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急速に国民的関心を失いつつあるTPP問題

今、どのマスコミを見ても、まさにTPPを巡る議論一色という様相を示していると言っていい。

とは言ってもそうした一連の報道を見ても(あるいは、読んでも)、TPPに参加したならば具体的な形でどのような「世界」がやってくるのか、なかなかイメージしにくいのではないだろうか。かく言う私も同様だ。

たとえば農業分野一つとってみても、TPP参加後のとらえ方は、まさに百花繚乱だと言える。

そして極論と極論がぶつかり合って、具体的には「TPPに参加したならば、日本の農業は壊滅する」、「否、そんなことにはならない」といったように、一連の議論は全くの平行線をたどっているのが実情だ。

そしてそれゆえに、TPPを巡る議論はある種の「仮定の仮定の話」となってしまって、全くの不毛の議論となってしまっているのだ。

某テレビ局のプロデューサーが言う、
「TPP問題を番組で扱っても、悲しいかな数字(視聴率)が全く来ない」

こうした物言いから伺えるように、どうやら視聴者(そしてそれは「国民」と言い換えてもいいのだろうが)は、TPPに対する興味・関心を急速に失いつつあると言っていい。

テレビはある意味で非常に冷酷だ。数字(視聴率)の取れないテーマは、一気に扱わなくなる。今後、テレビの画面からはTPP問題は消えていくことになるだろう。

しかしそれもやむおえない話なのかもしれない。むしろいつまでたっても結論のでない堂々巡りの議論を見せられている国民の方こそたまったものではないだろう。

とは言え、少々うがった見方をするならば、野田首相はまさにそうした状況になることを狙っていたのではないだろうか。

TPPを巡って、とにかく具体的な方向性は全面的に回避する、と。そうすれば、ある種の憶測に満ちた主張も含めて一連の議論は大混乱に陥るはずだ。

そのことこそ、野田首相が望んだ状況だったのではないか。そうした大混乱の中で、着々と既成事実だけを積み上げていく。

案外、野田首相は相当にしたたかな人物かもしれない。

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