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日本ボクシング界の今後を左右する、モンスター井上尚弥の挑戦  - 川崎隆夫(経営コンサルタント)

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では日本でも英国のように、ボクシング人気を復興させることはできるのでしょうか?そのためには、以下についても検討する必要があると考えられます。

1.選手の海外進出を積極的に支援
 日本のボクシング界は従来、日本人選手が主に日本国内で試合(興行)を行うことを前提として活動してきましたが、現在ではスポーツのグローバル化が加速しており、ボクシング界も例外ではありません。かつては、海外で日本ボクシングコミッション(JBC)が認定していない団体のチャンピオンに挑戦するために、JBCを脱退した選手も散見されました。今後は逆に、彼らの海外進出を積極的にサポートするためのシステムの構築が必要になるだろうと思います。

2.「複数階級制覇」「王座統一」等へのチャレンジを支援
フロイド・メイウェザーやマニー・パッキャオ、ノニト・ドネアなどのスーパースターの多くは、複数階級を制覇しています。日本の場合には、「防衛回数」を重んじる傾向が強いですが、世界では現在、防衛回数よりも複数階級の制覇や、他団体との王座統一のほうが認められる傾向が強いため、日本人選手も「複数階級制覇」等にチャレンジしてもらいたいと思います。

仮に井上尚弥がバンタム級に上げて、9月の米国での試合でタイトル奪取に成功したとしたら、「3階級制覇チャンピオン」ということになり、海外での評価がより高まることが期待されます。

3.強者同士が戦う「マッチメイク」の拡充
かつての日本では、防衛回数を重ねることが「強い王者」の証のように考えられていた時代があり、王座の防衛を目的化してしまい、それにより海外から「噛ませ犬」的な弱い挑戦者を連れてきて国内で防衛戦を行い、いたずらに防衛を重ねていたチャンピオンが過去存在したことは事実です。

しかしながら現在、海外ではタイトルがかかっていなくても、「強い者同士」がキャッチウェイトで戦う試合が増えており、このように「強い者同士のガチンコ対決」でないと、評価を得られない時代へと変化しつつあります。よって日本のボクシング関係者も、日本人選手の敗北を恐れずに、海外の強豪に積極的にチャレンジさせていく方向に、意識を変えてほしいと思います。

4.野球のイチローやダルビッシュに匹敵する、スーパースターの計画的な育成
野球人気が底堅い理由の一つとして、イチローやダルビッシュのような日本人メジャーリーガーが、本場米国で活躍していることが挙げられます。同様に、今年の9月に井上尚弥が米国でのタイトルマッチに勝利するだけではなく、今後本場米国に活動拠点を移して、バンタム級、スーパーバンタム級と階級を上げていく中で、WBOバンタム級王者ソラニ・テテやWBAスーパーバンタム級スーパー王者ギレルモ・リゴンドーなどの強豪と戦い勝利したとしたら、井上尚弥は日本のみならず、世界的な評価も得て、米国で第二のマニー・パッキャオ的な地位を確立できるかもしれません。

井上以外にも、先日の試合で惜敗したものの、その実力を証明したミドル級の村田諒太なども、今後世界が注目するスーパースター候補の一人だと言えるでしょう。このように井上や村田の今後の活躍が、現在低迷しているボクシング人気復活のための起爆剤になる可能性が高いため、日本のボクシング関係者は、中長期的な視点に立って、彼らの世界へのチャレンジを、しっかりと支援して欲しいと思います。

■グローバルな視点に立った「日本のボクシング活性化策」の策定

現在日本政府は、スポーツ振興を日本の成長戦略のひとつとして位置付けています。その中でも、海外で人気が高いボクシング人気を復活できれば、日本経済の活性化にも繋がることが期待されます。

井上尚弥や村田諒太などの活躍により、日本でもボクシングファンが増え、その結果世界のビッグファイトが日本でも開催されるようになれば、インバウンド効果も期待できるでしょう。日本のボクシング関係者には、英国での成功事例等を参考にし、グローバルな視点に立った「日本ボクシングの活性化策」を策定し、それを着実に実行してほしいと思います。

【参考記事】
■企業の成長・発展のために活かしたい、若手社員の発想力
http://takaokawasaki.blog.fc2.com/blog-entry-45.html
■静かに進む若手人材の早期選抜とシニア人材の流動化
http://takaokawasaki.blog.fc2.com/blog-entry-44.html
■成否が気になる、三越伊勢丹の「コト消費市場」への参入
http://sharescafe.net/50722168-20170224.html
■中小企業を宝の山に変える「起業家人材」の活用
http://sharescafe.net/50518502-20170126.html
■斎藤佑樹投手は「あの夏の成功体験」を捨て去ることができるのか?
http://sharescafe.net/50108491-20161129.html

株式会社デュアルイノベーション 代表取締役
経営コンサルタント 川崎隆夫 

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