 23:26
英語は聞き取るより話す方がずっと簡単
今年から数学科の中で、ティーチング・アシスタントと非常勤講師の評価と指導をする係に加えられた。メンバーは、まとめ役の女性の教授、常勤講師が男女3人ずつ、それに、常勤の教授、准教授、助教(自分)が一人ずつだ。今日は2回目の会議だった。
この会議は女性の常勤講師3人が、評価される人がその場にいないのをいい事に厳しい事を言いまくってストレスを解消し、それを男性の常勤講師3人がなだめ、教授、准教授、助教の3人はドン引きしているという構図だ。ちなみに、まとめ役の教授は誰についているのか良くわからないところがまとめ役らしいところだ。
なんだかんだ言って中心的な議題は外国人TAの英語の問題なのだが、そこで再認識したことは、「英語は聞き取るより話す方がずっと簡単。」と言う事だ。誰かがそのことに触れたところ、全員が同意した。その理由は簡単で、「話すのは自分で全てコントロールできるが、聞く方は相手に合わせなければならないから。」ということである。
純粋な日本人の場合、聞き取る方が話すより得意という人も多いのでこれは少し興味深いことではないだろうか。
理由はいくつか考えられる。
1. 日本の英語教育のせい 日本の英語教育では、クラスの規模が大きすぎたり、教師の語学力が十分でないために、アウトプットの練習をする機会が限られている。また本来的にインプット重視の授業が行われている。
2. 数学で使う英語が簡単だから数学で使う単語は、動詞も名詞も限られている。また、体系が整備されていることもあり、定型表現が多い。結果として、話すのが簡単である。
しかし、この論理に従えば聞き取る方も簡単になるはずである。もっとも、学部初級向けの授業などでは数学をやっているのに数学的でない質問の仕方をする学生がいるのも原因の一つだろう。
3. 数学科の院生は変だから
実は前から気になっていたのだが、日本人などの外国人に関しては、数学系の学生はアウトプットが得意でインプットが苦手であり、人文・社会科学系の学生はインプットが得意でアウトプットが苦手な傾向がある。人文系・社会科学系にはそもそも英語力が高い人が多く、そういう人たちは両方が得意なのだが、彼らを除いて考えると、語学力のインプット/アウトプット能力のバランスは、扱っている分野による文章の難易度の違いだけでは説明できないほど大きいように思う。もしかすると、数学系の学生は限られた知識を組み合わせて何かを構成する能力が高く、人文・社会系の学生は膨大な知識を仕入れて理解する能力が高い、という本来的な適性の違いがあるのかも知れない。