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  • ヒロ
  • 2017年05月24日 10:00

テロと共謀罪

以前から気になっていたことがあります。コンサート会場やスポーツイベントはテロリストにとってはもっとも刺激的なターゲットになりうるだろうな、と。日本の都市では人口密度がもともと高いこともあり割と気がつきにくいと思うのですが、欧米では人口集積地域はそれほど多くはないものです。駅でも繁華街でも日本ほど人が密集しているわけではないのですが、人気あるイベントの会場となればこれは全く別世界であります。

また、以前から指摘されているソフトターゲットと称する一般市民を対象にしたテロはもはや場所も手段も選ばないとも言えるのでしょう。私が懸念するのは英国のこのような事件で一般市民のイベントへの参加を消極的にさせかねない悪循環に陥る可能性です。

テロが欧州を中心に頻発しているのは地政学的な点もあろうかと思います。選挙は終わっていますが、オランダやフランスで再び保守的な思想がもたげ始めてもおかしくないでしょう。国家元首は「テロに屈しない」と強い表現を繰り返しますが、その犠牲は常に一般市民であることにいらだちを隠せません。

そんな中、日本では共謀罪が衆議院を強行突破に近い形で通過し、民進党や共産党が吠えています。反対意見の主だったトーンは「一般市民にあらぬ嫌疑をかけられる心配がある」という点なのですが、個人的には民進や共産の追及が「レバタラ」のように聞こえます。

私がこの議論で直感的に思い出したのが「特高警察」と「レッドパージ(赤狩り)」であります。特高警察は戦前、反体制派を取り締まるためかなり強引な取り調べを行った悪名高き警察組織です。そしてレッドパージは戦後GHQ下における共産主義の膨張を防ぐ対策であります。これらの取り締まりは拷問に近く「蟹工船」の小林多喜二もその犠牲者の一人であります。

現代の日本において特高や赤狩りのような捜査が行われるとは信じがたく、反対派の声は杞憂だと考えておりますが、もちろん、捜査に完璧はないわけでどんな形でこの共謀罪が通過しようと反対のボイスは消えないかもしれません。

それでも私はこの法案は絶対に通過させねばならないと思います。それは2020年のオリンピックに向けた予防的措置が十分に施されなくてはいけないからです。そして、今のところは日本にテロの目は向いていませんが、仮にターゲットにされた場合、人口集積度が高く潜在的犠牲者が出やすい点に疑いの余地はありません。また、日本の脇の甘さは「不慣れ」ということを含め、否めない事実であります。

もう一つ、テロといえばイスラム系過激派の代名詞だと思われますが、私は北朝鮮問題が今後、更に混迷を深めるならば全く違う類のテロもあり得ると考えています。また騒乱を起こすのはオウムのような宗教的思想や45年ぶりに逮捕された大坂正明らが扇動した「渋谷暴動事件」のように学生運動というテロリズムもありうるわけです。また、昔はテロは大掛かりな組織的犯罪だったものが最近のテロリストは極めて少人数の犯人ないしグループが大事件を引き起こすケースが目立ちます。

英国の今回のテロも実行犯は数人しかいないように見受けられます。つまり、世の中には何処にでもいるようなエキストリームな思想を持った人間が割と簡単に行動を引き起こすリスクがあるという点において犯罪そのものが変質化してきていることにも留意すべきでしょう。

その点からすれば日本ではあまり強くないプリベンティブな(予防的)対策は今後、大いに強化すべきであります。仮にテロが起きたとき、共謀罪に反対する民進党や共産党はどう言い訳するのでしょうか?

我々の住む現代社会は戦争時代とは違い、はるかに過ごしやすい時代となったことは事実です。が、一方でテロという新しい敵に対して世の中はまだまだ無防備であり、日本では無策とも思われるこの現状は認識すべきではないでしょうか?

では今日はこのぐらいで。

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